二〇〇九年開店の話題店(1)
キラリと個性が光る 魅力の店が続々ニューオープン
今年もまた、魅力的な店が次々と開店している。 世界不況の影響は、外食産業にとっても決して楽ではない状況だが、 こんな時期に開業する店にこそ、 新たな東京文化を築くエナジーがあると思われる。 期待の新店、リニューアルも含め、二号にわたってご紹介。
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August Beer Club(アウグス・ビア・クラブ)
アウグスビールと相性抜群!
石窯で焼かれたピッツァ&スパイシーチキン
六月開店。レストランだけで楽しめる、ビール通が愛してやまない、無ろ過プレミアムビール「アウグスビール」のアンテナショップ。
日本人の熟練ブラウマイスターによって作り出されたアウグスは、ヨーロッパ原産の大麦麦芽とチェコのアロマホップ、福島県磐梯山系の天然水によって作り出され、華やかな香りと素晴らしい切れのよさ、コクと苦味の絶妙なバランスによって、何杯でも飲めてしまう。ここでは定番のピルスナースタイルの生ビールアウグスビールの、スモール五百円、レギュラー六百五十円、パイント九百八十円に加え、よりコク深く、ほどよい苦味と甘みが心地よい黒ビール、アウグスビール、マデューロ(同価格)も味わえるのも魅力。その他「ヴェデット・エクストラ・ホワイト」といったゲストビール、期間限定アウグスのスタウトなども用意されている。 このビールに合わせた料理でお奨めは「ピッツァ」。店内中央に設置された石窯で、ピッツァ職人の手によって焼かれる小ぶりなピッツァ(マルゲリータ七百五十円〜)。もちもちとした生地の弾みよく、なにより小麦の香り高く、ビールに合う。ことにふっくらとしたコルニーチェ(縁の部分)との相性はたまらない。また、その窯で焼かれる「窯焼きスパイシーチキン」千三百八十円はいかがか。肉汁に富んだチキンをかぶりつき、ただちにビールをあおれば、体中に幸せが満ちる。
ナイフに力入れることなく、ほろりと崩れ、しっとりと仕上がった「牛頬肉の黒ビール煮込みと大根のフォンダン」二千百円に、マデューロを合わせれば、味が膨らんで笑顔を呼ぶは必至。ソーセージ職人が作った「サルシッチャ」二本千四百円は、優しい味わいで、肉の甘みに溢れ、これもまたビールと好相性を見せる。
August Beer Club
港区西麻布3-2-21
tel.=03-6804-1655
営業時間=11:00〜22:30(L.O.)※22:00 フードL.O.
年中無休
Antica Trattoria Nostalgica (アンティーカ・トラットリーア・ノスタルジーカ)
世の食通を唸らせ続ける
イタリア料理の傑作が揃う
一晩一組。毎回一つのテーマを中心に先鋭的な料理を供し、イタリア料理の新たな世界を提示してきた、小林幸司シェフの「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」が今年六月、リストランテからトラットリアに変わり、店名も改名。単にトラットリアといっても、そこは、「マリーエ」時代より世の食通を唸らせてきた、小林流哲学が貫かれている。 店に入ると、白きテーブルクロスが敷かれたどのテーブルの上にも、アンティパストの四皿が置かれ、客を待ち受けている。ある日の皿は、突き出しに、「ペコリーノ・マトゥーロとサルシッチャ」。サルディーニャ産チーズの練れた塩気と複雑味が広がる、辛味ソーセージが唾液を誘う。さらには、米を噛み締めると、貝のダシがふわりと滲み出る「米とムール貝のサラダ」。苦味と野生の香りがたくましい「ラディッキオロッソのグリル」。香りの高さに思わず笑い出す「ポルチーニのオーブン焼き」。
素材の持ち味を素直に伸ばし、隙がない皿に唸っていると、プリモピアットが運ばれる。ある日のそれは、「イカのラグーのペンネ」。イカの内臓を炒め、身と足、エンペラを入れて白ワインで蒸し、カーボロネーロ(黒キャベツ)を混ぜたラグー。イカの肝としっとりと火が通された身のしみじみとした深い味わい。イカの塩分とペンネの甘みとの調和に、フォークが止まらない。 セコンドは、訪れた日が金曜日のため魚料理「ズッパ・ディ・ペッシェ」(月曜日は仔羊、火曜日はホロホロ鳥、水曜日は豚、木曜日は仔牛、金曜日は魚、土曜日は仔羊と決められている)。本来はブイヤベースのような多くの魚介を煮込んだスープだが、北海道産真ソイだけで作られている。 何よりも、一日がかりで作ったというスープが素晴らしい。塩が一切舌に当たらず、トマトのうまみも魚を支える繊細な量に抑え、魚の滋味と肝のうまみが体中に染み渡る。皮ぎしがうまい、グリルされたソイの弾けるような身を突き崩し、スープに絡めて食べる幸せ。素朴でいながら芯を捕らえた魚料理の傑作。 ドルチェは、「リモンチェロのジェラートとシロップ漬けの葡萄」。コースは一種類七千円だが、コース途中でお腹に自信がある方は、「カルボナーラ」、「アマトリチャーナ」など五種類揃う定番のパスタの注文も可。コペルト五百円、ハウスワイン(カラフェ)千五百円。ワインは三千八百円均一。
Antica Torattoria Nostalgica
目黒区中目黒4-8-12 ディモーラ目黒1F
tel.=03-3719-7755
営業時間=18:00〜21:00(L.O.)
定休日=日曜日
CORVIERA(コルヴィエラ)
松橋ひらくシェフによる
「リヴィエラとコルシカ」の料理
「フェア・ドマ」を閉めた松橋ひらくシェフの新店。六月開店。ジェノバ州の料理を中心に魅了した前店に変わり、当店は、イタリアとフランスの国境を越えた、「リヴィエラとコルシカ」の料理を供すべく、店名に込めたという。 店内入り口には、グラッパが所狭しと置かれたバル風カウンター席がある。リストランテの料理も小皿料理もいただける。前菜では、色気さえ感じる、各種スパイスの効果によって、和食とは違う逸品に仕上げた「金華鯖のカルパッチョ」千五百円。ペコリーノサルドと、オリーブ油、鴨の脂、くるみ油の三種の油で火を通した葱を添えた、雑味なくきれいな味わいの「塩水でマリネしたシャラン産鴨のカルパッチョ」二千五百円。 プリモピアットでは、酸味と香り、強い太陽の日差しを感じる「無農薬レモンとオレンジ、オリーブのスパゲッティ コートダジュール風」千五百円が、新たなコンセプトの魅力を伝える。もちろん、唯一無二、バジルを惜しげもなく使った、森林浴しているような「トレネッテのバジリコペースト和え」千八百円も健在。また、サッカーイタリア代表のインザーギが必ず試合前に食べるという、パルミジャーノと生トマトを使った「スパゲッティ・フィリッポ・インザーギ」千七百円、「スパゲッティ・ゴッドファーザー」といった愉快なメニューも。 セコンドでは、決め細やかな肉質の中に優しい滋味を溶け込ませた「志摩産天然キジ肉のソテー 季節の茸ソース」二千六百円が素晴らしく、肉の清々しいまでの存在感に圧倒される。
CORVIERA
中央区日本橋兜町1-4 日本橋兜町M-Square1F
tel.=03-6206-2306
営業時間= [バール・レストラン共通]11:30〜13:30(L.O.)
[バール]13:30〜23:00(L.O.) [レストラン]18:00〜22:00(L.O.)
定休日=土曜日 ※日曜日は夜のみ営業
KONYA(コンヤ)
スパイスの香りが胃袋をそそるトルコ料理
食材の風味を生かした繊細な味わいに心和む
銀座の一角、ビルの地階に隠れ家のようにある、トルコ料理店。五月開店。店名の由来は、トルコ内陸部カッパドキアの南西にある都市、コンヤ。青い灯りに照らされた店内は、トルコの調度品が飾られて、ミステリアスな雰囲気に満ちている。 「チョパンサラダ」八百五十円は、新鮮さを感じさせる胡瓜、トマト、ピーマン、玉葱によるサラダだが、ユカリに色と風味が似たトルコスパイス、スマックの酸味と香りが利いた、印象に残る味わい。前菜にお奨めしたいのは、「メゼ(ペースト)の盛り合わせ」、ほのかにクミン香やにんにくが利いた豆の甘みが、口いっぱいに広がって、思わず微笑みたくなる「フムス(ヒヨコ豆のペースト)」、ほうれん草・ヨーグルト・にんにく・オリーブオイルを使用したペースト「ウスパナックメゼ」、ほんのりと辛味が利いた、トマト、玉葱、にんにくを合わせ、コリアンダーを少し利かせた「アジェルエズメ(生野菜のペースト)」、茄子のやさしい甘みにあふれた「パトゥルジャンメゼ」。いずれも、野菜などの食材の風味を素直に生かした、穏やかで繊細な味わいに、心和む。エキメッキという、胡麻をまぶした、トルコのパン(薄いナンのようなもの)につけて。 メインでは、まずは串刺しの焼肉「ミックスケバブ」三千九百円はいかがか。香りに富む「シシカバブ(羊肉)」、スパイスの香りが胃袋をそそる「チキンシシカバブ」、内臓の香り漂う、ほんのり辛い「牛肉のケバブ」。塩味が利いた、トルコ風ピラフ添え。お相手は、軽い飲み口のトルコビール「エフェス」がいい。 粉料理では、トルコ風饅頭「マントゥ」がお奨め。中に肉餡を詰めた、小さな餃子スタイルの粉料理で、ソースをよくよく混ぜて食べれば、ヨーグルトの酸味とトマトソースのうまみ、スマックの風味や、ほのかなにんにくの香り、クミン、パセリの香りなどが入り混じってうまみが増し、瞬く間に食べてしまう。
KONYA
中央区銀座5-9-13 中村ビルB2F
tel.=03-3571-6042
営業時間=11:00〜15:00(L.O.)、17:00〜24:00(L.O.)
年中無休
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