味の見聞録
野菜がおいしいレストラン2
まだまだある野菜が主役の料理店第ニ弾

シェ・ウラノ 
繊細な野菜の味わいを生かした力強い皿の数々      

日本人が感知する繊細な野菜の味わいを生かした、浦野健次郎シェフによる力強い皿の数々に出会えるフレンチレストラン。
「アワビ、焼きナス、冬瓜のショーフロワ」は、角切りにした焼きナスとグリエした平貝を、カクテルグラスに忍ばせ、冬瓜のすり流しを引いて小さく切った蒸しアワビを入れ、上に水菜とタップナードを載せた皿。舌にゆるゆると広がる冬瓜の淡い淡い甘みが、しばし目を閉じさせ、心を安寧にする。その冬瓜が、ナス、アワビ、平貝とやさしく絡むと、夏が体に充満する。絶妙な量で、塩気で引き締めるタップナードも見事。
「トウモロコシのババロア、パルマ産の生ハム」は、葛と寒天で固めたトウモロコシのババロア上に、数種類のハーブ、パルミジャーノの煎餅、生ハムの薄切りを載せた皿。舌にのせた瞬間にふわりと崩れていく、絶妙な柔らかさに仕上げたババロアの幼い甘みが、生ハムの練れた塩気、パルミジャーノの風味、ハーブの香りと共鳴し合い、口の中に爽やかな風を呼び込む。
つぶしてジュレにしたトマトと、エキスのジュレを合わせた「栃木産トマトのスープ」は、トマトの持つ酸味と甘みが最大限にひき出された、高貴な味わい。さながら朝露のトマト畑に立っているかのようなすがすがしさが訪れる。「仔牛のヒレ肉のゴボウソース」は、ぜい弱な仔牛肉を、ゴボウの暖かい土の香りとキノコ類の香りが盛り立てて、たくましい皿に仕上がっている。
突き出しの香りと滋味が凝縮された、「鮎のリエットと鮎骨から取ったダシのジュレ、アスパラソバージュ添え」。その相性に驚かされる、デセールの「山椒の葛寄せ、ヨーグルトソルベとアメリカンチェリーの赤ワイン煮添え」も傑作。驚きと喜びを抱き、野菜への感謝の気持ちが湧き上がる、未来を予測させる健やかな料理。昼コース二千五百円〜、夜コース六千円〜。 

シェ・ウラノ
港区虎ノ門3-22-10 東武ハイライン芝虎ノ門104
tel.=03-3433-1433
営業時間=11:30〜14:00、18:00〜21:30
定休日=月曜日 


龍圓 
熱のこもった説明を添えて記されているおすすめメニュー 

一見どの町にでもありそうな普通の中華料理店であり、お客さんもラーメンや炒飯などを単品で頼んでいるが、野菜に敬意を払ったすばらしい皿に出会える店。
店主栖原一之氏が惚れ込んだ野菜は、都内の有名レストランで愛用されている、栃木の野菜を中心として販売する、浅草「みどりショップ」の野菜。メニューには、おすすめとして、みどりショップの野菜を使った料理が、熱のこもった説明を添えて記されている。
「ミストマトの酢豚」は、トマトと豚だけによる酢豚。火に通されることによってトマトの甘みと酸味が際立ち、豚の甘みにピタリとよりそう。また甘酸味の変化をつけるため、自家製苺ジャムを少量加えている。二千三百円。
「和牛肉と無農薬ナスの炒め」は、身質のしっかりとしたきめ細かい肉を持つナスと牛肉が四つに組んだ一皿。千六百円。赤ピーマン、ブロッコリー、青梗菜、袋茸、シメジなどを、醤油風味でシンプルに炒めた「季節の野菜炒め」千二百円もよい。濃い味わいの小松菜を、干し海老と合わせて蒸し煮にした皿もおすすめ。パラリと炒められた炒飯もうまし。 

龍圓
台東区西浅草3-1-9
tel.=03-3844-2581
営業時間=12:00〜14:00、17:30〜21:30
(日曜祭日12:00〜15:00、17:00〜20:30)
定休日=月曜日


食べごと屋のらぼう 
一口食べた途端に気分が癒されるなんともやさしい味わい 

北口の路地にひっそりと佇む、小さな食堂。すばらしい野菜の惣菜の数々に魅了された人で連夜満席。
ご主人明峯牧夫さんが、毎朝自宅近くの三鷹の畑で仕入れる野菜が登場する。定番の「おからサラダ」は、自然な甘みが広がるおからに、薄切りのキュウリ、千切りニンジン、コーンを加えたサラダ。みずみずしく、青い香りが立つ軽井沢インゲンと普通のインゲンを、ちりめんじゃこ、胡麻油とともに胡麻和えにした「インゲン二種」。やさしく煮た冬瓜に味わい穏やかな鳥そぼろをかけた皿。茹で方がピタリと決まった香り高い枝豆。生姜をひりりと利かせ、チリ酢をかけた、タマネギと豚の甘みが抱き合う「黒豚と新タマネギの生姜炊き」。なんともやさしい味わいに、一口食べた途端に気分が癒される、「ナスとズッキーニの冷製トマト煮」。土の香りが口の中で弾ける、「新レンコンとゴボウのマリネ」などなど、力みなぎる野菜の料理に、心安まるは必至。
しめはおいしいご飯と味噌汁でぜひ。いつまでも大切にしておきたい小食堂。予算四千円〜六千円。

食べごと屋のらぼう
杉並区西荻北4-3-5 
tel.=03-3395-7251
営業時間=17:00〜23:00
定休日=月曜日 


ラ・パタータ 
店主が自家菜園で朝どりした野菜やハーブが登場   

二十五年を迎える老舗格のイタリアン。店主土谷幸一さんが自家菜園で朝どりした野菜やハーブが登場する。
例えばもし用意されていれば、定番のカプレーゼを食べてみてほしい。トマトの甘み・酸味、バジルの豊かな香り、モッツアレラのコクが堂々と渡り合って、他店との違いを痛感するは必至。
常時前菜に用意されるサラダもすばらしい。ある日のそれは、「タンポポとたっぷり野菜、白アスパラガス パタータ風」。菜園で摘んできたというタンポポやルッコラ、ラディッシュを中心に、さっと茹でた白アスパラ(少量のバルサミコがけ)、ラディッキオ、チコリ、アンディーヴ、ういきょう、トマト、胡瓜をヴィネグレットで和え、ポーチドエッグを載せた皿。きっちりと利かされたソースの塩の中で、苦味、甘み、香りが、口の中で鮮烈に弾ける。食べていて愉快になるサラダである。
パスタでは、朝どりの空豆を和えた「手打ちタリオリーニのジェノベーゼ 空豆和え」千九百円や、イタリアンパセリを打ち込み、その爽やかな香りとトリュフの淫靡な香りを合わせた、「プレッツォモーロを練り込んだタリオリーニ、夏トリュフソース」二千九百四十円。
身質のしっかりしたナスやズッキーニの豊かな味わいや、甘いキャベツ、トマト、アンディーヴ、ラディッキオ、黄ピーマンの味をグリルして強め、肉と合わせた、「イベリコ豚の舌の塩漬けと野菜のグリル」二千四百円など、生命力に富む野菜料理が揃う。

ラ・パタータ
渋谷区神宮前2-9-11 シオバラ外苑ビル1F  
tel.=03-3403-9664
営業時間=12:00〜14:00、18:00〜22:30
定休日=月曜日 


ユリス 
シェフが出会い、惚れ込んだ、茨城の農事法人ギルドの野菜を駆使した料理 

シェフ多田澤介氏が出会い、惚れ込んだ、茨城の農事法人ギルドの野菜を駆使した料理がいただけるフレンチレストラン。
なによりおすすめはスープ。ある日のそれは「空豆のスープ」。シェフがフランスより持ち帰ったという種を栽培してもらい作ったというスープで、目を丸くするほど香り高く、甘い香りが鼻に抜けて広がり、うっとりとなる。真空調理法で加熱したニンジンと牛乳と水で作った、凝縮された甘みに笑いが止まらなくなる「ニンジンのポタージュ 紅玉のコンポート」など、野菜の本質を導きだしたスープがすばらしい。「キャベツと自家製のベーコンの蒸し煮」は、なによりキャベツのミルクのような甘い風味が舌にやさしく、ベーコンの脂の甘みときれいになじんでいる。
または「本日の有機野菜のこんがり焼き」。筍、レンコン、里芋、ネギ、赤ピーマン、ヤングコーン、ニンジンなどを、あるものは皮つきのままグリルした、魅力がシンプルでいて直載に伝わる野菜の一皿。肉料理に添えられるタマネギのソテーも堂々たる甘さに目を開かれる。コース昼千八百円〜、夜六千円〜。

ユリス
港区麻布十番2-11-5 アクシアフォレスタ麻布1F 
tel.=03-5765-2333
営業時間=11:30〜14:00、18:00〜21:00
定休日=月曜日


クロ・ド・ミャン 
ご主人が全国より吟味した野菜の魅力を、才気に富むセンスで、引き出した皿 

本誌ではおなじみの人気のワインレストラン。ご主人宮永  久嗣さんが全国より吟味した野菜の魅力を、才気に富むセンスで、引き出した皿に出会える。
「山本さんの野菜」千四百円とだけ記された皿は、広島の農家山本さんより直送された、ズッキーニ、山芋、ピーマン、アスパラガスなど数種の野菜を炒め合わせた皿。シンプルながら、太陽の匂いを感じさせる野菜の力が食べ手に迫る、一皿。または「仔羊のメンチカツ 協和町産トマトのフォンデュ」二千二百円は、風味豊かなメンチを、濃厚でいて穏やかな風合のトマトソースが盛り立てる。「水タコとトマト」千六百円は、皮厚く、くにゃりとした食感のタコに、甘みと確かな酸味を持つトマト、セロリの香りが漂う鳥手羽のジュレの三者が、やさしく調和する一皿。驚くほどの甘みを放つ、ほかの要素を入れずそのままを抽出したという、夏の「白トウモロコシのスープ」千二百円など。

クロ・ド・ミャン
中央区銀座7-3-13 ニューギンザビル2F
tel.=03-5568-4777
営業時間=18:00〜24:00
定休日=日曜祭日



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