マティーニ
バーテンダーの数だけレシピがある奥深い「カクテルの王様」
「カクテルの王様」とも呼ばれるマティーニは、ドライジン、ドライヴェルモット、
オレンジビター、レモンピール、オリーブという組み合わせながら、
使う材料やレシピは千差万別。すぐれたマティーニを出すバーをご紹介。
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STAR BAR Ginza
強さとまろやかさ、香りと冷たさのバランスが見事
日本および国際カクテルコンペティション優勝者である、岸久氏の店。オープンして五年ながら風格が漂う。
マティーニは、まず砕いた氷を長いミキシンググラスに入れ、ドライな味とエレガントな香りが特徴のフランス唯一のAOCヴェルモット「ドラン」で一回リンスする。その後、冷やしたゴードンジン主体にジンの風味を生かすために常温のゴードンジンを少量加え、「ドラン」を加えて十数回ステアし、華やかな香りを持つイタリアのヴェルモット「カルパノアンティカフォーミュラー」をスプレーして、冷やしたカクテルグラスに注ぎ、グラス手前十センチ辺りでレモンピールする。オリーブはピンに刺したイタリアグリーンオリーブ。強さとまろやかさ、香りと冷たさのバランスが見事で、滑るように口もとに入り込んで、口中で香りが華開く。それでいながら、凛とした力強さを持ち、記憶に残る。口の広い円錐系グラスも、香りを生かしている。チャージ千円、マティーニ 千八百円。ギムレット、モスコミュール、洋梨によるジントニックなどいずれを飲んでも実に秀逸。
STAR BAR Ginza
中央区銀座1-5-13 三弘社ビルB1F
tel.=03-3535-8005
営業時間=18:00〜翌2:00(土は〜24:00)
定休日=日曜日・祝日
琥珀
グラスの形状が味わいに変化をもたらすドライながらやさしい飲み口
創業来五十年、三島由紀夫や木下順二など、様々な作家や芸術家が通った店として有名。
白いバーコート姿の店主木村文比古氏にマティーニを頼むと、まず目の前に丸く切り取ったレモンピールとピンに刺したグリーンオリーブが置かれる。ミキシンググラスにゴードンジンを入れた後、ミキシンググラスの縁にノイリープラットを密着させ、慎重にヴェルモットを垂らす。そして十数回混ぜ、オリーブを入れたグラスに入れ、レモンピールする。飲んで驚くはそのまろやかさ。ジンとヴェルモットの香りがエレガントに混ざり合い、非常にドライながら飲み口がやさしい。これはミキシングの技もさることながら、マティーニ用に選んだという、ラッパ型で唇のRにぴたりと吸いつく、薄いカクテルグラスの功績でもある。グラスの形状が味わいに変化をもたらすことに驚くは必至。チャージ千円。マティーニ千五百円。昔からの財産による古い酒や珍しい酒も豊富にあるので、臆せずに店主と相談するとよい。
琥珀
文京区湯島3-44-1 高橋ビル1F
tel.=03-3831-3913
営業時間=18:00〜24:00
定休日=日曜日・祝日
BAR JADA
秘訣は、氷にありきりりとした味わいが舌をキックする
研究熱心なバーテンダー小澤正幸氏が、一人で切り盛りする隠れ家バー。食べてきた食事を伝えたり、今の気分を伝えたりすれば、即席で名もない素晴らしきカクテルを作り出す、飲み手を第一に考えた名バーテンダーである。そのマティーニ作りの秘訣は、氷にある。カクテルが水っぽくならぬよう、作った氷を砕き、さらに締める意味合いで冷凍庫に保存した氷を使う。その氷をミキシンググラスに入れ、ブードルスを入れ、ノイリープラットを少量入れ、十数回混ぜて、ピンに刺したグリーンオリーブを入れた冷えたカクテルグラスに注ぐ。ブードルス特有のジンフレーバーとほの甘い味が生きた中にヴェルモットの香りが自然に溶け込んでいて、一口飲めば、きりりとした男っぽいマティーニならではの味わいが、舌をキックする。チャージ六百円。マティーニ千円。
BAR JADA
港区南青山6-2-7 クレングラン骨董通りビルB1F
tel.=03-3797-0561
営業時間=18:00〜翌2:00
年中無休
Y&M Bar KISLING
二人のトップバーテンダーが作り出す個性豊かな二つの味
ミスターマティーニと呼ばれた名バーテンダー、今井清氏に師事して、東京會館、パレスホテルで、ともに五十年近く働き、その後銀座「よ志だ」で活躍し、店の閉店とともに惜しまれつつ引退された、日本を代表するバーテンダー吉田貢氏と、「MORI BAR」の毛利隆雄氏が、昨年始めたバー。バックバーには、店名の由来となったモイーズ・キスリングの絵がかけられている。
月・水・金曜日に出ておられる吉田氏のマティーニは、伝統的スタイル。ミキシンググラスに氷を入れて水でリンスし、ゴードンを注ぎ、ノイリーを垂らすように少量注ぎ、ビターをふって十数回ステアする。冷えたグラスに注ぎ入れ、客前に運び、グラス手前十五センチ離れた位置でレモンピールする。オリーブは入れず、大きなグリーンオリーブとスタッフドオリーブを小皿で添える。そして、「申しわけありませんが、一口目はお口を寄せてお飲みください」と差し出す吉田氏に言われるがまま飲むと、男の度量を試されるようなドライな刺激が口腔に流れるが、やがて中から上品な香りや甘みがにじみ出る。
一方、火・木・土曜日担当の毛利氏は、冷凍したブードルスとドランを使い、百回近くステアする。最初の口当たりはまろやかながら、飲み込むとジンのキックバックが利いてくる。いずれも千五百円。チャージ千五百円。
Y&M Bar KISLING
中央区銀座7-5-4 ラヴィアーレ銀座ビル7F
tel.=03-3573-2071
営業時間=18:00〜翌3:00(土は〜23:00)
定休日=日曜日・祝日
Bar 2nd Radio
唇に舌に滑らかに滑り込んでいく温度のすばらしさ
閉店した「RADIO」とともに、青山の名バーとして長く人気。通りに面した扉を開け、地階につながる狭い階段を下りていくと、しっとりと落ち着いた品が漂う、オーナー尾崎浩司氏の美意識に貫かれた空間が広がる。バーテンダーの立つ位置が低く、彼らの目線が、カウンターにすわった客の目線より低いのが特徴。
マティーニは、大きな氷を一つ入れたミキシンググラスに、ビーフィーターとチンザノドライを入れ、オレンジビターを垂らしてステアする。ゆっくりと百回ステアされて丸みを帯びた足の低いグラスに注ぐと、たっぷりとレモンピールされる。なによりも温度がすばらしく、冷温ほどよく、唇に舌に滑らかに滑り込んでいく。
柿のカルバドスソースかけや帆立などによる、洗練された突き出し盛り合わせも魅力。マティーニ千五百円。チャージ二千円。
Bar 2nd Radio
港区南青山2-29-8 和光ビルB1F
tel.=03-3405-5233
営業時間=19:00〜翌2:00
定休日=日曜日・祝日
ガスライト
飲み口は柔らかく飲み進むとキレと強さを感じるマティーニ
以前は狸穴、現在は官庁街にひっそりとあるバー。店主は酒向明浩氏。細長い店内、バックバーには膨大なモルトウィスキーが並ぶ。銀座に支店あり。
マティーニは、ピックで砕いた氷をミキシンググラスに入れて水でリンスし、ビター、ブードルス、ノイリーを入れて、百回近くミキシングする。グラス前でピールし、最後の一搾りはグラス上で。オリーブは金のスティックに指したグリーンオリーブ。以前ガスライトにいた毛利氏と似たタイプである。グラスは、緩やかに広がった円筒形のカットグラス。飲み口は柔らかく、口に含んだときのジンの風味は抑えられているが、コシのしっかりとしたブードルスに支えられて、飲み進むとキレと強さを感じるマティーニ。チャージ千円。マティーニ千五百円。
ガスライト
千代田区霞が関3-3-3 全日通霞ヶ関ビル1F
tel.=06-3592-0008
営業時間=18:00〜翌3:00
(土・祝は17:00〜23:00)
定休日=日曜日
BAR 5517
ドライな口当たりジンの薫り高い凛とした味わい
三笠会館本店の地階。メキシコ煉瓦の壁のエントランスを潜り抜けると、セラーを模した広々とした空間が広がる。常時いらっしゃるとは限らぬが、チーフバーテンダーは五十数年の経歴を持つ、今年七十七歳の重鎮稲田春夫氏。重厚なカウンターで飲むマティーニは、冷えたゴードンにマルベロというドライヴェルモットを少量加える。非常にドライな口当たりで、ジンの薫り高い凛としたマティーニ。チャージ千二百六十円。マティーニ千二百六十円。
BAR 5517
中央区銀座5-5-17 三笠会館本店B1F
tel.=03-3289-5676
営業時間=17:00〜23:30(土・日・祝は15:00〜22:30)
年中無休
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