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哈爾濱餃子 七センチの餃子に込められた 四つのおいしさ カウンター五席の小さな店をハルピン出身のご夫婦が切り盛りする。水餃子を頼めば「少々時間がかかりますのでお待ちください」と、たどたどしい日本語で女主人が応え、餃子を取り出して茹で始める。その間に渡されるつけ小皿には、タレに漬け込んだニンニクの微塵切りが。ハルピンでは、ここに酢醤油を加えて食べるのだという。五個の水餃子はふっくらと膨らんで艶やか。箸でつかめばスープを含んで重い。まずは、一、滑らかな皮がつるりんと唇を抜け、二、噛めばむっちり厚い皮が歯を包み込むようにからみ、三、餃子からは熱々のスープが流れ出し、やけどせぬように吸い込み、ゆっくりと噛めば、四、練りに練られた肉餡の旨味がこぼれる。この四つのおいしさがたった七センチの餃子に込められている。これぞ水餃子の魅力なり。五個三百五十円。 哈爾濱餃子(Harupin-Gyoza) 大連 二十年前に故郷大連の味を伝える店として、開店以来おいしい餃子の店として有名。湯気を立てながら運ばれる十個の水餃子は、つやつやと光り、食欲をそそる。白い皮はほんのり透けて、茶色の餡が見える。まずはなにもつけずに一口。具が透けて見える薄さながらもっちりとして歯を包み込む弾力のある皮。皮が弾けると熱々の甘いスープが飛び出し、噛み込めば練り肉の旨味に加えて大根の優しい甘みがこぼれる。この店では餡に、春から秋は白菜と豚挽き肉、冬は牡蠣と大根と豚挽き肉が混ぜられるのだ。ゆえに冬がベストであるが、春秋の優しい水餃子も美味。 大連(Dairen) 遊牧民 パオ内部を模したような小体なモンゴル料理店。羊肉による小餃子「チャナサンバンシ」五百円がいただける。長さ四センチほどの小さな餃子で、手作り皮は厚く、噛むとむっちりとしていて粉の風味がある。餡は少なめだが、羊肉特有の豊かな香りが生きていて、皮との相性がとても良い。ポン酢ダレがかけられて出てくるが、できれば添えてくれるようにお願いして、まずはなにもつけずに食べることをおすすめしたい。そのほうが素朴にこの餃子の味わいを噛み締められるはず。食べ進めば羊肉の効能で次第に体が火照って、寒いモンゴル地方の知恵を感じる。焼き餃子、蒸し餃子、乳茶餃子、羊骨スープ餃子もぜひ。 遊牧民(Yubokumin) 楊 十条の商店街に位置する小体な店を、女主人一人で切り盛りする。「なにもつけないで食べてね」とすすめられる水餃子の皮には、「つるん」と「もちもち」という二つの喜びが込められていて、口に運び噛んだ瞬間から幸せな気分となる。そんな皮が弾けると熱い汁がほとばしり、優しい甘みとごま油の香りが広がる。餡は韮の香りと餡の旨味が調和した味わい。中国と日本の小麦粉の違いに苦心したという女主人は働き者で、池袋に支店も出している。水餃子六個三百五十円。 楊(Yan) 東順永 中国東北部、朝鮮半島に接した遼寧省にある瀋陽の料理を出す店。餃子発祥の地であるだけに、ご主人も「瀋陽一番の名物の水餃子がうちの自慢」という。 東順永(Tojunei) 潮州 路地にたたずむカウンターとテーブル席合わせて十八席の小さき店を、広州出身の厨師馬鴻権氏が切り盛りする。 潮州(Chosyu) 悠好 餃子の名店として有名。餃子の命は皮にあると、食べるたびに痛感させられる餃子。七個のこぶりな餃子は、注文のたびに寝かせていた生地を取り出して引きちぎり、手早くのばして餡を包む。茹で立ての餃子をやけどせぬように口に放り込むと、厚手の皮は歯を包むようにからみつき、さらに噛むと小麦粉の味わいがふわりと立ち上がる。まさに水餃子の皮を噛み締める喜びをしみじみと感じる瞬間。餡は皮と対抗するかのように、コリッとした背脂の歯ごたえとよく練られた赤身挽き肉の旨味、野菜のみずみずしさが広がって、思わずニヤリ。そんな餃子を、沙茶醤と酢醤油による深い旨味があるタレが引き立てる。一皿などあっという間に食べてしまい、お代りするは必至。水餃子七百円。 悠好(Nihao) パオ 四谷より移転。台湾家庭料理の店。四谷時代より人気のあった水餃子は健在。この店の餃子の魅力は何より、小龍包のようなスープ。つるりとした皮が弾けた途端、滋味に富むスープがあふれ出る。そして豚赤身挽き肉やキャベツと渾然一体となって、「うまいっ」と叫けばさせるという次第。スープを寒天にして閉じ込めているゆえの技。ビールの伴侶として食べ進めば、何個でもいけてしまう危ない餃子である。六百円。 パオ(Pao) 岩茶房 中国茶の専門店。以前中国で食べた餃子に近づけるよう、試行錯誤を繰り返したという餃子は、五個で四百円。うっすらと皮が黄ばんでいるのは、無農薬地粉を使用しているため。そのためコシが強く、噛んでいると粉の風味がふわりと広がる。餡も皮に負けじと豚練り肉の旨味があり、さらに醤油や塩で味をつけてあるため、なにもつけずに食べるがよし。昼過ぎにゆったりと中国茶を楽しみながら、上等の餃子を楽しむは、実に至福なり。肉まんも同様に皮がおいしく、都内随一。 岩茶房(Gancha-Bou)
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