味の見聞録
カウンターイタリアン(2)
潮流とどまらず
隆盛激しいカウンターイタリアン続編


リストランテ・ロマンティコ 
郷土料理を愛している…
シェフの思いが込められたメニュー名が楽しい 
 

閑静なプラチナ通りの裏手にあり。ビルの二階に上がると細長い店内にずらりと並んだ、十席のカウンターに出迎えられる。ゆったりとられたカウンターは、目隠しが直角に立ち上がるのではなく、厨房に向かって斜面がつけられている。客席より広い厨房にたたずむのは、シェフ中山健太郎氏一人。調理はもちろん、抜栓から接客まで淀みなく一人で行う。
どれも食べさせたくて仕方ない。郷土料理を愛している。というようなシェフの思いが込められたメニュー名は楽しく、思いが千々に乱れる。前菜では、脂のコクとともに牛肉の味が迫り、噛む喜びがあるイタリア版タルタルステーキ「短角牛のバットゥータ ピエモンテ名物」二千四百円、チーズと燻製の香りに肉厚のナスの甘味が調和する「揚げナスと焼きアッパシータ 酸味を利かせて」千六百円、軽くモンテするように仕上げた、優しい味わいの中にどっしりとした旨味が潜んだ「ピサの街の流儀で トリッパの煮込み」千八百円などがお奨め。
パスタでは、辛味とバターのコクの中から麺の甘味がにじみ出る「卵黄のみで打ったタリヤン ニンニクと唐辛子 そして少しのバターで和えて」千六百円、酸味・塩気・甘味のバランスが取れ、無駄のなく余分な旨味がないトマトソースの深さを痛感する「シンプルにスパゲッティトマトソース イタリア中部辺りのスタイルで」千四百円ほか、魅力的なパスタが揃う。
主菜では、シェフならではの「和牛テールの赤ワイン煮込み」四千二百円を是非。艶やかに黒々と輝くこぶし大のオックステールは味が深く、酸の切れと重厚な旨味を含んだソースと絡んでホロホロと崩れゆく。逸品である。
ワインはシェフ自身が飲みたい銘柄を中心に、四〜六千円台が主流。

リストランテ・ロマンティコ 
港区白金台5-14-8 タイニービル2F
tel.=03-3446-2484
営業時間=12:00〜14:00、18:00〜21:30
定休日=水曜


オステリア・メルカート 
選ぶのに悩むパスタメニューが並ぶ
ワインの値段も手頃 

細長い店内、鉤の字型十二席のカウンターのみ。若いシェフが一人で切り盛りする。座ると、フォーク・ナイフとともに箸が置かれる。  
料理は前菜とパスタのセットで二千七百三十円。その他主菜アラカルトが数種ある。前菜ではまず、「イベリコ豚セクレートと自家製ソーセージのオーブン焼き」がいい。セクレートとは、腹部の脂肪と脂肪の間の肉。舌に甘えてくるような肉の甘味と、フォアグラの香りがいい自家製サルシッチャとの相性の良い、ボリュームある前菜だ。「白子のポワレ桜海老と茸のリゾットを添えて」は、白子のねっとりした旨味と桜海老の香りの出会いの良さに驚く逸品。パスタでは、プリッと弾けるような身や皮や胃袋など様々な食感を持つアンコウがやさしいトマトソースと絡む「アンコウとフレッシュトマトのタリオリーニ」、二センチ角に切られて噛む喜びを残した鹿肉とゴルゴンゾーラの塩気、ほっくりと煮えた大根の優しさが見事に調和するソースを、幅広長方形のパスタが受け止める「鹿肉と大根のミートソース ラザニエッテ ゴルゴンゾーラ」などが素晴らしい。その他「地卵と長芋のカルボナーラ」「ズワイ蟹と長ネギのオレキエッテ」「自家製ソーセージとブロッコリーのウンブリェッチェ」といった、選ぶのに悩むパスタメニューが並ぶ。八種のパスタ中六種類が生パスタ。
ワインも手頃な値段のものが揃う。

オステリア・メルカート 
港区白金5-13-7
tel.=03-3443-5306
営業時間=12:00〜13:30(火曜〜金曜のみ)、18:30〜22:00
定休日=月曜


レストラン・パリアッチョ 
鮮烈な香り、胃袋を刺激する
様々な肉や野菜の鉄板焼き 

店内に入ってすぐに目につくのは、厨房に向かってアールを描く八席のカウンター。そこには鉄板がしつらえてあり、様々な肉や野菜が炒められるのだ。中村孝之シェフは、イタリアで四年、スペインで一年修業したが、スペインのバールで見かけた鉄板を、イタリア料理で展開できないかと考え持ち込んだのだという。テーブル席もあるが、魅力を味わうには是非カウンターの予約を。
ディナーコースは、三千八百円、六千円、一万円。前菜は、シェフのしなやかな感性を発揮した独創的な皿が並ぶ。ある日は、淡い甘味に穏やかなソースが共鳴する「白身魚のハンバーグ 名古屋コーチンのたたきトマトクリームソース」に始まり、栗の旨味が様々に展開する「鴨と栗のキッシュ 栗とフォアグラの春巻き」でときめかせ、食いしん坊を唸らせる「トリッパの煮込み」と続く。
パスタは二種類。季節の香りを満載した「茸打ち込みパスタ カラスミ 銀杏 松茸」と、蟹の風味を凝縮させた「渡り蟹のリゾット」。この二つもカウンターで仕上げられる。
そしていよいよ鉄板焼きが登場。「本日のお奨め肉を鉄板で」は、自家製ハム、仔羊の煮込み、イベリコ豚のタン、ダチョウの砂肝、鶏肉などを炒めていく。途中、豚肉のフォン、仔羊の煮汁、オリーブ油などをふりかけ、鮮烈な香りを振りまきながら、胃袋を刺激する。季節の茸類や豚ロース厚切り肉の鉄板焼きも、香り攻撃にたまらない。「トマトのパンナコッタ」「桃のファンタジア」といった、ドルチェも秀逸。

レストラン・パリアッチョ
目黒区上目黒3-16-13  CUBE-M2F
tel.=03-5722-3977
営業時間=11:30〜14:30、18:00〜22:00
定休日=日曜


エノトリア・ディアーナ 
様々な魅力に溢れる
気さくなイタリアン・バール 

気さくなイタリアン・バール。厨房を取り囲む十四席は、ハイカウンターにスツール。実に使い勝手が良い。魅力は十点。
(1)安い。「スパゲッティアマトリチャーナ」ハーフ五百六十円。 
 だが、八十グラムもある。味も正統。フルは千円。
(2)深夜までやっている。
(3)一人でもふらりと訪れやすい。
(4)酒のみでも、一品のみでも、フルコースでも、ワインを飲み
 ながら少しずついろいろなものをつまんでも楽しい。
(5)スタッフが気さくで心地好い。
(6)手を抜かず、パンチェッタや各種ソーセージも自家製。例え 
 ば「仔羊のサルシッチャ自家製スモーク ローズマリー風味」
 四百九十円。香り高く、練り肉の旨味凝縮。
(7)ワインに詳しいスタッフがいる。
(8)「サンダニエーレ産骨付きプロシュット十二カ月熟成 フリ
 ウリベネツィアジューリア」四百九十円を始めとして「フェ
 ンネルシード風味のサラミ」「アルトアディジェ産スペック」
 各四百三十円などハムやサラミ類全六種類とチーズが充実。
(9)グラスワインも豊富に様々な大部を用意している。
(10)郷土料理や小皿料理が充実。例えば、挽肉と野菜とパンで作
 った団子の「アルトアディジェ風カーネデルリ」や、中に挽
 肉を詰めてフリットした「オリーブの詰め物 アスコリピテ
 ェーノ風」三百九十円など。

エノトリア・ディアーナ
世田谷区北沢2-14-14 ハニー下北沢1F
tel.=03-5779-8733
営業時間=月曜〜金曜 15:00〜翌3:00、土曜 11:30〜翌3:00、
               日曜・祝日 11:30〜23:30
年中無休


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