立ち読み:牛尾治朗対談

対談
奥原 主一(日本ベンチャーキャピタル(株)代表取締役社長)

次世代を担うベンチャー企業を応援し
日本経済の発展に貢献する

東京大学工学系研究科情報機械工学修了後、アンダーセンコンサルティング(現・アクセンチュア)を経て、日本ベンチャーキャピタルに入社し、二〇〇九年、代表取締役社長に就任された奥原主一さん。
民間投資の活性化、産業の新陳代謝の促進が叫ばれるなか、成長ポテンシャルが高いベンチャー企業に対し、独立中立型のベンチャーキャピタルとして多面的に支援を行われている。

牛尾
ようこそお越しくださいました。

奥原
お招きいただきまして、ありがとうございます。

編集部
現在、お二方は、奥原さんが日本ベンチャーキャピタル株式会社(以下NVCC)の社長を務められていて、牛尾さんが取締役名誉会長というご関係でいらっしゃるわけですが、「ベンチャーキャピタル」という仕事そのものが日本ではまだあまり知られていないかと思いますので、まずはそのご説明をお願いできますでしょうか。

奥原
ベンチャー企業は、市場が小さい、市場の立ち上がりが遅いなど、大企業では進出することが難しい新サービスや最新技術を利用した製品開発に、その機動力を最大限発揮することができます。小回りが利き、固定費が少なく、報酬の一部をストックオプションという形で市場から調達することが可能なベンチャー企業だからこそ、活躍できるフィールドは無限に広がっていると言えます。

そのような高い成長率を有する有望な未上場のベンチャー企業に対して、さまざまな角度から応援するのがベンチャーキャピタルの仕事です。経験豊かなプロフェッショナルが「ベンチャーキャピタリスト」として、会社の設立段階から株式公開に至るまでの期間、投資を行うと同時に経営コンサルティングを行うことで、その企業の価値の向上を図り、株式公開したのち株式を売却し、キャピタルゲイン(投資額と売却額との差額)を報酬として受け取ります。

私たちNVCCは一九九六年に、支援型の本格的なベンチャーキャピタルとして誕生しました。当時、経済同友会の代表幹事(現・特別顧問)だった牛尾さんが、親友でいらっしゃる文箭(ぶんや)安雄さん(元・コスモ証券社長。現・NVCC取締役相談役)と共に立ち上げられたのですね。

牛尾
私と文箭さんは不思議なご縁があるのです。私の祖父の牛尾梅吉と、文箭さんのご祖父様は、両方とも大阪の米相場で成功して、理事をしていたのです。当時の米相場の理事というのは、非常に社会的地位が高かったのですね。私の祖父は兵庫県姫路市の出身で、米相場で当てて、姫路の銀行や電力会社、ガス会社や電車の会社を買収して経営していました。文箭さんのご祖父様は、作家の谷崎潤一郎さんの支援者でした。また偶然にも、私と文箭さんは生まれ育った場所も、高校も大学も別ではあるのですが、学年が一緒なのですよ。

その彼がのちにコスモ証券で大成功したわけですが、退職したあと、次に何か新しいことを始めようとしていたところ、当時、アメリカでベンチャーキャピタル会社がすごい勢いで伸びている時期だったので、日本でもやってみてはどうかということになったのです。その頃は、本格的にベンチャー投資を行う会社は日本国内には全くなくて、これからの産業として非常に面白いのではないかと思ったわけです。

奥原
NVCCの特徴は、アメリカのファーム形式のベンチャーキャピタルのようなリード志向で、事業の初期段階から積極的に投資先の経営に参画することです。スタートアップから経営者と共に事業計画を立案し、経営に必要な助言や販売面でのアドバイス、上場に関するサポートをはじめ幅広い支援を行うなど、「ベンチャーと共に歩んで行く」ことを、基本理念としているのです。

その理念のもと、経営陣や株主には、自らベンチャー企業を興して成功をおさめている事業家や、ベンチャー支援に熱意を持つ大手企業が結集しています。現在、役員企業、株主企業、ファンド出資企業など、百五十社以上の大企業がNVCCに関与していまして、投資候補先の事業性評価、投資後のアライアンス構築などで強力な支援を得られる体制を整えています。

この続きは、是非本誌にてご覧ください。