味の見聞録
ぶた鍋
おいしい豚肉が鍋仕立てになって登場!

噛み締めるほどに旨いやんばる野趣溢れる香りを持つイベリコ

三宿の裏通り、駅から離れた遠隔地に潜む。青山に移転した野菜和食料理「GOKAKU」が、そのまま経営。カウンター四席、テーブル十二席。豚は四種類。宮崎産黒豚(コース三千九百九十円)のほか、特選コース(四千八百三十円)として、沖縄やんばる島豚、万鐘豚、スペイン産イベリコ豚の三種類のうちより、一種類日替りでいただける。また運がよければ、やんばるの肩ロースとイベリコのロースといった組み合わせも可。おすすめはやんばるとイベリコ。旨味がたたみかけるように舌に積もっていく、噛み締めるほどに旨いやんばる。厚い脂身を持ち、野趣溢れる香りを放つイベリコ。いずれも味わいが深く、豚しゃぶならではのシンプルな豚の旨味が際立つ。
さらに特筆すべきが野菜のおいしさ。白菜、白菜芯、水菜、三つ葉、ブロッコリー、下仁田ねぎ、ほうれん草、エリンギ、シメジ、えのき茸、椎茸などがたっぷりと盛り合わされるが、甘く、ほろ苦く、香り高く、大地の力強さと温かみに満ちた野菜に、豚の滋味が染み込んで、どちらが主役ともいいきれないほど、心打たれる。とくにオネバがみっちりついたねぎとブロッコリーがいい。コースは、ねぎぬた、小松菜お浸し、ハスの揚げ煮など野菜の小鉢三品つき。締めはうどんのほか、旨味が溶け込んだスープを堪能するぶっかけ飯が選べる。

豚菜しゃぶしゃぶ 嘉六
世田谷区三宿1-19-13
tel.=03-5430-1831
営業時間=18:00〜24:00
定休日=火曜日


色つやだけで胃袋を刺激する 川越大中居牧場産の豚肉

創業明治元年の割烹。裏通りに毅然と佇む屋敷は、川越景観百選指定。その屋敷の広間や小部屋で、風流な庭を眺めながらいただくのもいいが、隣接されたカウンターにて、美人女将の接客をうけながらいただく時間も格別。
豚しゃぶ鍋(コース五千円)は、通常メニューではないので、要予約。大皿に並べられたその色つやだけで胃袋を刺激する豚肉は、川越大中居牧場産。たぎっただし汁にさっと肉を潜らせ、最初は塩でいただく。豚肉の甘みが舌を刺し、ほの甘い香りが鼻に抜ける。あとはキレよく香りの高いポン酢醤油か胡麻ダレ。好みで、生卵に一味なども用意できる。ねぎ、もみじおろし、黒七味とお好みで調味して食べればよい。
もし事前に望めばおすすめしたいのが豆乳。おなじ川越の「小野食品」の豆乳に柚子胡椒を少し溶き、熱々の豚肉を潜らせて食べれば、豆の柔らかい甘みと豚の甘みが溶け合って、笑い出したくなるおいしさがやってくる。
最後は雑炊。豚の滋味がご飯一粒一粒に絡んで染み、心を温める。銘酒、焼酎の揃えも豊富で、とっぷりと鍋の夜を楽しめる。

割烹 初音屋
川越市元町1-9-8
tel.=049-222-0036
営業時間=11:30〜14:00、17:00〜21:00(日・祭〜20:30)
定休日=水曜日


とんかつ屋ならではの豚を知り尽くした厚み

ご夫婦で営む、どこの町にでもありそうな気さくなとんかつ屋ながら、夜のみ豚しゃぶを扱う。「豚しゃぶ」は二千八百円と廉価ながら、平田牧場の三元豚のロースを厚めに切り出し鍋にする。脂身が程よくついたローズ色の肉をだしにさっと潜らせてポン酢でいただけば、肉のジュースが口に溢れ、「旨いっ」と思わず声が出てしまう。もっちりとした食感で噛み締める醍醐味があり、とんかつ屋ならではの豚を知り尽くした厚みである。食べ進んでも食べ進んでも一切アクが出ず、新鮮さと質のよさがうかがえる。したがってスープも、塩を少し加えて飲めば途端に顔が輝くは必至。締めは、雑炊かうどんで。肩ロースを塩で絞めて塩茹でし冷蔵した「塩豚」もぜひ。運がよければ、格別に味の濃さと脂身に甘さがある、桃園豚が入る日に出くわすこともあり。

とんかつ むら中
港区麻布十番2-14-2 
tel.=03-3453-6861
営業時間=12:00〜14:30、18:00〜23:30
定休日=土曜日


全国を探しあぐねて手に入れた豚肉と
その味わいを生かすために研究を重ねた賜物

すっかり有名となった豚しゃぶは、全国を探しあぐねて手に入れた豚肉と、その肉の味わいを生かすために、熱源、つゆ、つけダレ、具と、研究を重ねた賜物。
豚肉は群馬県特定牧場にて、抗生物質など使わず丹念に育てられた黒豚種。酒を入れると酒の甘みが豚肉の味わいを邪魔するため、シンプルな昆布だしを鉄鍋にはり、炭火にかける。つけダレもポン酢が豚の香りを邪魔すると、上質の酢と生醤油。また具も、ささがきに切ったねぎと豆腐のみ。またこの鍋は炭火なので、ふつふつと沸き上がるつゆにさっと潜らせ、ややピンク色になったところを素早く引き上げる。薄い肉ながらもたっぷりと肉汁があり、なによりも豚肉自体が持つ甘みと栗のような甘い香り、本来持つ豊かな滋味に驚愕す。つけダレの相性も抜群。また、煮えたねぎを豚肉で巻いて食べると、ねぎの甘みと豚肉の甘みが溶け合い、美味。最後は生醤油をかけ、すだちを絞って食べる左平次うどんであっさりと締めを。予算五千円〜。要予約。

三櫂屋
新宿区舟町4  
tel.=03-3351-3477
営業時間=17:30〜23:00
定休日=土曜・祭日


最後は醤油味のラーメンで
締めるのもおすすめ

新進の和食店。西麻布交差点近くのモダンなビル三階に隠れ家のようにある。豚鍋コースは五千円。牛タンや鯛と茸のみぞれ和えなどの突き出し、鰤やきんき、かわはぎのお造り盛り合わせ、鰤の照り焼き、鶏刺し、山菜天ぷらに続いて豚鍋が用意される。肉は肩ロースとバラ肉の盛り合わせ。それに野菜多種。この店ならではの特徴は、自家製チョリソ。熟成させた練り肉ならではの旨味があり、酒が進む。最後は雑炊うどんもあるが、醤油味のラーメンで締めるのもおすすめ。

ひで
港区西麻布2-25-24 FTビル 3F 
tel.=03-5467-6943
営業時間=18:00〜24:00
定休日=日曜祭日


食いしん坊王国大阪ならではの底力
名物「岩手県花巻産白金豚キムチ鍋」

東心斎橋の雑多な飲み屋街から忘れ去られたような小路。闇に提灯がともる小粋な構え。こぢんまりとした店を女将を中心とした女性人だけで切り盛り。肉のしゃぶしゃぶとともに名物が「岩手県花巻産白金豚キムチ鍋」(三千五百九十円)。すき焼き鍋にて、予約時間に食べ頃になるよう仕立てられた鍋は、一面真っ赤。一番だしに特注のキムチと豚バラ肉、野菜類を入れて煮込んだ鍋は、見た目より辛くはなく、十分発酵したキムチの酸味と漬け込む際に入れた、様々な旨味が混沌と溶け込んだ複雑な味わい。やや厚く切られた肉はもちもちとした食感があって甘く、キムチの辛みや複雑味の中にあっても堂々と渡り合い、白金豚ならではの強みを感じさせる。途中で餅を入れ、具がなくなったところでうどんを入れて味を染み込ませて食べ、最後にご飯を入れて煮込み、リゾット風にして食べる。食いしん坊王国大阪ならではの底力。

古都家
大阪市中央区東心斎橋2-3-21 
tel.=06-6212-1234
営業時間=17:00〜23:00
定休日=日曜祭日


酒粕のやさしい華やかな香りある甘みと
上品な豚の甘みが調和

長谷川酒店経営の居酒屋ならではの逸品が「吟醸豚しゃぶしゃぶ」千二百六十円。肴として小鍋で供される鍋で、白濁したスープは、昆布だしに「磯自慢」大吟醸の酒粕で作ったもの。黒豚ロースを吟醸スープに潜らせれば、酒粕特有のやさしい華やかな香りある甘みと、上品な豚の甘みが調和して、思わず酒盃に手が伸びる。テーブル席とカウンターがあるが、当然ながら豊富な銘酒を相手に、一人鍋としゃれるのもいいだろう。

酒友
港区六本木4-12-6 内田ビル1F 
tel.=03-5786-3533
営業時間=18:00〜翌4:00
(金〜翌5:00、土17:00〜23:00)
定休日=日曜祭日


飲めばため息が出る
実に味わい深いスープ

表参道の裏通りにてひっそりと営む新潟県のアンテナショップ。新潟県の食材と酒を中心にした割烹。「豚しゃぶ」は五千五百円。越後もち豚の薄切りロース肉を、かつおと昆布だしに潜らせて食べる。肉の味わいは上品。かたわらにほうれん草、貝割れ菜、白髪ねぎ、生姜の極千切りが添えられるので、火を通した肉で野菜を巻いてポン酢とゴマダレを合わせたタレにつけて食べる。スープは実に味わい深く、最後に塩で調味して飲めばため息が出る。締めは雑炊かラーメン。ラーメンは、新潟麺協会が開発したという、柿渋入りの麺がおもしろい。

静香庵
渋谷区神宮前4-11-7 新潟館ネスパス1F 
tel.=03-5771-8500
営業時間=11:30〜14:30、17:30〜22:00
定休日=日曜祭日



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