モダン・インディアン(1)
香辛料の深い味わいと香りが 胃袋を刺激するインド料理
従来のインド料理店のイメージを覆す、 洗練された料理と空間を供す店が、近年増えてきた。 改めてインド料理の魅力を見つめなおすに間違いない、 東京インド料理店の最前線を、二号連続でご紹介したい。
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nirvana new york(ニルヴァーナ・ニューヨーク)
ニューヨーカーに愛された
伝説のインド料理レストランが東京で復活
七年前に閉店した、ニューヨーク・セントラルパークサウスにあったモダン・インディアン・レストラン「NIRVANA」の東京店。黒を基調とし、赤い照明が効果的に店内を彩る。花柄のカラフルなクッションを配し、大きな窓から夜景を望む店内は品が漂い、時間がゆったりと流れる。
まずは「六種類の前菜盛り合わせ」二千六百円からいただいてみてはいかがか。窪みをつけたガラスの大皿に美しく並べられた前菜は、エビをほんのりスパイシーに仕上げた「エビのマスタードマリネ」。軽く焼いた帆立の甘味とココナッツの風味が合う「帆立のグリル・ココナッツ風味」。いわばココナッツカレー風味のラタトゥイユ「季節の野菜ポリヤル」。筍をマサラソースで和えた「筍のマサラ」。米粉によるチヂミのような「シラスのウッタバム」。薄い生地の皮で巻かれた、ジャガイモのマサラソース和え「ジャガイモのマサラロール」など、食感と色合いの異なる品々が舌を楽しませる。
「レンズ豆のスープ」六百円は、優しい豆の甘味が口いっぱいに広がる。スパイシーな料理だけでなく、このような穏やかな味わいもインド料理にはあることを知らされる。
十数種用意されるカレー類では、ラム、鶏、エビ、カジキマグロ、野菜から具を選ぶ「南インドゴア地方のスパイシー煮込みカレー」二千三百円がおすすめ。相当に辛味が強いが、味の深みとまろやかな酸味とのバランスがよく、塩気が舌に当たらず、食べ進むにしたがって、次第にのめり込ませる力がある。具のラムも、しっとりとして旨みが逃げておらず、肉の香りがカレーソースと抜群の相性を見せる。
インドの香り米「バスマティライス」五百円は香り高く、もっちりと炊き上げられている。その他「サフランライス」七百円、「ナン」四百五十円などを合わせたい。
ミントとコリアンダーのミックスマサラ、マンゴチャツネ、アチャール(インド風スパイシーなピクルス)、ココナッツといった四種の薬味が添えられるので、カレーや肉料理につけて楽しみたい。
ワインの揃えも豊富で、お客さんの大半は、ワインとインド料理の相性を楽しんでいる。コースは、「夏のタリーコース」四千八百円、「プレミアムコース」六千円、「ニルヴァーナコース」八千円の三種。インド料理を食べなれているようだったら、他店にはない「マサラロール・バジルオイルとトマトチャツネ添え」や「小蛤のスパイシーカレー」などが組み込まれた、タリーコースがおすすめ。
デザートは、パスタ状の極細の繊維が入った食感が面白いミルクセーキ「フォルダ」はいかがか。
公園に面したテラスでは、十七〜十九時、飲み物とインド風スナックがすべて五百円でいただける。
nirvana new york
港区赤坂9-7-4 D-0120 ガーデンテラス1F
tel.=03-5647-8305
営業時間=11:00〜14:30(L.O)、17:00〜22:00(L.O)
年中無休
SITAARA(シターラ)
モダン高級インド料理店の先駆者的存在
数々のスペシャリテが揃う
モダン高級インド料理店の先駆者的存在。まばゆいような白を基調とした空間に、濃茶の梁とテーブルを配し、間接照明で陰影を彩った、フランス料理店を思わせる落ち着いた内装。外国人客も多く、ワインでインド料理を楽しむ人たちで華やぐ。恋人同士や接待にも、友人同士の集いにも使えるレストラン。 数々のスペシャリテがあるが、まずは季節のおすすめ「シーズナルメニュー」から選んではどうだろう。 夏の時期のケバブ(タンドール窯焼き料理)は三種類。「マッシュルームのタンドール焼き」千六百円は、ジャンボマッシュルーム、コリアンダーとバジルによる緑色のマサラをまぶして焼き上げた料理で、肉厚のマッシュルームに歯を入れれば、ジューシーな汁と共に、豊かな芳香がほとばしる。「ベンタ・ケバブ」千四百円は、丸々と太った小茄子五個を焼き上げた料理。皮やヘタまで柔らかくなった茄子の持つ甘いジュースを、見事に閉じ込めた皿。 「カツオのスパイシータンドール焼き」二千百円は、分厚いカツオの切り身を串刺しにし、周囲をさっと炙るように焼き上げた料理。ほどよい辛味がカツオの旨みと呼応し、窯の香りもついて、新たなカツオのたたきの魅力に、顔が崩れるは必至。 夏のカレーも三種。「苦瓜カレー」千六百円は、汁気のないカレー。最初にマスターシードなどの香りと共に、玉葱など野菜類の甘味が訪れ、次に辛味と苦味が交錯する。甘味に支えられた苦味と辛味のせめぎ合いが、たまらない魅力を生んでいる。「夏のトマトカレー」千八百円は、トマトに詰め物をしたカレー。上質なトマトスープのような、トマトの優しさが舌に広がる上品な味わいにスパイスの香りが絶妙に絡んで、心和む。 「アチャリ・ゴースト」二千二百円は、アチャール(野菜のピクルス)のエキスをベースにした骨付きラムのカレーで、何より香りが素晴らしい。練れた酸味と塩気を持つアチャールのエキスが、カレーに深みと広がりを与え、複雑な味わいの虜となる。コラーゲンの旨みたっぷりの、骨付きラム肉も魅力的。 通季メニュー、ケバブ類では、生クリームを入れたまろやかなマサラで味をつけた骨なしチキン「ムルギ・マライ・カバブ」千六百円など、きめ細やかさが光る、鶏肉、ラム、エビ、野菜など十二種類が揃う。 カレー類では、この店ならではの、皇帝のカレーと称される白いラムカレー「サフェド・ラジャスタン・マーンズ」千八百円を是非。もったりとした重みの白いカレーは、フランス料理のブランケットのように旨みと塩気のバランスがよく、後を引く。ラム肉は、添えられたミントソースをつけてもなお旨し。 その他、均整のとれた深い味で、時折香るクミンが、ナイフも必要ないほどに柔らかく煮込まれたラムの香りとマッチする、赤茶色のラムカレー「ローガン・ジョシュ」千六百円。もったりとして滑らかで香り高く、鮮やかな緑色が美しい「パラクパニール」千五百円。ほどよくトマトの酸味が利いた、辛い辛い赤茶色の「チキンカレー」千五百円。大きい切り身を揚げ、カレーに仕上げた、酸味と優しい甘味が溶け合った「フィッシュカレー」千五百円など、いずれを食べても、丁寧に作られた味わいが舌を打つ。 昼は、六種類のカレーから選べ、ナンかバスマティライス、野菜の揚げ物、飲み物がついた「カレーセット」千円。「Wカレーセット」千三百円。バスマティを香り豊かにパラリと炊き上げており、それだけでおいしいプラオ(インド風炊き込みご飯)とカレーの「プラオセット」千三百円など。お値打ちのメニューが用意される。
SITAARA
港区南青山5-7-17 小原流会館B1F
tel.=03-5766-1702
営業時間=11:30〜14:30(L.O)、18:00〜22:00(L.O)
定休日=日曜
Cali Cari(カリカリ)
洗練された内装の空間でいただく
おすすめ野菜カレー
赤壁に記された、ビストロ風の店名案内を目印に、シャンデリアが下げられた細長い階段を下ると、高い天井に支えられた、地階の広々とした店内に到達する。壁に飾られた絵画、シャンデリアの華やかな灯り、ニューヨークのロフトの如き内装。 前菜は、パパド(豆製せんべい)に味付けしたトマトやエシャロットを載せた「マサラパパド」三百五十円で、胃袋を刺激。タンドール料理では、「梅山豚のスペアリブ」一ピース八百円がいい。スパイスが尖りすぎることなく、豚肉のミルクのような甘味を、スパイスとヨーグルトによる柔らかな味付けが生かしている。 カレーでは、オーナーの両親が育てた福岡県筑後平野の野菜を中心に作られる「大地の恵みカレー」千五百八十円がおすすめ。豊かなスパイスの香りとトマトの柔らかな酸味の中、人参の香りや茄子の甘味、ジャガイモの甘味といった野菜の溌溂とした力強さが、次々と舌に迫ってくる。野菜カレーの逸品。 「キーマカレー」千四百七十円は、注文が入ってから鶏肉をミンチにして作られる。食べればふんわりと柔らかく、舌の上で滑らかにほぐれ、鶏肉の穏やかな甘味が滲み出て、思わず唸るは必至。鶏挽肉の持つ魅力を生かし切った、キーマカレーの白眉。筑後平野の野菜に合うよう改良したという、米好きな日本人の心をくすぐる自家製ヒノヒカリ米の甘味と香りに、サフランの香りが加わった「サフランライス」四百二十円との相性もすこぶるよい。 心穏やかに、ゆったりと食事を楽しめる空間では、日によってはクラシックピアノのライブも行われる。
Cali Cari
中央区築地4-3-11 AQUAビルB1F
tel.=03-3545-4877
営業時間=11:30〜15:00(L.O)、18:00〜22:00(L.O)
定休日=日曜・祝日
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