おでん
心も身体も温めてくれる やさしい冬の人気メニュー
これからの季節には欠かせぬ料理。人肌燗とともにやれば、寒い夜を温めてくれるおでん。いまや関西風、関東風だけではなく、各地の個性的おでんも東京に進出し、また従来のおでん種を超えた創作おでんなども人気を呼んでいる。百花繚乱の勢いを見せるおでん事情をご紹介。
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びのむ
ワインによく合う
鴨の滋味が生きたやさしい味わい
西麻布の炭火焼きとワインが人気のレストラン「レ・ビノム」が開いた、おでんとワインの店。閑静な住宅街の中の一軒家を改造してひっそりと営む。
コースは八千四百円のみ。ある日のそれは、「ドラゴンフルーツと巨峰の白和え」に始まり、「アジの刺身」、添えられた香草のソースがハモの野生を引き立てる「ハモと松茸のフライ」、切れのいい酸味のソースが魚の味を盛り立てる「タチウオとホタテのパイ包み焼き 赤ワインソース」、「ほうき茸とアワビのソテー」、鉄分に富む肉汁溢れる「鳩のロティ」と、ワインが進む小皿料理が続き、おでんの出番となる。
しっかり味が染みた大根の上に、くにゃりと柔らかく、コラーゲンのうまみを含んだ、牛ほほ肉の赤ワイン煮込みがかけられた一皿。おでんのだしと自らの甘みが溶け合う「さえずり(クジラの舌)」、上品なうまみがある「ハモかまぼこと松茸 梅肉添え」、しなやかに煮込まれ、香り豊かな「タコ」、「玉子」、ラグビーボール型の自家製「イカ天」と続く。お腹に余裕があれば、とろろ昆布をのせた「里芋」や「つみれ」など、丁寧に仕込まれた他のおでんも試されたい。鴨の滋味が生きただしがやさしく、味わい深い。締めは松茸ご飯。二膳目は、松茸ご飯に、海苔、かんずりをのせ、おでんのだしをかけて茶漬けという至福。
酒類は、ビールに、シャンパンとワイン。
びのむ
港区西麻布4-8-6
tel.=03-5980-8252
営業時間=18:00〜22:30
定休日=日曜・祝日
串駒房
創意工夫を凝らした種で
銘酒の燗酒を傾ける
大塚の名酒亭「串駒」が開いた、おでんを中心とした居酒屋。おでん鍋を囲むように配された、カウンターテーブル十五席。
季節によって変わるのが楽しいおでん種は約二十種用意され、注文ごとにそれぞれ鍋で温め、出される。だしは、鶏に昆布とかつお節を加えた薄味の柔らかい味わい。
こりこりとした食感が楽しい、青菜と柚子胡椒を添えた「鶏のつくね」。血合いの酸味が汁に溶け込み、うまみ増す「焼きサバ」。ふわりとした食感の、とろろ昆布を添えた「豆腐ちくわ」。中から出るご飯を茶漬けのようにすするのが楽しい「いなり」。椎茸や木茸の食感が利いた「自家製がんも」。自体の甘みがポタージュのような感覚を呼び起こす「フレンチトースト」。また、海苔の佃煮のアクセントがいい「豆腐」など、創意工夫を凝らした種で、揃えられた銘酒の数々の燗酒を傾ける喜び。
串駒房
豊島区北大塚1-33-27
tel.=03-3916-0355
営業時間=18:00〜24:00(土・日・祝 17:00〜)
定休日=月曜
四季のおでん
しみじみとしたうまさが積もる上質なだしに
吟味された種が出会う
平成十三年秋に大阪より進出。細長い店内にきれいなカウンターが伸びる。その中央におでん鍋が設置されているが、中には豆腐や玉子など四〜五種類の種のみ。注文のたびに、別々に炊いていた種を取り出して小鍋で温め、小皿に盛り、小葱や黒七味を散らしたり、加減醤油を足したりと、細工で種を引き立てる。
白菜にすりおろした山芋とたっぷりの胡麻をかけた「ゆきな」。黒七味をふり、花がつおを盛った、心温まる「大根」。おぼろ昆布を盛った「豆腐」。上品なうまみが流れる、ふわりとまとまった「つくね」。ゼラチン質のうまみに富む、濃い味わいの「牛すじ」。精妙な火の通しにうなる「鴨葱」。加減醤油と実山椒が生きる、明石の香り高き「タコ」。三杯酢をかけた「カキ」。溶き芥子をのせた「こんにゃく」。上質なだしで煮含めて二種類の味噌を添えた「小芋」。バターを添えた「じゃが芋」。汁を含んだままふっくらと仕上げられた「ハマグリ」など、飽くことなく次々と頼みたくなる。その他「さえずり」、「しゅうまい」、「豚ばら」、「ひろうす(がんもどき)」、「生湯葉」などもおすすめ。
しみじみとしたうまさが積もる上質なだしに、吟味された種が出会う、おでん本来の幸せあり。全二十五種類前後。
締めはおでんだしにうどんを入れて温めてもらうか、おでんだしをかけた茶漬け「四季茶漬け」。酒は「四季桜」、「上喜元」、「繁桝」など。
出かけられるなら、開店直後と深夜は混むので、二十時以降が狙い目。
四季のおでん
中央区銀座8-6-8
tel.=03-3289-0221
営業時間=18:00〜翌2:00(土 〜24:00)
定休日=日曜・祝日
音伝
上品なうまみと深いコク
それぞれに工夫を凝らしたおでん種
ジャズやボサノバが流れる店内に伸びるカウンターの中央には、大きく丸い、赤銅のおでん鍋が設えられている。
注文すると種を取り出し、それぞれの種に合わせた一仕事をして、出される。澄んだおでんだしは、昆布だしに鶏もみじと豚ばらを使用し、上品なうまみと深いコクがある。
おでん種は二十四種ほど。花がつおに葱、黒七味がかけられた「大根」。すりおろした山芋とたっぷりのすり胡麻、だし醤油がかけられた「白菜」。柚子胡椒が添えられる「がんも」。昆布のミネラルによる酸味が豆腐の甘みと合う、とろろ昆布とだし醤油がかけられた「豆腐」。二〜三日煮込んだ葉緑素の濃い日高昆布の、とろりと舌の上で崩れる風味がなんとも魅力的な「昆布」。新鮮なサンマを、包丁のたたきとミキサーで擂ったものを合わせ、紫蘇と生姜を加え、ふわりとした食感の妙の中にサンマの味わいが生きた「つみれ」。きんぴらと練り物を合わせた、珍しい「ごぼう天」。男爵のような味わいでメイクイーンのようなきめ細かさも持ち合わせた、岩手の「北明かり」という品種を使った「じゃが芋」。アキレス腱を使い、その太く、ぶりっとした歯応えと甘みが魅力的な「牛すじ」。その他、酢醤油で食べる「舞茸」など、それぞれに工夫を凝らしたおでんが楽しめる。一種二百十円〜五百二十円。
最後の締めはおでんの汁で炊いた玄米を、雑炊仕立てにした、「玄米雑炊」をぜひ。酒は各種揃う。おでんには「白瀑」がおすすめ。
また”三陸魚博士“が目利きし、産地から直送される魚類を使った料理もいい。
音伝
目黒区上目黒3-6-25 山崎ビル1F
tel.=03-5722-0595
営業時間=18:00〜翌2:00(日 17:00〜22:00)
定休日=第1・第3日曜
あざぶ一期
ジャズを聴きながら楽しむ
味わい深い創作おでん
ジャズが流れる薄明かりの店内には、ショットバーのようなカウンターが設えてあり、その中心に置かれた珍しい楕円の銅鍋から、おいしそうな香りが立ち上っている。
前菜から魚、最後のご飯までメニューは本格派。料理はすべて一皿ずつ丁寧に仕上げられ、銘器に盛りつけて、供される。一通り注文して、予算は一人約七、八千円ほど。
中心となるおでんは約三十種。濃いめにしっかりと取られただしに塩を加えて仕上げただけのベースから繰り広げられるおでんは、関西で三十余年日本料理を修業し、料理を創りだしたご主人いわく、「煮物椀でも一番難しい料理」だとか。
イカの舌ざわりを生かした、自家製「さつま揚げ」。歯応えのいい白菜を洋風に仕上げた「白菜」。揚げてから、だしで炊き、花がつおをまぶした「茄子」。柚子味噌(季節替わり。秋は田楽味噌、春は山椒味噌)で楽しむ「小芋」。紫蘇の実による味つけが見事な「アジのつみれ」。ポン酢でさっぱりといただく「春菊」。絶妙なレア状態に仕上げられ、実山椒を加えた煮汁の香りが感動を呼ぶ、明石産の「タコ」。その他、甘辛い「牛すじ」、甘くとろっとした黄身の名物「玉子」など、楽しみが尽きない。
最後の仕上げは、おでんだしととろろ芋をかけた、一品ずつ炊き上げる「茶飯」で。
あざぶ一期
港区麻布十番2-5-14 マイコーナービルB1F
tel.=03-5772-2936
営業時間=17:30〜翌1:00
年中無休
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