変わりしゃぶしゃぶ
趣向を凝らしたスープと具材の 見事な調和を楽しむ
しゃぶしゃぶといえばまずは牛肉。それに豚肉。珍しいところでは、アワビやフグなどがあるが、それ以外の肉や魚を、しゃぶしゃぶに仕立てて提供する店がある。
いまはまさに鍋の季節、たまには趣向を変えて、変わりしゃぶしゃぶの店で、友人や家族と鍋を囲み、楽しんではいかがか。
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鳥萬み
名物は、宮城県産赤鶏の一年鶏と
南氷洋ミンク鯨
西麻布の通称ビストロ通りに位置する酒亭。仙台国分町にある「萬み高橋」の女将が、そのご主人の監修のもと開店して五年。名物は、化学飼料を使わず、米ぬかや大豆、とうもろこしなどを与えて育てた宮城県産赤鶏の一年鶏と、南氷洋ミンク鯨。
しゃぶしゃぶは、地鶏(四千二百円)と鯨(五千二百五十円)(※いずれも一セット一〜二人前)がある。
面白いのは鯨だ。しゃぶしゃぶのスープは、長時間丹念にとられた鶏のダシに、カツオと昆布の一番ダシを加えたもので、最初に塩でスープそのものの滋味を味わう。
この鶏スープの滋味と鯨の味わいが実に合う。つけダレは、ダシ醤油に大根おろしとおろし生姜を加えたものと、ごま油に塩を加えた二種。まず、幅二センチの細長い麺状に切った、きし麺のような大根を入れ、しゃきしゃきとした食感と鶏のスープとの出会いを楽しむ。
次に鯨。赤身肉をさっとスープにくぐらせ、色が変わった頃合で取り出して食べる。赤身肉と生姜ダシ醤油の相性のよさ、肉の酸味と醤油のうまみの出会いが素晴らしい。白く厚い皮の部分は、みっちりとして歯に食い込み、コリコリした歯ざわりの中から、ほんのりとした甘みがにじみ出る。
ほかに具は、えのき茸、椎茸、豆腐、青梗菜、キャベツ、葱。食べ進むと、スープに脂が溶け、獣臭に近い鯨の匂いが加わり、興奮度が増していく。締めは鴨頭葱を添えたラーメン。これも病み付きになるうまさ。
ちなみに「鯨すき焼き」もお奨め。厚めに切った肉をすき焼き風に仕立て、溶き玉子につけて食べる。肉の濃厚なうまみと割り下の甘辛みが絡まって美味。締めは、細うどんをその割り下を絡めるようにして炒め煮にする。
また玉子につけて食べる「鶏のつくね」六百三十円、歯に食い込むような締まった肉質ながら、きめ細かい脂とともに口の中で溶けていく、鯨のうねす(胸・腹部)を使った「オリジナル鯨ベーコン」千三百六十五円などもお奨め。
日本酒は、「神亀」四種、焼酎も四種類。心配りのきいた気さくな女将さんとの会話も楽しい。
鳥萬み
港区西麻布4-2-13 八幡ビル1F
tel.=03-5485-2007
営業時間=18:30〜翌2:00(土・祝 〜翌1:00)
定休日=日曜
天國
惚れ惚れするような美しい輝きを放つ
特上霜降り馬肉
上野公園内、西郷隆盛像近くにある馬肉料理の専門店。本店は熊本の有名店。カウンター、テーブル席、座敷席の個室にわかれた店内は、広々として清潔感に富む。
「馬肉しゃぶしゃぶ」は、一人前七千五百円(二人前〜)。シンプルな昆布ダシを煮立たせ、馬肉をくぐらせて、もみじおろしと鴨頭葱を落としたポン酢につけて食べる。
皿に十五枚ほど綺麗に並べられた馬肉は、惚れ惚れするような美しい輝きを放つ、特上霜降り肉。湯に三〜五回くぐらせ、まだ赤みが残るくらいで引き上げて食べれば、なんともしなやかな舌触りで、品のいい甘みがゆるゆると広がっていく。脂切れよく、しつこくなく、いくらでも食べられる。また、鍋を続けても、まったくアクが出ない。
ほかの具は、白菜、椎茸、えのき茸、葱、大根、人参、春菊、しめじ、マロニー、豆腐。
締めは中華麺。茹でた麺をスープにさっと入れ、別添えの醤油ダレをスープで伸ばし、食べる。あっさりとした味わいの中に、深い滋味あり。
そのほか、鉄分に富み、まったく臭みなく、こりこりとした食感が楽しい「レバ刺し」千七百円、柔らかな中に肉汁溢れる「フィレステーキ」二千五百円、さまざまな歯応えに捕らわれる「ホルモン味噌煮込み」千五百円などがお奨め。刺身盛り合わせ、ユッケなどがついた「しゃぶしゃぶコース」は八千五百円。いろいろな料理で馬肉の魅力を楽しもう。
天國
台東区上野公園1-59 上野公園グリーンパーク内
tel.=03-3824-3211
営業時間=11:00〜15:00、17:00〜22:00(日 〜21:00)
定休日=月曜(祝日の場合は翌日)
たこや三忠
透き通るように白く美しい水蛸の
ほんのり甘く、コリッとした食感
各種蛸料理が名物の居酒屋。カウンターとテーブル席を配した広々とした店内には、さまざまな蛸にまつわる小物が飾られ、それらを眺めるのも楽しい。
「たこしゃぶ」(一人前千八百九十円)は、足一本が一・五キロもあるという水蛸の、固い根元を除いた部位を使う。いったん冷凍され、薄く薄く切られた白き身が、赤い皿に透き通るように並べられ、美しい。
酒と水に昆布一枚を入れたダシにくぐらせ、しゃぶしゃぶとする。六〜七秒くらいくぐらせると、柔らかく、ほんのり甘く、コリッとした食感が楽しめる。それ以上だと固くなってしまうのでお奨めはしない。具のワカメと巻いて食べても一興。つけダレはポン酢にもみじおろしと葱。具はしめじ、三つ葉、ワカメ、白菜。締めの雑炊は淡いうまみのスープが米にしみていい。
「蛸刺しの食べ比べ」、「名物蛸飯」、焼酎の「中々」を樽に仕込んだ「蛸かいな」など、試したくなる品書き豊富。サービスも気さくで心地よい。
たこや三忠
文京区千駄木3-1-17
tel.=03-3824-2300
営業時間=11:30〜14:00、18:00〜23:30(土・日・祝 17:00〜23:30)
定休日=水曜
匠 真鴨堂
しゃぶしゃぶならではの
真鴨の香りと鉄分に富む味わい
各種鴨料理を売りにする酒亭。鴨は、鹿児島や新潟など国内の猟師がしとめた真鴨を一定期間熟成させて使う。
「真鴨しゃぶしゃぶ」は、一人前二千七百円(二人前〜)。錫製の鍋に張られた淡黄色のスープは、鶏がらと鴨骨でとられ、穏やかな滋味がにじむ。鴨肉は一人前約百グラム。深い赤みを帯びた熟成された肉は、艶やかで食欲をそそる。あまり生過ぎても味わいが浅く、また、火を通しすぎると匂いがきつく、食感がぱさついてくるので、鍋の中ではレアの色合いがなくなり、全体が色づく、約八〜九秒の湯通しがベスト。生では感じられぬ鴨の香りと鉄分に富む味わいを、十二分に堪能できる。
つけダレは、ポン酢に山椒、グレープフルーツの剥き身が入る。ほかの具は、クレソン、水菜、豆腐、白滝、えのき茸、エリンギ。鴨とクレソンの相性がいい。
酒もいいが、揃えられた赤ワインとともに楽しむのがお奨め。
匠 真鴨堂
港区南青山6-2-10 T・IビルB1F
tel.=03-5766-8108
営業時間=[月・火]17:30〜24:00[水〜金]17:30〜翌2:00[土]17:30〜23:00
定休日=日曜・祝日
しん
純国産馬肉料理と
熊本料理の名品の数々
馬肉料理で有名な、恵比寿のイタリアン&フレンチ「フレーゴリ」が昨年五月に出した店。熊本直送の純国産馬肉料理を中心に、熊本料理の名品を数々揃え、連夜盛況。
冬からの新メニュー「馬肉すきしゃぶ」は、一人前五千五百円。スープは、すき焼き風割り下をベースに、炒めたカス肉でコクを深め、馬油を使った葱油で香りを膨らませたものを使う。
肉はヒレ肉、タテガミ(鬣の下の脂がのった部位)、フタエゴ(鞍下肉)、タン。ヒレ肉はさっと焼いてたたき状にしてあるので、馬肉の香ばしさも味わえて美味。甘く脂が溶ける柔らかな肉に甘辛い割り下の味わいが絡まって、笑いが止まらなくなる。各部位の食感、脂の濃度の違いなどが楽しめ、病み付きになるは必至。ただのすき焼き風のしゃぶしゃぶではなく、細部に練られた仕事が馬肉を見事に生かしている。
そのほか、馬肉の希少部「ヒモ(肋骨の間のヒモ状の部位)の串焼き」、パリッと香ばしい皮とコラーゲンに富む中の肉との対比がたまらない「豚足」、ジューシーな「馬肉バーガー」、麺とスープのバランスが見事な「馬骨ラーメン」、蓮根の甘みに目を丸くする揚げ立ての「からし蓮根」、各部位の食感が楽しめる「馬モツ煮込み」など、他店では食べられぬ熊本料理の逸品が揃う。
しん
渋谷区恵比寿南1-16-5 タチムラビルディングサウスB1F
tel.=03-6663-8731
営業時間=18:00〜24:00
定休日=日曜
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