牛尾治朗対談
 
牛尾治朗対談 第31回
ゲスト:佐々木毅
自分がほとんどの時期を過ごした
二十世紀という時代をどう考えるか

国立の東京大学が民間の独立法人東京大学に
なるという大きな転換期に、
総長を経験されることになった佐々木毅さん。
大役を果たされ、昨年から学習院大学で教鞭を執られながら、
これからの時間を有効に使うべく、
いろいろなお考えをまとめる作業に専念されているようだ。

牛尾 ようこそおいでくださいました。
佐々木 本日はよろしくお願いいたします。
牛尾 現在、学習院ではどのぐらい授業をされているのですか?
佐々木 水曜日と金曜日に二時間ずつの授業です。それから火曜日は、隔週で教授会その他の会議が三時間あります。
牛尾 授業は毎週あるのですか。
佐々木 ええ。やはり特任教授と違って、常勤教授は働かないといけません。ですから入試の監督もやります。
牛尾 それもなさるのですか。
佐々木 はい。
牛尾 学習院に入られたのは、一年前でしたね。
佐々木 そうです。昨年の四月からです。
牛尾 佐々木さんが東京大学の総長をされているときに、僕は経営諮問会議のメンバーになったのですね。
佐々木 牛尾さんがメンバーになられたのは、東京大学が法人化する前からでしたね。
牛尾 そうです。そこで東京大学の経営なるものを初めて知って。
佐々木 いえ、経営などというものではなくて、誠にご迷惑なことですけれども、牛尾さんにはずいぶん助けていただきました。
牛尾 国立の東京大学から民間の独立法人東京大学になって、佐々木さんはそのあとも一年間総長をなさったわけですから、いちばん大変だったと思うのです。法人化する前に三年、法人化して一年総長をされたのですね。
佐々木 ええ、そうです。三年目の切り換えのときがいちばん忙しかったです。
山口(小誌) 我々にとってみると、東大の民営化がどういうものなのかというのは、あまりピンとこないのですけれども。
佐々木 形ばかりのこともありますけれども、とにかく公務員ではなくなりますから、人事制度は全部変えるというようなあたりは、少なくとも形のうえでは大きな変化になりました。たとえば、大学にはよくわからない勤務状態の人たちがたくさんいます。それをわかるようにしなければいけないということもあるし、これまで考えなかった財務的なことを、一緒に考えて整理をして目に見えるようにしなければいけない。いままではとにかく使い切りメカニズムだったものですから、そういう仕組みをどうするかというようなことについてご助言やご批判をいただいたり、なにをやっているのだと外部からおっしゃってもらうと私はやりやすくなったわけです。当初は、外部の方からなんらかの形でご意見を伺うこと自体拒否反応があって、それがようやくなくなってきた段階でしょう。
牛尾 初めの頃は、外部の素人がなにを言っているのだ、余計なことを言うなというような雰囲気を感じました(笑)。
佐々木 それはもう変わったと思います。外部の方といいましても、いろいろな方がいらっしゃるものですから。これはなかなか簡単にはいかないのですけれども、うまくいっているところと、あまりうまくいかないところとの違いが出てくるかもしれません。
牛尾 東京大学は、佐々木総長のご努力があって、うまく転換したと思います。
今度、東大の中にコンビニのローソンが入ったのでしょう。
佐々木 私の最後の仕事が、そこのテープカットだったのです。三月三十一日でした。
牛尾 とてもはやっているそうですね。
佐々木 学生が夜遅くまで実験をしていますでしょう。生協とか普通の店は五時ぐらいに閉まってしまうものだから、大学の外にあるコンビニが日本でも有数のいい業績をあげている、それならば大学の中に作ったらもっといいのではないかと。生活協同組合その他との若干の調整は必要としましたけれども、学生は非常に喜びましたし、それとコンビニのほうも、その店を使ってできるだけ新しいトライアルをやろうというようなことをおっしゃられたのです。「二十一世紀型コンビニ」といいますか、そういう実験にも使っていただけるのであればということで。
牛尾 あれは競争入札をしたのですか。
佐々木 そうです。
山口  慶應病院の中にもローソンが入っていますね。
佐々木 東大病院にも入るのですが、いろいろ古い関係があるので、その整理に少しエネルギーがいるのです。表の舞台にのせてしまえば必ず動くのですけれども、そこまでを根気よくやる人が、なかなか大学の中には人材としていないものですから難しいのです。でもなんとか動いたので良かったと思います。
牛尾 二十四時間やっているのですか。
佐々木 ほとんどやっていると思いますね。大学にはいろいろな需要があって、ほかの社会とは少し違う。たとえば大学の場合夏になると人が急にいなくなるという問題があって、夏も冬も休み中も学生がいるというようなところでないと、とても民間の方にお願いできないわけです。それやこれや若干特殊事情があります。
牛尾 東大病院も大分雰囲気が変わりましたね。
佐々木 もう少しで一新します。
牛尾 永井良三院長になられてから画期的です。
佐々木 ありがとうございます。
牛尾 あのような方がどんどん出てきて変わっていくと、いわゆる独立法人らしくなるのではないでしょうか。
佐々木 実際において、そうなっていくと思います。

この続きは、是非本誌にてご覧ください。

このホームページに掲載のイラスト・写真・文章の無断転載を禁じます。
すべての著作権は、株式会社 味の手帖に帰属します。

 
×ウィンドウを閉じる