味の見聞録
カツカレー
カツのカリカリ感と
カレーのコクとの見事な調和


ムッシュヨースケ
フレンチのシェフが作ったカレーがテーマ
ご飯とカレーに見事に馴染む厚さ一センチのカツ 
 

フレンチのシェフが作ったカレーをテーマにし、フランス料理もいただけるレストラン。
各種カレーと共に「黒豚ロースのカツカレー」(昼、スープ、飲み物つきで千百五十五円、夜千四百七十円)が人気。楕円の皿に楕円形に盛られたご飯の上にカツがのり、カツの上には揚げ玉ネギとパセリが散らされている。カレーは別添え。きめ細かい衣で香ばしく、カリリと揚げられたカツは、肉の旨味を閉じこめ甘い。一緒に食べれば、辛味と甘酸っぱさ、フルーティーな香りが溶けこんだカレーと豚の甘味が合ってなんともうまし。バランスを考えられてだろう、一センチ強ほどの薄さに切られたカツの厚みが、ご飯とカレーと合わせた時に見事なほど馴染む。素揚げのレンコン、クルミ、ニンニクの芽添え。

ムッシュヨースケ 
目黒区青葉台3-21-13
tel.=03-3716-5999
営業時間=11:30〜15:00、18:00〜22:00
定休日=火曜


資生堂パーラー
苦味、酸味、甘味、旨味、スパイス香が
味の厚みとなって舌を包みこむ 

通常メニューにはないが、コースメニューで豚料理を出している時には、特別に作っていただける。
まず運ばれるは、段違いの小鉢に薬味が入れられた銀器。ミカン、ラッキョウ、醤油漬け玉ネギ、福神漬け。次に運ばれる白い大皿には、きめ細かい衣でキツネ色に揚げられたカツと付け合わせの野菜。給仕人が蓋つきの銀器を開け、うやうやしくご飯を手前に盛り合わせる。
そして銀器のソーサーに入れたカレーが置かれる。取材当日の豚は、沖縄あぐー豚。カリッと衣を突き破ると、甘い肉汁があふれ出す。下味ほどよくそのままでも十二分においしく、ご飯と食べたくなるが、ソースをかける。黒に近い焦げ茶色のカレーソースは深遠。入り混じった苦味、酸味、甘味、旨味、スパイス香などがどれ一つ突出することなく、渾然とした味の厚みとなって、なめらかに舌を包みこむ。カツを半分に切り、カレーと混ぜ合わせれば、互いが味を持ち上げ、とても幸せな気分を呼ぶ。品格が見事に着地したカツカレー。

資生堂パーラー 
中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル4・5F
tel.=03-5537-6241
営業時間=11:30〜21:30
定休日=第1・第3月曜


フリッツ
厚さ約三・五センチの堂々たるカツ
スパイス香立ちのぼる茶色い欧風系カレー 

トンカツ、オムレツライス、ハンバーグ、コロッケなど、赤坂「旬香亭」の斉藤元志郎シェフによる、洗練された洋食がいただける。
「スペシャルカツカレー」は二千四百二十円。楕円の皿の中央にご飯、左手前に千切りキャベツ、左奥に厚さ約三・五センチ弱の堂々たるカツ、右側にゆで卵入りカレーソースが流される。きめ細かい衣に密着した肉は、しっとりとした断面が一面ロゼ色で、肉汁に富み、甘く、それだけで食べ進みたくなる誘惑にかられるが、是非カレーと共に。スパイスの香り立ちのぼる茶色い欧風系カレーとご飯、半分に切ったカツを一緒に口に運べば、脂身が甘さを主張し、カレーの味が一段と膨らむ。そこへご飯が絡む、カツカレーの幸せを実感するは必至。

フリッツ
千代田区永田町2-13-10 プルデンシャルタワー1F
tel.=03-3500-3755
営業時間=11:15〜15:00、17:15〜22:30
定休日=日曜


平田牧場
牧場直営の上質な三元豚からなる
ヒレカツカレーとロースカツカレー 

上質な三元豚を生産することで知られる、山形県平田牧場直営の豚肉料理店。
「ヒレカツカレー」千五百円、「ロースカツカレー」千四百円。いずれもご飯の上にカツがのせられ、カレーソースは別の器にて出される。ロースは百二十グラム(切り身が五、六切れ)。断面は艶やかで、中心をうっすらピンクに染めて、美しい。中粗の衣がサクッと香ばしく裂けた瞬間、甘い肉の滋味が広がっていく。とろみのあるカレーは焦げ茶色で、まずは玉ネギの甘味、チャツネ系の甘酸っぱさが広がって、深いコクを感じ、最後にほんのりと辛味がやってくる。最初はカツを食べて、カレーとご飯、ソースをかけたカツと、カレー、カツにカレーをかけたご飯、すべてを混ぜてと、楽しみ方を変化させても楽しい。
ヒレは四十グラムのカツが二枚。それぞれ二つにカットされている。カレーにまぶして食べたい方はこちらがお奨め。

平田牧場
中央区日本橋1-4-1 コレド日本橋4F
tel.=03-6214-3129
営業時間=11:00〜15:00、17:00〜23:00(日曜・祝日〜22:00)
年中無休


エリーゼ
廉価でいただける洋食屋
カツカレーは三種類 

四谷の洋食、庶民の味方。皿いっぱいのオムライス、スペシャリテのビーフトマト、ジューシーなメンチカツ、ビーフシチューに至るまで、廉価でいただける。
カツカレーは三種類。「上ロースカツカレー」九百八十円(ヒレも同価格)は、二センチ強の厚い肉で、ご飯の上にカツがのり、カツに半分かかるよう、焦げ茶のカレーがどろりとかけられる。運ばれた瞬間に立つカレー粉の香りにそそられてカレーをかきこむ。カレーのかかっていないカツの部分には、ソースをちょいとかけ、カレーとソース、衣と豚肉の香りの出会いを楽しむと良い。フォークを使わず、スプーンで一気呵成に食べたいカツカレー。 
また通常の「カツカレー」八百五十円は、カツとカレーをよく混ぜ合わせて食べたい。プラス八十円でトッピングに半熟目玉焼きをのせ、混ぜ合わせると、なおうまし。

エリーゼ
新宿区四谷1-4-2 峯村ビル1F
tel.=03-3357-6004
営業時間=11:00〜15:00(L.O.)、17:00〜21:00(L.O.)
※土曜は昼のみの営業
定休日=日曜、祝日


燕楽
カツとカレー
自信の品をがっぷり四つに組ませた逸品 

ご存知、トンカツの名店。トンカツ屋に多いトンカツとカレースタイルでなく、うまいトンカツを、カレーソースで食べてもらいたいという意思のある「カツカレー」千二百三十円。
白皿に盛ったご飯の上に、百五十グラムほどの大きなカツを置き、カツの中央からご飯にかけて、ザク切りの玉ネギと一口大の豚バラ肉がゴロゴロと入ったカレーがたっぷりかけられている。迫力のお姿である。まずはカレーのかかっていないところの、サクッと香ばしい粗め衣に少しソースを垂らし、一口齧ってはカレーライスを食べる。甘めでコク深いカレーと豚の旨味がよく合う。次にカレーのかかったカツ。しんなりした衣と、まだカリッとするご飯側の衣との対比が楽しい。さらにカレーの豚バラとカツ、ご飯を合わせる。豚バラの脂の甘味、ロースカツの甘味、玉ネギの甘味、ご飯の甘味、様々な甘味が一体となって、カツカレーの旨味は頂点となる。カツとカレー、自信の品をがっぷり四つに組ませた逸品である。豚バラと大根が入ったおいしい豚汁つき。

燕楽
港区新橋6-22-7
tel.=03-3431-2122
営業時間=11:00〜14:00(土曜〜13:30)、17:00〜20:00
定休日=日曜、祝日


河金
長く人々に愛されてきた
昔ながらの味を引き継ぐ由緒ある一品 

カツカレーの元祖は、一説によれば元巨人軍千葉茂選手の要請によって生まれたという、銀座「グリルスイス」。一説では今はなき浅草の「河金」だという。
大正七年にまだ屋台を引いていた初代が、「おい、カツにカレーをかけてくれ」と言われ作った、由緒ある丼である。浅草の店は今はないが、往時の味を引き継ぐのが、分家した当店。「河金丼」は七百五十円。ご飯の上に千切りキャベツをのせ、豚モモ肉のカツをのせ、カレーソースをたっぷりかけたものである。とろりとカツに絡む薄茶のカレーは、ほのかに辛く、甘く、郷愁呼ぶ味わい。カツの衣はきめ細かく、カツは厚すぎず、肉汁も主張しすぎず、カレーの具としての一体感がある。そのさりげなさこそが、長く人々に愛されてきた秘訣なのだろう。

河金
台東区下谷2-3-15
tel.=03-3873-5312
営業時間=11:00〜14:00、17:00〜19:30
定休日=土曜


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