汁かけご飯・アジア編
暑い夏でも食欲そそる
個性豊かなアジアメニュー
個性的で、一度食べると癖になる、韓国・中国及び番外編の、魅力的汁かけご飯をご紹介。
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韓灯
テール、カルビ、ユッケジャン
丹念に手をかけた三種のクッパ
親子で営む韓国料理店。祖母や母から厳しく伝えられた韓国家庭料理の伝統を、忠実に守った料理を出す。最高級の韓国唐辛子の種を取って粉砕した粉をはじめ、吟味し、調達した素材を、手間隙かけて生み出す料理は、いずれも優しく繊細で、韓国料理の概念を覆す。例えば、活きのいい鰯で手作りした塩漬け「メッチュ」を混ぜて作った「小松菜キムチ」は、青々しい香りと練れた塩気、煮干のような香りが交錯する。その他白菜や大根、エゴマのキムチも、みずみずしく香る素材の力が胸を打つ。
汁かけご飯は三種。生牛テールを二日間煮込んで作ったスープによる「テールクッパ」千六百円。牛バラと骨を二日間煮込んで作ったスープによる「カルビクッパ」千六百円。カルビ・タンを元に、特製タテギ(唐辛子ベースの調味料)で辛く仕上げた「ユッケジャンクッパ」二千円。
「テールクッパ」は、丹念に手をかけたことが想像される、他店と異なった、うっすらと茶がかかった透明なスープ。塩を入れず、わずかな醤油だけで仕立てたスープは舌に優しく、クリアーな味わい。抽出されたテールの滋味、甘みがじんわりと口の中に広がっていく。そのスープの甘みとご飯の甘みがあいまって、微笑を呼ぶ。「ユッケジャンクッパ」は、強烈な辛味が口腔を攻め立てるが、決していやらしくなく、後味が実にきれい。スプーン持つ手が加速してゆく快感がある。辛味は、コチュジャンを使わず、牛背脂の貴重部分と香味野菜、唐辛子などを駆使して作ったタテギによるもので、辛味の中に深い甘みを感じさせ、後を引く。
そのほか、手作り味噌による「テンジャンチゲ」、それに納豆を入れた「納豆チゲ」、特製タテギによる複雑な味の深みがある「スンドゥブチゲ」も、他店と一線を画す格別なうまみあり。これらをご飯にかけても極上な味わい。
韓灯
中央区月島2-8-12 AS ONE月島B1F
tel.=03-3536-6635
営業時間=17:30〜23:30
定休日=月曜
赤坂璃宮
パラリと炒められた炒飯と
極上スープの滋味を楽しむ
三月に開業した「赤坂サカス」に移転した広東料理の名店。サラサラと米が離れ、一粒一粒に油の香りが絡んだ、艶やかに輝く炒飯がおいしいことで知られる。「揚州五目炒飯」や、オイスターソース風味の「あさり炒飯」、ハムユイの練れた塩気が生きた「中国塩漬け魚入り炒飯」など、八種類の炒飯が楽しめる。
なかでもおすすめは、「極上スープがけ炒飯」二千五百二十円。アスパラと干し貝柱のうまみを生かした炒飯に、たっぷりの上湯(シャンタン)が添えられる。
まずは、パラリと炒められた炒飯自体のおいしさと香りを味わう。次に老鶏、中国ハムなどによる最上級スープの豊かな滋味を堪能する。レンゲに炒飯を載せ、スープに浸して一口。そして、スープを炒飯にかけてサラサラと掻き込めば、米の甘み、干し貝柱のうまみ、アスパラなど具の食感、スープの奥深い滋味が渾然一体となった、めくるめく幸せな気分がやってくる。
赤坂璃宮
港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー2F
tel.=03-5570-9323
営業時間=11:30〜15:30、17:30〜22:30
年中無休
牛村
栄養に富む、優しい味わいのスープ
名物「雪濃湯(ソルロンタン)」
コラーゲンたっぷり、女性に人気の薬膳スープ「ドガニタン」(牛筋)二千四百十五円と「雪濃湯」の専門店。
雪濃湯」(夜:千五百七十五円、昼:千二百円)を頼むとまず運ばれてくるのは、白菜キムチと大根キムチ「カットゥギ」、それと韓国の常備菜「ミッパンチャン」(ジャコ炒め、もやしのナムルなど日替わりで約五種類・おかわり自由)。いずれも丁寧な味付けが光る。
やがて、湯気を立て、仕上がりが雪のように白いために名づけられた雪濃湯が運ばれる。牛のゲンコツ(足の関節)や頬肉、軟骨などを丸二日四十八時間煮込んだ、栄養に富むスープである。気になる匂いや癖はまったくなく、透明感があって淡い、優しい味わい。葱、牛頬肉、韓国春雨「タンミョン」が入った白濁スープを一口飲めば、ほとんど塩気はなく、ほのかにミルキーな甘みが広がる。そこに、炒ってやや茶色がかった、韓国産のミネラルに富む塩を一振りすれば、さらにうまみが深くなって頬が緩む。
あとの味付けはお好みしだい。ごはんを入れ、次第に塩を増やしていってもよし、キムチを入れて、食感のアクセントを楽しんでもよし、タテギをもらって味の変化をつけるもよし、最後はキムチの汁を入れて辛味で締めるもよし。辛味を入れても、スープの土台が力強いため、滋味は揺るぐことなく、舌の上にしっかりと広がっていく。
深夜まで営業している点も嬉しく、昼食や夕食だけでなく、酒宴の締めにも重宝する貴重な店である。
牛村
港区赤坂3-14-2 ドルミ赤坂1F
tel.=03-3585-6960
営業時間=月〜金 11:00〜翌4:00、土・祝 11:00〜24:00、日 17:00〜23:00
年中無休
御膳房
辛味と甘みが調和した
「雲南豆腐」とご飯の相性が見事
中国雲南省の料理がいただける希少な店。「豆腐の雲南風かけごはん」は、郷土料理「雲南豆腐」をかけたご飯。夜は千二百六十円、昼はスープ・小鉢・杏仁豆腐付きで千五十円。
一見麻婆豆腐風だが、挽き肉を炒めて豆腐を入れ、スープで煮込む麻婆豆腐と異なり、「雲南豆腐」は挽き肉は入っておらず、豆腐を崩し炒めてからスープで煮込む。全体の色合いはオレンジ色。みじん切りの葱と、赤・緑ピーマン、香菜が彩りを添える。ご飯と豆腐をよく混ぜて口に運べば、まずやってくるのは辛味。唐辛子とラー油の辛味がヒリリと口腔を襲う。だがそのあとに、潰れた豆腐の甘みがトロリと舌を包み込む。
麻婆豆腐にはない、辛味と甘みが調和した味わいと、ご飯の相性のいいこと。食べ始めたら止まらず、あとは一気呵成。
御膳房
港区六本木6-8-15 第2五月ビル1F
tel.=03-3470-2218
営業時間=11:30〜15:00、17:00〜23:00
年中無休
松屋
素朴な麦ご飯と
強烈な味噌チゲが生み出す味の妙
韓国料理激戦区、職安通りの裏路地にある、豚の背骨鍋「カムジャタン」で人気の店。
ここで押さえたいのが「麦ご飯定食」千五百七十五円。運ばれるのは、グツグツと音を立て湯気を上げる陶器に入ったチゲ。傍らのアルミ椀には麦ご飯。壺風容器には、モミ菜のキムチ。それにゴマ油、葱のみじん切りとコチュジャンが入った大きな器が添えられる。
この大きな器に麦ご飯を入れ、味噌チゲを好きなだけかけて食べるのだ。味噌チゲは、だしは用いず、おろしニンニク、唐辛子を加えているので、辛く匂いも強い。具は、豆腐、キムチ、玉葱、ズッキーニ、ジャガイモ。味噌をかけ、かき混ぜて食べれば、辛味、味噌のコク、塩気、キムチの酸味、豆腐やジャガイモの甘みが、素朴な麦ご飯と一体となる。辛さは次第に増し、魔力に取り付かれていくが、食べ終われば引き潮のように引いていく。残されるのは強烈な味の記憶である。
松屋
新宿区大久保1-1-17
tel.=03-3200-5733
営業時間=11:00〜翌2:00
年中無休
ビストロ・ド・ラ・シテ
野菜のうまみが溶け込んだ穏やかな味わい
昼十二食限定の名物丼
ご存知老舗格のビストロ。開店以来三十五年強、客の喧騒と愛着を染み込ませてきた空間には、成熟した店だけが持つ安らぎが漂っている。
昼のみ十二食限定が、名物「シテ丼」。いわばクスクスのご飯版で、本来のスムール(セモリナ粉を水で練り乾燥させた粒状のパスタ)に変わって、円筒状にかたどったご飯を添える。ご飯はパラリと炊いた長粒米で、スムール同様サラリとソースを受け止め、相性が実にいい。スパイスの香りが食欲を刺激するソースは、ぶつ切りのままくったりと煮込まれた人参、セロリ、赤・黄ピーマン、蕪、牛蒡、玉葱、ズッキーニといった野菜類のうまみが溶け込んだ穏やかな味わい。好みでアリサ(北アフリカのチリペースト)を混ぜ、辛くしてもよし。
この「シテ丼」は、風味豊かな自家製天然酵母パンと豚のリエット、それに飲み物が付いて千円。おいしいものを廉価で提供する、ビストロ精神に富んだ丼。
ビストロ・ド・ラ・シテ
港区西麻布4-2-10
tel.=03-3406-5475
営業時間=12:00〜14:00、18:00〜22:00
定休日=月曜、第2火曜
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