カウンターフレンチ
シェフの個性が光る
多彩なビストロ料理
前号のイタリアンに続き、フレンチ版。こちらも増加傾向にあり。高級店からカジュアル店までをご紹介。 |
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マルシェ・オ・ヴァン・ヤマダ
フランス料理好きのツボをつく
王道ビストロ料理
前身は青山の人気店。現在この店を含め、六本木「コジト」ほか三店舗経営。店はたった五坪、カウンター十席を、シェフとサービスの女性二人で切り盛りする。連夜満席だが、小さき店に充満する、おいしい賑わいは格別。
料理は王道ビストロ料理。今ではすっかり見かけなくなった「コック・オー・ヴァン(若鶏の赤ワイン煮込み)」二千二百円など、フランス料理好きのツボをつく。イベリコ豚のサラミ、鶏レバーのムース、鴨のリエットを盛り合わせた突き出しに続いて、前菜では、柔らかな甘味を酸味のあるソースが持ち上げる「イベリコ豚のラビゴットソース」千八百円、質のいい蛙をシンプルに仕上げた、しゃぶりつく楽しみ「ドンブ産グルヌイユのムニエル」千九百円などがお奨め。主菜では、前出のソースの酸のキレが心地よい「鶏の煮込み」ほか、弾けるような身が魅力的な「ひげ鱈と白子のポワレ」千八百円、ゼラチン質に富んだ豚の頭の各部位を固め、こんがりと焼いてマスタードソースを添えた「もち豚のテッド・ド・フロマージュのクルスティアン」千八百円がいい。
狭いながらも質の高いワイン揃え。一万五千円中心。サービスの女性の対応が素晴らしく、居心地よし。つい飲みすぎるは必至。
マルシェ・オ・ヴァン・ヤマダ
渋谷区広尾5-19-3
tel.=03-3441-9979
営業時間=18:00〜翌2:00
定休日=日曜
レ・ディ・タン・ザ・トトキ
選りすぐった食材を、巧みな技と
しなやかな感性で仕立てる独創的料理
「レカン」で十一年間シェフを務めた十時亨シェフが三年前にオープンさせた、カウンターのみのレストラン。厨房と向かい合う形で二十席がずらりと並ぶ。入り口近くは六人が取り囲むように配されたカウンター席となっている。
コースは、昼三千九百九十円〜一万五百円、夜九千四百五十円〜二万千円。グランメゾンに行き慣れたお客さんも多いだけあり、シェフと相談し、その日に入荷した食材からいくつか選んで組み立ててもらうことも可能。レカン時代より、日本全国から選りすぐった食材を、巧みな技としなやかな感性で仕立ててきた、独創的な十時料理は健在。その結実が、試行錯誤を重ねて半年がかりで出来上がったという「干し鮑の赤ワイン煮」ではなかろうか。クリムゾンレッドの深遠なソースの味に陶然となる中、噛むうちに、鮑の海と太陽の滋養が高まって次々と湧き出てくる。時間の経過と共に押し寄せ、圧倒し、経時変化していく味わい。ワインを飲めばさらに爆発、妖艶。傑作である。三陸吉浜産の高級鮑「吉浜鮑(キッピンパオ)」一皿一万八千円、大間産の「網鮑(モーパオ)」二万五千円、と高価だが一度試す価値あり。要予約。 その他ある日のコースは、アミューズに、レンコンのマリネ コリアンダー風味、タコのマリネ、スモークサーモン。続いて、コンソメの塩気が際立たせたひとみ人参の強い甘味が、淡雪のように消えてゆく、ローズ色の「人参のムース」。白子のフランの上に白子のムニエルを乗せ、上質のコンソメを流した「白子のコンソメロワイヤル」。百合根とホウレン草の甘味が、バリッと揚げてうろこを立たせた甘鯛の甘味と共鳴する「甘鯛の百合根とホウレン草のソース」。メキャベツなど野菜のつけ合わせも目を見張るものあり。続いて肉料理、脂が締まっていてきめ細かく、牛肉のような鉄分を感じさせる「天城産猪のロースト」。「クレームキャラメル」、苺のスープやムース、レモンバームなどが折り重なった「苺のパフェ」、コーヒーの苦味と栗の甘味が出会う「栗のスフレグラッセ」など、デゼールも華やかで夢見心地に誘う。
ワインは少規模生産者中心に七百本のストック。ブルゴーニュ中心。サービスもエレガント。
レ・ディ・タン・ザ・トトキ
中央区銀座5-5-13 坂口ビル7F
tel.=03-5568-3511
営業時間=[水〜金]17:30〜22:00
[土・日・月・祝]11:30〜14:00、18:00〜20:30
定休日=火曜
オー・グルマン
フランス料理ならではの
堂々たる皿が揃う
裏路地にひっそりと佇む小体なレストラン。マダムとシェフの二人三脚で切り盛りする店は、温かい雰囲気に包まれている。テーブル席のほか、開け放たれた厨房と対面した五席のカウンターがあり、シェフと対話しながらの食事は楽しい。前菜はほとんどの皿がハーフサイズの用意があり、皿数多く頼むのも楽しい。
前菜では、皮が香ばしく、舌にしなだれかかる「香り軽くあぶり焼きにした寒カマスと東八野菜のサラダ仕立て アンチョビドレッシング」、牡蠣の味わいが凝縮し、エキゾチックな香りを放つ「三陸産牡蠣マリネ」、驚くほどのネギの甘味に妖艶なトリュフの香りが重なる「山梨東八風土記の一本ネギと黒トリュフのポタージュ」などがすばらしい。
主菜では、丁寧に皮を剥いた豆に味が染み込んだ「アンデウィエット 島根産猪の自家製ベーコン ほろほろ鳥のコンフィのカッスーレ仕立て」など、フランス料理ならではの堂々たる皿が揃う。これからの季節なら、春のスペシャリテ、優しい甘味が広がる「新玉ネギのムース」がお奨め。
オー・グルマン
港区麻布台3-4-14 麻布台マンション103
tel.=03-5114-0195
営業時間=18:00〜24:00(土・祝12:00〜15:00、18:00〜23:00)
定休日=日曜
ブラッスリー・イブローニュ
フランス郷土料理を
ワイン片手にさまざまに楽しむ
「酔っ払い」という名の店内は文字通り、ワイン片手にさまざまに楽しむ人たちで賑わっている。十五坪ほどの店内は、厨房と対面した長いカウンター、赤と白のギンガムチェックのクロスがかけられた四つのテーブル席で、連夜満席。厨房の有馬裕孝氏と二人のサービスで切り盛りする。カウンター席は、シェフと雑談し酒を飲みに来る常連で深夜まで賑わう。それもまた楽し。
店名に込めた通り、たとえ一皿でもよし、あるいは何皿も並べてお酒を楽しんでほしいと語る有馬氏の料理は、郷土料理を中心とした構成。
前菜は、しっとりとした肉質で八角が香る「自家製ロースハム」八百円、丁寧な仕事が光る「鰯のマリネ」、ジャガイモと玉ネギとともにとろとろに甘く煮込まれた「ランド風白インゲン豆の煮込み」千円など。主菜は、中がロゼ色に適妙な火入れで肉汁が豊かな「蝦夷鹿のポワレ カシスソース」千九百円、上ミノ、牛筋、豚足による、食感が楽しい「トリップの煮込み」二千円、ほろりとして旨みが詰まった「鴨のコンフィ」、チョリソと仔羊による、堂々たる量の「クスクス」など。
食後にはぜひ、コーヒー豆を射込んだオレンジをカルバドスに四十四日間漬け込んだ食後酒「キャロンド・キャトル」を。
ブラッスリー・イブローニュ
世田谷区池尻2-27-7
tel.=03-3419-6033
営業時間=17:30〜翌1:00
定休日=火曜
ビストロ・サン・ル・スー
シンプルでおいしい
魅力的な皿が豊富
シンプルにおいしい料理がいただける人気レストラン。入り口を入ると、右手がテーブル席。左手が厨房と対面したカウンター六席がある。カウンターは全面がステンレスで、手前だけ古木があしらえてあり、居心地よし。
前菜二十種類を選び、その横に書かれた値段で主菜、デザートがつくというプリフィクススタイル。四千百円〜五千百円。一部主菜によってプラス料金あり。人参の甘味と海老の甘味が合う「人参のムース 天使海老のカクテル」や、脂の香りが素晴らしい「フォアグラ・ド・カナールのコンフィ サラダ仕立て」のほか、「豚足、豚耳、豚こめかみ肉のパートブリック包み焼き」、「渡り蟹の裏ごしスープ」など、魅力的な皿が揃う。
主菜は、噛んだ瞬間、思わず笑ってしまうほどの甘い肉汁があふれ出す「つなんポークロースのロースト 焼き野菜添え」、「鶏モモ肉の茸のリゾットとフォアグラ詰めロースト」、塩加減がぴたりと決まった「バヴェットステーキ」、「金目鯛のポワレ セップ茸とアサリの二色ソース」など十四種類。デザートは苺のムースとシャーベット、ココナッツのブランマンジェを合わせた「苺づくしのプティポ」など十四種。
フランス産ワインは約百八十種類。
ビストロ・サン・ル・スー
杉並区西荻南3-17-4 第2篠ビル2F
tel.=03-3247-1408
営業時間=12:00〜14:00、18:00〜21:30
定休日=月曜・第2火曜
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