味の見聞録
ホテルの和朝食
ちょっとした旅気分を楽しむ
ゆったりとした朝ご飯

日本人であることを、強く意識させる和朝食。ホテルそれぞれに趣向がある。たまには早起きをして、あるいは徹夜仕事明けの自らへのご褒美に、または朝からの記憶の残る会食に、積極的に利用してみてはいかがだろう。

ホテルオークラ東京 
全国のホテル和朝食のトップをいく
満足のため息をつかせる質の高さ 
 

中庭を望む広々とした室内にていただける「山里」の朝食は三種類のご飯が選べる。白飯、白粥、薬膳粥。薬膳粥は、白粥に、クコ、金針菜、松の実、白木耳が入ったもの。
まず運ばれるは、梅昆布茶。続いて運ばれる番茶の熱さも程よい。さらにイチョウの文様が抜かれた、細長い桐箱が運ばれる。中は、昆布の佃煮、梅干、ちりめん山椒といったご飯の友が。いずれも質が高く、ご飯を食べ過ぎてしまう。
黒塗りの盆に配される定食は、一汁六菜。炊き物は、木の葉型に飾り切りされたかぼちゃ、里芋、ゆば、三つ葉、蟹肉。いずれも上質な出汁の味がふっくらとしみて、野菜類は舌で押すとくにゃりと崩れるような、絶妙な煮え加減で笑みを呼ぶ。
一方焼き物の皿には、塩鮭、ふっくらとして甘いおたふく豆、真ん中に梅肉をあしらった花れんこん、焼きかまぼこ。鮭の切り身は分厚く堂々たるもので、皮は焦げ目なくパリッと焼きあがり、脂の乗った身とあわせて存分に堪能できる。焼きかまぼこも魚のほのかな甘みを感じさせる質の高いもの。
小鉢は、赤と黄ピーマンと切り干し大根の和え物、しっとりと煮えた白菜と鶏、しめじの炊いたもの。いずれも味よし。その他茶碗蒸し、胡瓜、べったら、山ごぼうのお新香が添えられる。海草と切り三つ葉の味噌汁は香り高く、満足のため息をつかせる。粥、ご飯いずれも質が高い。ちなみに粥を頼んで、白飯追加はノーチャージ。
ナフキンは白い布製。サービスもよく行き届いて心地よく、一日の始まりを颯爽とした気分にさせてくれる。間違いなく全国のホテル和朝食のトップをいく。いずれも二千七百円。

山里 
港区虎ノ門2-10-4 ホテルオークラ東京本館5F
tel.=03-3505-6070
営業時間=朝 7:00〜9:30、昼 11:30〜14:30、夜 17:30〜21:30
年中無休


フォーシーズンズホテル椿山荘東京 
一汁五菜の朝食が四種類
窓の外に庭園が広がる見事な景観もご馳走 

和朝食は「日本料理みゆき」にて。なによりのご馳走は景観であろう。大きく取られた窓の外には、壮大な椿山荘の庭園が広がり、重なり合った木々が枝を揺らす。窓際の席に座り、ゆったりと食事を取れば、どこか旅に出た気分で、都心でついた垢がはがれ落ちていく。
朝食は四種類。一汁五菜で、白飯の「潮騒」三千円、白粥に美味あんがついた「朝露」三千二百円、白粥にイクラとわさびが入り、もずくあんがついた「朝霧」三千四百円、白粥にもずくあんと美味あん、銚子産の背黒イワシ焼き、梅干、お新香がついたシンプルな「白妙」二千円。いずれもフレッシュジュースがサービスされる。
ジュースは、オレンジ、グレープフルーツ、マンゴーとバナナのミックス。いずれも香り高く、なくなれば「少しいかがですか」と注いでくれる。定食の五菜は、焼き皿が、上品な出汁が利いた出し巻と酢生姜、焼き具合がほどよい塩鮭。煮物は、口に入れて噛もうとした瞬間にふわりとつぶれる、素晴らしい炊き具合の小芋二個、魚の滋味がしっかりとある太刀魚の揚げ煮、さやいんげん。お浸しは、白菜としめじに糸鰹。よく浸っている。小鉢は、若布そうめんと茗荷。お新香は、薄切りながらボリボリと音響く、たくましい昔ながらの沢庵と胡瓜に、小田原曽我の三年もの梅干。長野産ひしお味噌による味噌汁は、上品で香り豊か。具はわかめにねぎ、豆腐。
朝霧を選んだなら、最初は白粥だけ、次にわさびを混ぜ、次にイクラとわさび、最後にもずくあんをかけて食べるなどして楽しめよう。粥を頼んで、白飯追加はノーチャージ。
一方素朴な白妙も捨てがたし。丸々と太った背黒イワシを香ばしく焼きあげたもので、粥を食べてもよし、これを肴に朝から一杯なんて御仁も多いそうだ。白飯もやや柔らかいが質が高い。お茶はほうじ茶のサービス。ナフキンは白布。
広々とした室内ながら、サービスはよく目が届き、快適。

日本料理みゆき 
文京区関口2-10-8 フォーシーズンズホテル椿山荘東京2F
tel.=03-3943-6968
営業時間=朝 7:00〜10:00、昼 11:30〜14:00(土・日・祝〜14:30)、夜 17:30〜22:00
年中無休


セルリアンタワー東急ホテル 
開放感のある空間で取る清清しい朝食
季節を感じさせる創意工夫 

天井が高く開放感のある空間、ゆったり取られたテーブル席、両肘掛の付いた座り心地がよい椅子、クラシックのBGMが流れる中、清清しい朝食を取ることができる「金田中 草」。
一汁七菜の朝食で、ご飯か白粥(季節によって変わるあん、枝豆あんなど、海苔佃煮、梅干付き)を選ぶ。まず運ばれるのは、グレープフルーツジュース。続いて冬瓜と鶏のつくねのスープが運ばれる。滋味がしみた冬瓜を食べ、スープで一息ついたところに主菜が運ばれる。まず細長い黒塗銘々重には、紫蘇れんこんとちりめん山椒というご飯の友。白磁丸盆に配された陶器の小丸皿にはそれぞれ、いんげん胡麻和え、助鱒と焼きはんぺん生姜醤油、滝川豆腐、玉子焼きと染めおろしが入れられる。傍らの塗り盆には、白飯、シジミと三つ葉の赤出汁味噌汁、木箱入りの焼き海苔、胡瓜と人参のお新香が載せられている。
定番の焼き魚と玉子焼きはおさえながらも、他と違う季節を感じさせる創意工夫が、朝から舌を刺激する。質も上々。おかず類、スープ類は季節によって変わる。二千七百七十二円。

金田中 草
渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー東急ホテル2F
tel.=03-3476-3420
営業時間=朝 7:00〜10:00、昼 11:30〜14:00、夜 17:30〜22:00
年中無休


帝国ホテル東京 
炊き具合のいい白粥は
あっさりとして食欲を刺激する 

七時から九時半、地下一階の「なだ万」にて和朝食の用意がある。選択は白飯と白粥。炊き具合のいい白粥は、あっさりとして食欲を刺激する、梅葛あん付き。
番茶が出された後、運ばれる塗りの角盆に配される定食は、一汁六菜。甘くご飯を呼ぶ東京風玉子焼きと染めおろし。煮物は、土の匂いが香る人参、南瓜、小芋、グリンピース、彩り豆腐。焼き物皿は、上質で脂の乗った鮭の切り身にしし唐、焼きかまぼこ。花鰹をかけたほうれん草のお浸し。人参とごぼうのきんぴら。沢庵と青菜のお新香。味噌汁は若布と浅葱。東京風かやや濃い味。白粥頼み、さらに白いご飯の追加は別料金。納豆、明太子、とろろ芋、さつま揚げ、こんにゃくとごぼうのピリカラ煮、梅干などが三百十五円から、別オーダーできる。ナフキンは紙。
食べ終わると、お茶は煎茶に変えられる。税・サービス料別で二千七百円。

なだ万
千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテル東京本館B1F
tel.=03-3503-7981
営業時間=朝 7:00〜9:30、昼 11:30〜17:00、夜 17:00〜21:30
年中無休


フォーシーズンズホテル丸の内東京 
モダンな内装を持つレストランでいただく朝食
「ヘルシーブレックファースト」も秀逸 

七階のレストラン「EKKI Bar&Grill」にて、六時半から十時半という長い時間帯で、和洋朝食がいただける。黒のフローリングの床とグレーの絨毯、萌黄色と鶯色による縦縞模様座面に黒の木枠を配した和風の椅子、茶のテーブルにチョコレート色のナフキン、麻風茶のクロスといった、モダンな内装を持つレストランからは、国際フォーラムや旧東京駅などが望める。
まず座ると、「ジュースはいかがですか」とサービスされる。香り高く、温度も適温なオレンジジュース、もしくはそれぞれの香りが次々に立ち上るバランス見事な、林檎と巨峰、ストロベリーなどによる、本日のジュースを選ばれてはいかがか。
和朝食は一汁四菜。盆で運ばれ、直接器がクロスに置かれる。ある日のそれは、焼き魚が、身が厚くしっとり焼きあがった鰺の開きとしし唐。上質な出汁をたっぷり使った出汁巻と染めおろし、昆布の佃煮。両者は、手付きの細長い白磁重に入れられ、重ねて出される。煮物は味がやさしくしみこんだ冬瓜。お新香は、花大根に小茄子、みぶな。山形屋の焼き海苔。ご飯はやや硬め。メロンと葡萄などのデザートも付く。お茶を申し出れば、鉄瓶に入れられた香り高き甘い煎茶が運ばれ、コーヒーを望めば、「alfi」の円錐型モダンなポットで運ばれる。銀器は「ERCUIS」。和朝食はサービス料別で四千二百円。
和食ではないが、白身だけを使ったスクランブルエッグなどが組み込まれた「ヘルシーブレックファースト」も秀逸。

EKKI Bar&Grill
千代田区丸の内1-11-1パシフィックセンチュリープレイス丸の内 
フォーシーズンズホテル丸の内東京7F
tel.=03-5222-5810
営業時間=朝 6:30〜10:30、昼 11:30〜17:00、夜 17:30〜23:30
年中無休


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