バゲット
料理に合わせて
選ぶ楽しさいろいろ
ハード系パンの代表バゲットは、長く人々を魅了し続けている。クラスト(皮)とクラム(中身)の対比的な食感、皮の風味、粉の味わい、甘味や塩気、酸味、香ばしさなどパンの基本的な魅力がすべて詰まっている。砂糖や油を使わず、小麦粉、水、酵母というシンプルな材料で、じっくり段階を経て作られ、多くの複雑な香りを内包するバゲットのおいしいお店をご紹介。 |
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シニフィアン・シニフィエ
永遠に噛み締めていたい幸せ
シェフがこめた思いが伝わる
二〇〇六年秋にオープンした新店。オーナーは、志賀勝栄シェフ。アルトファゴス、ペルティエ、ユーハイムなど、彼がシェフを務めてきた店はパン好きを魅了してきただけに、開店と同時に人気店となっている。店名は、直訳すると「意味するもの・意味されるもの」。哲学の言葉で、シニフィアンは「誰もが共有できる事実」、シニフィエは「個人的なイメージ」を表し、どのパンも噛み締めれば、シェフが店名にこめた思いが伝わってくる。
バゲットは、三種類。「バゲット・プラタヌ」(四百五十円、長さ約四十八センチ、高さ約四センチ、幅約六センチ)は、海洋深層水とオーガニックの小麦を使ったバゲット。こげ茶の面構えが凛々しい焼き上がり。バリッ、ミリミリとクラストを突き破ると、もっちりとしたクラムに歯がめり込んでいく。なによりも香ばしさが弾けるクラストがうまく、食感が対比的なクラムは、濃い甘味があって、粉の風味に富む。それだけで永遠に噛み締めていたい幸せがある。一方両端が尖ったレトロタイプな姿に細長いクープ(切れ目)が三つ入った「バゲット・ドゥ・ジュール」(二百六十円、長さ約四十三・五センチ、高さ約四・五センチ、幅約六センチ)は、主にフランス産小麦を使用。香ばしさが弾けるクラストは、ガリッと煎餅のような歯応えで、クラムは対照的にふんわりとした食感。噛むほどに味が膨らみ、うまみが滲み出る味わいに、目を細めるは必至。どの料理とも合うが、肉のテリーヌと合わせると、個性がぶつかり合い、目を丸くするほどテリーヌの味が一層豊かになっていく。その他「バゲット・アン・プ」三百二十円は、サクサクとしたクラストの食感と淡い酸味を楽しめるバゲット。クリーム系の料理や魚介類によく合う。
シニフィアン・シニフィエ
世田谷区下馬2-43-11-1F
tel.=03-3422-0030
営業時間=11:00〜19:00(金曜・土曜〜20:30)
定休日=毎週火曜、隔週月曜(不定休)
VIRON
フランスの高級小麦粉を使い、
試行錯誤のうえ日本の風土で完成
VIRONの登場は、バゲット界に衝撃を走らせた。パリで食べたバゲット レトロ・ドールに惚れ込んだオーナーが、同じレトロ・ドールというフランスのVIRON社の高級小麦粉を使い、試行錯誤して日本の風土で完成させたバゲットである。毎年ボース平野の約二百種の小麦をブレンドし、蛋白量や灰分が不安定なため、製造過程でつどつどの調整が必要となる職人技が重要な粉である。水に硬水のコントレックスを混ぜ、塩はゲランド、イーストはサフとフランス産が使われ、七十パーセントと吸水率を高め、オーバーナイト冷蔵法という長時間熟成によって完成される。
まず魅力を味わいたいなら、大きなクープが五つ入った「バゲット・レトロドール」(三百三十六円、長さ約五十センチ、高さ約六・二センチ、幅約六センチ)を。断面は蜂の巣のようにきれいな気泡が入っている。ハードな厚めのクラストは、煎餅のようにバリンッと音を立てて砕け、引きちぎろうとすると、クラムはつきたての餅のように伸びる。香ばしく豪快なクラスト、もっちりとしたクラム、噛み締めるほどに滲み出る粉の風味、甘味。よく噛むので満腹にもなる。逞しいフランス料理と合わせたい、その伴侶として育まれてきた食文化を伝える。日に十二回焼かれるので、焼き上がりを狙いたい。また、このバゲットは湿度の高い日本では劣化が早いのが欠点だが、そのリスクは覚悟の上。その日食べない分はすぐ冷凍して焼き戻せば生き返る。
粉をまぶして、より風味を高めた「レトロドール・ファリネ」(三百三十六円、サイズは前者とほぼ同じ)、ねじって整形することにより、気泡を少なくし、よりクラムのもちもち感を高めた「レトロドール・トルナーデ」(三百三十六円、長さ約五十センチ、高さ約四・八センチ、幅約四・九センチ)も是非。
VIRON
渋谷区宇田川町33-8 塚田ビル1F
tel.=03-5458-1770
営業時間=9:00〜22:00
年中無休
ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション
長時間醗酵という名がつけられた
スリムなバゲット
一番のおすすめは、カナダ産の小麦を使用、長時間醗酵させた「バゲット ア フェルマンタシオンラント」(三百十五円、クープ一つ、長さ約五十一・五センチ、高さ約三・五センチ、幅約五センチ)。長時間醗酵という名がつけられたスリムなバゲットで、こげ茶に焼き上げられたクラストは、厚く、パリリと弾ける。大小の気泡が入ったクラムは、噛んだ瞬間小麦の香りが立ち、そのもっちりとした食感を噛み締めると、粉の酸味、甘味があふれ出る。力強いフランス料理と堂々と渡り合えるバゲット。レストランでも出される、可愛らしい「プチバゲット ロブション」(九十五円、クープ四つ、長さ約十センチ、高さ約二センチ、幅約二・五センチ)は、カリリと噛み締める、香ばしいクラストが魅力。ライ麦、全粒粉などをブレンドした「バゲット アランシェンヌ」(三百十五円、クープ左右に斜めに七つ、長さ約三十五センチ、高さ約四・八センチ、幅約五センチ)は、粉がまぶされたこげ茶のガリッと砕ける逞しいクラストと、ベージュ色の気泡が少ないクラムが特徴。重みがある食感で、肉の煮込み料理やテリーヌとの相性がいい。フランス産の小麦粉とゲランドの塩を使った、「バゲット クラシック」(二百七十三円、クープ五つ、長さ約五十一・五センチ、高さ約三・八センチ、幅約六・六センチ)は、両端が細くなった姿に、こげ茶のクラストが凛々しい。カリカリと弾けると、もっちりとした引きの強いクラムに歯が包まれる。魚料理と合わせてみてはいかがだろう。
ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション
目黒区三田1-13-1 恵比寿ガーデンプレイス
シャトーレストラン ジョエル・ロブション内B1F
tel.=03-5424-1345
営業時間=9:30〜20:00
定休日=不定休
ベッカライ・ブロートハイム
さまざまな国のパンが揃う
いくらでも食べられるようなおいしさ
開店二十年を迎える人気のブーランジェリー。ドイツ、フランス、イタリア、日本など、さまざまな国のパンがあるが、いずれも質が高く、パン好きを唸らせる。端正な折り目正しいクープが利いた「バゲット」(三百円、クープ七つ、長さ約五十八センチ、高さ約五センチ、幅約六センチ)は、クラストがパリッ、サクサクと軽快で、ふんわりと歯を包み込むクラムとともに、いくらでも食べられるようなおいしさを呼ぶ。料理のじゃまをせず、盛りたてるので、フランス料理以外にも合わせたい。サイズ違いの「プチバゲット」(百六十円、クープ五つ、長さ約三十八センチ、高さ約五センチ、幅約五・三センチ)もあり。
ベッカライ・ブロートハイム
世田谷区弦巻4-1-17
tel.=03-3439-9983
営業時間=8:00〜19:30
定休日=月曜、第1火曜
ムッシュ・イワン
伝統的なホテルパン製法にて作られた
あらゆる料理に合うバゲット
立川駅からバスで十四〜六分の場所にある。店名は、日本のホテルに初めてベーカリーを創った、イワン・サゴヤン氏にちなんで。シェフ小倉孝樹氏は、イワン氏の愛弟子で「ホテルパンの父」と呼ばれた福田元吉氏のもとで修業された。
伝統的なホテルパン製法にて作られた、「バタール」(二百三十円、クープ三つ、長さ約四十六センチ、高さ約五・二センチ、幅約六・五センチ)は、クラストが薄めでミリミリッと軽やかに砕ける、クラムはほんのり黄みがかり、しっとりと歯に優しい。あらゆる料理に合わせて、気軽に。フランス産小麦をメインにライ麦などをブレンドさせた「Vバタール」(二百九十円、クープ三つ、長さ約三十七センチ、高さ約五センチ、幅約七・五センチ)は、気泡が小さく詰まってやや灰色がかって、パリッと軽やかなクラストともっちりしたクラム。醗酵バターと合わせたい。同じくフランス産小麦をブレンドした「フルート・イワン」(百九十円、長さ約三十五センチ、高さ約四・二センチ、幅約六センチ)は、香りよく、ジャムとの相性よし。サンドイッチもいい。フランス産小麦を百パーセント使い、長時間熟成させた「バゲット・スワッソン」(二百五十円、クープ三つ、長さ約四十センチ、高さ約五・六センチ、幅約八・六センチ)は先が尖った形。なによりも噛んだ瞬間の香り、小麦の風味が魅力。尖った部分のこげ香とともにガリッと噛む喜びも。肉料理に合わせたい。
ムッシュ・イワン
立川市若葉町1-7-1 若葉ケヤキモール
tel.=042-538-7233
営業時間=10:00〜20:00(土曜・日曜 9:00〜)
年中無休
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