味の見聞録
もつ鍋
ホルモンと野菜がたっぷり
栄養満点のあったか鍋

二〇〇三年暮、恵比寿に開店した博多風もつ鍋屋「蟻月」が人気を呼んだことにより、都内で次々ともつ鍋屋が開業。大阪にも飛び火し、第二次もつ鍋ブームと呼ばれている。ただ現状は、安いがもつの質がよくなく、味付けも旨味調味料過多の店が多い。その中で質のよいもつと丁寧な仕事の光る店をご紹介。

ゆうじ
味わい深い醤油味と味噌味の二種類
「テッチャン鍋」「ホルモンすき焼き」もお奨め 
 

渋谷の路地に佇む小さな焼肉店。質のよい、豊富な種類の肉や内臓の品揃え、肉の味に合わせた丁寧な味付けと下処理、独創的な内臓料理の数々などで、焼肉通を魅了し続けている。
もつ鍋は、醤油と味噌の二種類。醤油味は、椎茸、昆布、アゴのダシに鶏ガラと牛スジのダシを合わせ、金沢から取り寄せた醤油や隠し味にしょっつるなど加えたスープは色濃く、一見濃厚な味わいのようだが、実に切れ味よく上品な旨味と深い滋味がある。また、煮詰まっても甘みが際立ったり、くどくならない。そこに吟味された小腸、白菜、ニラ、胡麻を加えて煮る。脂が舌に残ることなく、甘く柔らかい脂と薄皮の極上小腸が旨く、猛然と食欲加速する。途中でおぼろ豆腐を投入して、舌を和らげ、添えられたニンニクスライスや唐辛子の微塵でアクセント加えるのもよし。追加でギアラ、センマイ、ヤン、カシラを頼み、食感の違いを楽しむもよし。味噌味は、鰹ダシに鶏ガラと牛スジのダシを合わせ、白味噌とさくら味噌を合わせて溶いたもの。優しい味噌の味に和み、その甘みともつの脂の甘みが調和する。締めは、滑らかな舌触りでシコシコと弾む、コシの強いうどんで大満足。
また、四角く浅底の鍋で大腸、ギアラなどと野菜を甘辛い味の汁を入れて炒め煮る「テッチャン鍋」も、病み付きとなる味わい。最近では「ホルモンすき焼き」(要予約)も。すき焼き鍋にテールの脂を敷き、大腸、シビレ、ギアラ、ミノサンド、ヤンを炒め、割り下を入れ、白菜の芯部、三つ葉、春菊、エノキ、シラタキを投入して煮る。厳選した甘みのある玉子につけて食べれば、脂の質のよさが際立ち、旨し。後にタン、ハラミをさっと煮て食べる。これもまた、新たな発見に喜ぶは必至。

ゆうじ 
渋谷区宇田川町11-1 松沼ビル1F
tel.=03-3464-6448
営業時間=18:00〜23:30
定休日=日曜・祝日


韓灯
手間隙かけた丁寧な仕事が光る
韓国風もつ鍋 

古くから伝わる韓国家庭料理の手法で、一切手抜きなく、丹念に作り続ける韓国料理店。料理担当のお母さんと、肉担当の息子さんとのタッグによる、料理の数々は都内随一。
「コプチャンチョンゴル」は二千四百円。昆布ダシに果汁、醤油、韓国産唐辛子とニンニクを加えていき、一時間半ほどかけて作られたスープに、内臓類と野菜を入れて煮込む。まずなんといってもスープの穏やかで深い味わいに目を細める。果物の穏やかな甘みにカボチャのほっくりとした甘みが溶け出た、辛味と甘みのバランスが取れた優しい味わいのスープ。そこに吟味された小腸、頬肉、センマイが絡む。それぞれに食感や甘みの違いがあり、スープの味わいと馴染んで旨し。手間隙かけた丁寧な仕事が光る韓国風もつ鍋。白菜キムチを頼み、器に取って、野菜類と肉を重ね、キムチで包むようにして食べれば、箸が止まらなくなる。 
締めの調理は息子さん。一端厨房に鍋を下げ、ご飯を入れて水分を飛ばしながらリゾット風に仕上げる素晴らしき雑炊。胡麻、ネギ、糸海苔の香りもよく、満腹でも一粒残さず、鍋をさらってしまう。

韓灯 
中央区月島2-8-12AS ONE月島B1F
tel.=03-3536-6635
営業時間=17:30〜23:30
定休日=月曜


懐炉
博多風もつ鍋に
独自の工夫を加えた逸品鍋

目黒駅そば、地階の店は、博多風もつ鍋に独自の工夫を加えた逸品鍋に魅了された人で、連夜満席。まず博多風もつ鍋屋定番の「酢もつ」から驚かされる。通常は小腸の切れ端、もしくは細かく切ったものを、酸味を利かせた調味で和えた、冷えた料理。この店は、ぶつ切りの一口大小腸をほどよい酢の具合で和えた、温かき皿。小腸の味が生き、思わず嬉しくなってしまう皿である。 
「もつ鍋」千二百六十円は、醤油、白味噌、辛味噌の三種類。「醤油味」は、煮詰めてもくどくならない、金胡麻が振られ、鰹ダシの香り生きた品のある味わいのスープに、皮は硬くなく、脂が溶ける質の高い生小腸が生きる。同時に入れられた、ハツも甘く旨し。野菜はキャベツ、ニラの他チンゲン菜が入る。もつと野菜が一緒に盛られ運ばれるが、野菜を生かすため、別皿をもらって野菜を分け、適時投入するのも一興。「白味噌」は、白胡麻の香り高く、味噌の優しい甘みにあふれる。こちらはキャベツ、ニラの他にゴボウが入り、香りを生かす。「辛味噌」はモヤシと相性をよく考えられている。薬味は、おろしニンニク、生姜、七味唐辛子、韓国唐辛子、黒胡椒、大根おろし、白胡麻、山葵など十一種から好きなだけ選べる。お奨めは白味噌に生姜と柚子胡椒、醤油に鬼おろしと韓国唐辛子。締めはコシの強い細うどんを是非。
温と冷の好みをたずねるおしぼりに始まり、気の届いたサービスも実に心地よい。

懐炉
品川区上大崎2-14-3三笠ビルA-B1F
tel.=03-3443-5114
営業時間=18:00〜翌1:00(日・祝17:30〜24:00)
定休日=月曜


元祖 牛ホルモン鍋 みつる
二十六年間ホルモン鍋一筋
醤油味のスープに合う黒毛和牛の生小腸 

ブームに左右されることなく、二十六年間ホルモン鍋一筋。明るく清潔感に富む店内は、若者が占める他のもつ鍋屋と違い、中年男性客中心で賑わっている。
「もつ鍋」は千八百円。昆布と椎茸でとった醤油味のスープに黒毛和牛の生小腸、キャベツ、ニラ、エノキ、マイルドニンニク、鷹の爪が入る。もつは脂と皮のバランスよく、質が高く、量も充分。スープに脂が溶け込み、旨味が増す。追加注文で肉厚のハチノス(九百五十円)、丁寧な下処理が光る牛スジ(六百五十円)を頼むのもいい。トッピングは他に、センマイ、餅、豆腐など。締めはコシの強いちゃんぽん(三百円)を是非。雑炊、ラーメン玉、うどん玉の用意もあり。他にはレバー刺し、牛スジ煮込みもお奨め。きびきびとよく気づくサービス快適。

元祖 牛ホルモン鍋 みつる
新宿区歌舞伎町2-30-13 高島ビル1F
tel.=03-3208-8868
営業時間=18:00〜翌1:00(土 〜23:00)
定休日=日曜・祝日


豚舞
安曇野の四元豚・豊科豚を使った料理と
豊富な品揃えのマッコリが人気 

洞窟をイメージした内装の居酒屋。安曇野の四元豚・豊科豚を使った料理と豊富な品揃えのマッコリが人気で盛況。
もつ鍋は、豚の小腸と大腸によるもので、とんこつスープによる、塩味、味噌味、醤油味(各千二百円)が選べる。とんこつに鰹ダシの香り利いた旨味濃いスープに、胡麻油とニンニクのアクセントが加えられ、ニンニクスライス、微塵の赤、青唐辛子が添えられる。野菜は、ゴボウ、ニラ、キャベツ、ネギ。濃厚スープともつの脂がよく合い、もつをお代わり(五百九十円)するは必至。締めは雑炊や細うどんもいいが、博多風細縮れ麺を是非。すり胡麻、博多青ネギ、紅生姜をトッピングしてすすれば、勢いが増し、つい替え玉したくなる。
明太とんこつスープによる「豚しゃぶ」千四百円〜、「馬刺し」などもお奨め。

豚舞
渋谷区西原3-22-12
tel.=03-3481-6999
営業時間=17:00〜翌4:00(日 ・祝〜翌2:00)
定休日=火曜


五臓六腑
豊富な部位が盛り込まれた
もつ鍋コース 

博多・中洲、天神の発祥、現在関東・関西・九州などに十九軒あるもつ専門店の東京進出一号店。牛の丸腸(開いていない小腸)、コリコリ(動脈)、ウルテ(気管)、ナンコツ(豚の喉仏)、ダルム(豚の直腸)、ピートロ(豚首肉)などの豊富な部位による炭火焼きが人気で、連夜盛況。
もつ鍋はコースで三千八百円(二人前より)。ある日のそれは、白センマイとレバーの刺身に始まり、丸腸と赤福(肺)のタレ焼き、ピートロとサガリ(ヒレ下)の塩焼きが続き、もつ鍋となる。スープは、薄口醤油にゴボウの香りが生きた、透明感に富む色合い。その中で脂が柔らかく、しつこさがない質の高い生小腸が生きる。他の具は、たっぷりのゴボウ、キャベツ、ニラ、エノキ、厚揚げが入る。締めは博多の製麺所直送のちゃんぽん麺で。

五臓六腑 麻布十番店
港区麻布十番2-1-11
tel.=03-3451-7001
営業時間=18:00〜翌2:30(日 〜23:30)
年中無休


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