味の見聞録
かつ丼
昔風の定番ものから、趣向を凝らした変わりかつ丼まで満載

とんき 
後味軽やか廉価で楽しめる庶民派の店      

 銀座にて、長年休むことなく、廉価にて提供し続ける庶民派とんかつ屋。人気のかつ丼は、一見すると普通のかつ丼だが、まことにバランスのとれた逸品。
肉はブームになる以前、十数年前から使っているという平田牧場の豚。それをご飯になじむよう、一センチ強の厚さに切り、肉汁を包み込むため、衣に山芋の粉をブレンドし、ラードで揚げる。また揚げて油をあまり切らないのは、ダシを染み込ませるため。白身のふわりとした食感を生かし、黄身の甘みを出すために、卵は溶きすぎない。運ばれ、食べようと口をあんぐりと開ければ、ラードの香りが漂って、胃袋をくすぐる。ラードと程よい甘辛味のダシとの相性よく、しんなりと火が通りダシを吸った玉ねぎや海苔の香りも食欲をあおり、疾風の如く食べさせてしまう、後味も軽いかつ丼である。「かつ丼定食」昼八百七十円、夜千百八十円、「ひれ丼定食」昼八百七十円、夜千二百三十円。

とんき 
中央区銀座6-5-15 銀座能楽堂飯島ビルB1
tel.=03-3572-0702
営業時間=11:30〜15:00、17:00〜22:00(土・日・祭は昼のみ)
年中無休


坂本屋 
創業七十年昭和の良心が伝わる町の定食屋さん 

創業七十年になる町の定食屋さん。白と黄のグラデーションを見せながら、ふわりとかつを包み込む溶き卵、上にちょこんと飾られたグリンピース。昔風の定番かつ丼の姿である。食べれば、揚げたてならではの衣のサクサク感に歯が当たり、肉の旨味がにじみ出て、ご飯が猛烈に恋しくなる。卵の閉じ具合も適妙。また卵に汁が染みすぎずに、卵自体の甘みが伝わる。やや甘みの利いたダシも肉の甘みと合い、ご飯を生かすダシの量もいい。かつの厚さもよく、主役ながら威張りすぎずに、ご飯や卵と手を取り合って一緒に生きていこうという姿勢が出ている。昭和の良心が伝わるかつ丼だ。七百五十円。

坂本屋
杉並区西荻北3-31-16
tel.=03-3399-4207
営業時間=11:30〜15:00、17:00〜21:00
定休日=日曜日


鈴新 
どれもそれぞれ個性が光る三種類の味わい 

ご夫婦で切り盛る小体なとんかつ屋。古い店が比較的多い荒木町にあっては新参ものだが、昼夜ともに盛況。かつ丼は、三種類。「かけかつ丼」九百四十円は、揚げたてかつをご飯にのせ、濃いめのダシ汁に玉ねぎを加え卵で閉じたものを上からかけた丼。衣のサクサク感とふわりとした卵の食感の両者が味わえる。「そうすかつ重」八百四十円は、ご飯の上にキャベツをのせ、自家製ソースをかけたとんかつ、小川町の金胡麻、大根おろしをのせたもの。胡麻の風味やおろし、キャベツとの調和が楽しい。「煮かつ丼」九百四十円は、コクと甘みがある新潟の延喜醤油を使った煮汁で、揚げたてかつをさっと煮てごはんにのせる。

鈴新
新宿区荒木町10-28 十番館ビル1F
tel.=03-3341-0768
営業時間=11:30〜13:30、17:00〜20:30
定休日=日曜日


勝漫 
ボリュームはあるのに腹にもたれない迫力十分の「大かつ丼」 

肉汁に富む逸品「ロースかつ定食」千五百七十五円や、口いっぱいに海老の甘みが広がる「海老団子揚げ」千五百七十五円、ホワイトソースに貝の滋味が溶けた「貝柱コロッケ」千五百七十五円など、優れた揚げ物を供す名店。「大かつ丼」は千六百八十円。その名の通り、直径三十センチほどある大ぶりな丼に、迫力十分の分厚いかつがのったかつ丼。汁の量、甘辛さ程よく、二個使った卵の閉じ具合も黄身がとろけて、白身がふわりと固まっている理想の火の通し。ボリュームはあるが、揚げきりのよさと旨味に富む肉のせいで腹にもたれない。

勝漫
千代田区神田須田町1-6-1 堀谷ビル1F
tel.=03-3256-5504
営業時間=11:00〜14:30(土は昼のみ〜13:00)、
17:00〜20:30
定休日=日曜祭日


小春軒 
目玉焼きや野菜がのった変化に富む味が楽しめる変わり丼 

明治四十五年創業の老舗洋食屋。ふたつき錦手の丼で登場する「かつ丼」は千二百円。ご飯の上にビーフシチューと割下を合わせた汁で煮た揚げたての一口大ロースかつをのせ、目玉焼きをのせ、角切りのピーマン、人参、玉ねぎ、じゃがいもの炒めをかけた変わり丼。かつを目玉焼きの黄身にからめて食べ、合間に野菜の甘みを味わってと食べ始めれば、一気呵成。変化に富む味を楽しむかつ丼である。

小春軒
中央区日本橋人形町1-7-9
tel.=03-3661-8830
営業時間=11:00〜13:50(土は昼のみで時間の変更あり)、17:00〜20:00
定休日=日曜祭日


和楽惣 
煮物、蒸し物など豊富な品書きなかでも揚げ物は秀逸 

カルビ肉じゃが、きんきの煮物、白海老のフライ、馬刺しなど豊富な品書きをそろえる人気の居酒屋。
メニューにはないが頼めば作ってくれる「かつ丼」は千八百円。百五十グラムの黒豚を胡麻油を加えた揚げ油でカラリと揚げ、上質なダシによるつゆで軽く煮、卵で閉じて粉山椒をはらりと振ったかつ丼。噛むと肉汁があふれるかつと煮汁を引き締める山椒、ダシの香り、卵の甘み、麦飯の軽い食感、計算された調和がすばらしい。ゆえに散々酒を飲んでたらふく肴を食べたあとの締めでも軽く食べられてしまう。

和楽惣
港区南麻布5-1-1 PLAZA KAYビル1F   
tel.=03-3445-0550
営業時間=18:00〜翌2:30(土は17:30〜23:00)
定休日=日曜祭日


喝鈍 
卵を二個使った「卵ダブル」常時満席の人気店 

細長いカウンターによる店内は、常時満席の人気店。「かつどん」は五百五十円。薄めのロースかつをカラッとサラダ油で揚げ、小さい銅鍋にかつ、玉ねぎ、ねぎとダシを入れて卵で閉じ、鍋ごと出す。煮かつをおかずにして、白く艶やかに輝くおいしいご飯で食べてもよし、ご飯の上にかけて掻き込んでもよし。筆者の好みは卵を二個使った「卵ダブル」。

喝鈍
大阪市北区大淀中1-1-90 梅田スカイビルB1F 
tel.=06-6440-5933
営業時間=11:00〜21:00
年中無休


かつ家 
多彩な変わりかつ丼をそろえる店おすすめは「キムチかつ丼」 

「とんかつ丼」六百円に始まり、ヘレかつ丼、おろしかつ丼、ソースかつ丼、ぴりからかつ丼、と多彩なかつ丼をそろえる店。変わりかつ丼でおすすめが「キムチかつ丼」七百円。揚げたかつの上にはたっぷりのキムチがのっている。一見相性が悪そうにも思えるが、煮汁に唐辛子と豆板醤を利かせているので、キムチの辛み、酸味と合い、妙に癖になる味わいとなっている。

かつ家
大阪市淀川区西中島3-21-19 
tel.=06-6307-7350
営業時間=11:00〜15:00、17:30〜22:45
(営業時間の変更あり)
定休日=日曜日(他に不定休あり)


千疋屋 
ほかにはない組み合わせが見事名物「欧風ビーフかつ丼」 

西陣の住宅街にさりげなくたたずむ洋食屋。名物「欧風ビーフかつ丼」は千三百円。丼に入れたサフランライスの上に、ベーコン入りスクランブルエッグ、プロセスチーズを挟んで揚げた和牛ロースのビーフかつがのり、上からはマッシュルームと玉ねぎ入りのたっぷりのドミグラスソース、少量のサワークリームがかけられ、粒マスタードが添えられる。これでもかといわんばかりの組み合わせだが、やさしい味わいのドミグラスとかつの相性、サフランライスの香り、卵の甘みが見事に調和し、しつこさなど微塵もない。

千疋屋
京都市上京区大宮通寺之内上ル前之町460 
tel.=075-441-7045
営業時間=12:00〜14:00、18:00〜19:30
定休日=水曜日(他に不定休あり)



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