味の見聞録

カテゴリ:イタリア料理
札幌の美味
イタリア料理
リストランテ 薫
独自の発想で料理を作り出す
イタリアン界の注目シェフ

 札幌駅から約二十分電車に乗り野幌駅に到着、そこから車で七分ほどの住宅街にぽつねんと佇む隠れ家イタリアン。長谷川稔シェフの店である。

 極めて個性的な料理が次々と出される、夜のおまかせコースは、七千五百円(前日までに要予約)、一万二千円・一万五千円(共に一週間前までに要予約)の三コース。ある日の一万五千円のコースは全七皿。

 一皿目。水中で捕らえて神経絞めした「スジアラのスープと焼き」は、スープのうま味が綺麗で、一切の淀みがない。骨に塩をし、酒をふり、洗って軽く焼いた昆布で昆布締めにし、その骨でだしを取ったのだという。

 次は「牡蠣」である。厚岸(あっけし)の牡蠣と仙鳳(せんぽう)趾(し)の牡蠣を、軽く酒蒸しして余分な水分を抜く。その後、椎茸と鰹節のだしを吸い込ませ、上から藁火で炙り、下から炭火で焼いたものである。海水が抜けエキスだけが残った牡蠣に異なるうま味を相乗させ、藁の香りをつけ、炭火で味を膨らませる。一口目はさりげないのだが、素晴らしい余韻が恐ろしいほど長く続く。

 続いて金目鯛の料理。金目鯛を白板昆布で挟み、一分間蒸しては一分間休ませる。これを二十回続ける。しかる後、皮を鱗ごとパリッと焼くのだが、食感が悪くなるので鱗を立たせたくない、身には微塵も熱を加えたくない。そこで、氷を巻いたアルミ箔を身にかぶせ、手で持ってフライパンで焼く。鍋から一センチ離した空中で持ち続けて、相当腕や手が熱いが、我慢して焼き上げるのである。

 そうして椎茸と鰹節のジュレを添えて供された金目鯛は、焼かれているというのに、まだ命のみずみずしさを残している。金目鯛の純粋なうま味が深められているのだが、淀みや雑味はなく、清廉な味わいに満ちている。熱いのをこらえて焼かれた皮は、薄く薄くパリンと香ばしく、凝縮した皮下の甘みが滲んでいた。

 次は、「五十九度の塩水で加熱したタチ(鱈の白子)と柚子風味のタリアッテレ」。このパスタも味にキレがあり、美味。

 続いてなんと「ヒグマのカツ」。噛めば微かな燻製香を伴いながら、肉が砕けていく。熟成されているのに臭みを感じさせず、淀みなきたくましい滋味が、噛むごとに溢れてくる。脂は、凛々しい甘みを広げながら消えていく。

 「熟成させても、命のことを考えるとトリミングをしたくないんです」。というシェフは、肉に余分な圧をかけないよう、塩水に浮かべて熟成させる。そして生まれた香りを弱めるため、軽く燻製にしてからカツにし、酢漬けの黒胡椒をまぶした。

 次は「鹿の赤ワイン煮」。想像する赤ワイン煮ではない。赤ワインに漬けたまま六十八度で二時間加熱した料理である。鹿肉の素直な香りに満たされたステーキといった風情で、そこに赤ワインの香りがほんのりと溶け込んでいる。

 「新わかめのパスタ」は、真蛸と紫蘇のだしで茹でたパスタに、数の子と新わかめを添えてある。パスタと具を馴染ませるのではなく、わかめを大きく切り、数の子とともに添えて、あえてパスタとの食感の対比を楽しませるのである。

 どうです、面白いでしょ!? ほぼ独学ながら、他にはない発想で料理を作り出す、しばらく目が離せないシェフである。

北海道江別市野幌寿町24-6 
電話=011(375)6062
営業時間=12時~14時半(14時LO)、18時~(完全予約制) 
定休日=火曜日・第1月曜日
※上記価格に消費税・サービス料合わせて10%別途
今年話題の新店
イタリア料理
anima
伝統料理をモダンに変化させた
力強いイタリアン

 新潟からの魚介と静岡からの力強い野菜を中心にして、伝統料理をモダンに変化させたイタリアンがいただける。三十一歳の若き中村圭佑シェフと、名ソムリエの支配人、金子眞治氏で切り盛りされている。

 ある日の一万円のコースのアミューズは、ニョッコフリット(薄い揚げパン)とサンダニエーレ産生ハム、ティースプーンに盛られた根セロリクリーム、アマゴ、アマゴの卵。軽く燻製にされたアマゴのねっとりとした感覚と香りが食欲をくすぐる。

 続いて「タコのマリネを契約農家から届く野菜と」は、薄切りにした水ダコにかんずりを挟んだもの、タコ足の角切り、タコのタルタルと、三種類の調理法によるタコと、瑞々しい野菜との呼応が楽しい一皿。

 三皿目は「甘海老のキタッラ」。パスタに練り込んだ布海苔の香りとねちっとした食感が、海老の甘みと美しく抱き合う逸品。

 続いて、茸の香り豊かな「ポルチーニの焼リゾットとフォアグラ」。そして、「栗を詰めたトルテリーニ」は、甘い香り漂うカカオ生地と栗の優しい甘みが、合うこと! 添えられたフレッシュチーズのストラッチャテッラの繊細な甘みもいい。

 魚料理は、シェフの修業先シチリアのマンマから教わったという「魚介のクスクス サン・ヴィート・ロ・カーポ風」。魚介とトマトの旨味が濃厚に溶け合ったソースに、キジハタ、海老やイカのフリットとクスクスが添えられる。痛快さに満ちていて、「大盛りを」と言いたくなる美味しさである。

 肉料理は「チンタセネーゼ豚ロース備長炭焼を箱根西麓野菜と」。見事に焼かれた、チンタセネーゼの鉄分を含むような独特の旨味が噛み締められる皿である。

 デザートは、爽やかな「ガリアーノ(リキュール)とマスカットのゼリー、生姜とレモンのシャーベット、梨」と、どこにもない新しい「ティラミス」が楽しい。

 サービスもスマートで、ワインのセレクトも見事。

東京都渋谷区広尾3-2-13 岡野ビル1階 
電話=03(6884)4016
営業時間=12時~13時(LO)、17時半~23時(LO) ※ランチは土・日・祝のみ
定休日=火曜日
話題の新店・肉料理編
イタリア料理
falo
カジュアルに楽しめる
炉端イタリアン

 自由が丘の名イタリアン「モンド」の宮木康彦シェフが、広尾「アクアパッツァ」で料理長を務めてきた樫村仁尊シェフを迎え、五月にオープンした、炭火焼き料理を中心とした店。気軽に飲んで食べられる居酒屋を目指すという。

 店内の中央に炭火台があり、それを囲むようにカウンター席が配されている。炭を積み上げ、その周囲に串に刺した肉を配置して、炉端焼きのように焼く炉があり、焼かれる肉を見ながらの食事は痛快。

 まず、小皿料理が何品か出され、これらを箸でつまみながらワインを飲み、メインを待つ楽しさがある。ある日は、「イカとウイキョウとオレンジのサラダ」、クミン風味の「キャベツのスパイシーマリネ」、「鶏胸肉とドライトマトのマリネ」、パンを利用したサラダ「パンツァネッラ」、そして「豆アジのエスカベッシュ」の五皿。また、これらとは別に「モツ煮込み」もぜひ。ギアラやハチノス、ミノが混ざった上等な煮込みで、深い旨味にワインが進む。

 主役の炭火焼きは、塊で焼く「ポルケッタ」二千五百円、「鴨胸肉」三千五百円、「中勢以熟成肉」八千円などがある。

 中でもおすすめは、「ポルケッタ」(豚肉に秘伝のスパイスで香りを付けて焼く)。肉は塊で焼かれ、分厚くカットされて登場する。豚脂の甘み、肉のエキス、香草の香り、肉が焼けた香ばしさなどが渾然一体となって舌に広がり、鼻に抜ける。肉を食べる醍醐味があって、数人でシェアしながら食べるといいだろう。

 そのほか、特製の七味をアクセントにしながら食べる「鴨胸肉」や、熟成香漂う「中勢以の和牛」なども、力強い野菜の炭火焼きと共に食べたい逸品。

 ガッツリと肉料理を食べるもよし、軽くつまんで飲むもよし、いろいろな使い方ができる。今後は様々な肉や魚に挑戦していくとのこと、目がはなせない店である。

東京都渋谷区代官山町14-10 LUZ代官山地下1階 
電話=03(6455)0206
営業時間=18時~23時半(LO) 
定休日=木曜日
話題の新店・肉料理編
イタリア料理
TACUBO
薪焼き料理ならではの味わいを
ワインと共に

 恵比寿のイタリアン 「アーリア・ディ・タクボ」の田窪大祐シェフが、心機一転、店名と場所を変えて、薪焼きを中心とした料理を目指し四月に開店。個室も用意されているが、少人数なら、ぜひ目の前に薪火の炉が見えるカウンターに陣取りたい。

 ある日の九千五百円(別途席料)のコースは、前菜が、鉄分の香りに富む「馬肉のタルタル」。続いて、セロリアック(セロリの一変種・根菜)の柔らかな甘みと、クミンの刺激的な香り、ラルド(豚の脂肪)のコクが穴子を持ち上げる「穴子のフリットとセロリアックのピュレ クミン風味」。

 パスタは、重なり合った魚介の深い旨味に、山菜の香りがアクセントを添える「セリと黄アラ(ハタ) アサリと米イカのスパゲッティ」。さらに、新玉葱の優しい甘みに思わず顔が崩れるトルテリーニに、生ハムやペコリーノ、トマトを合わせ、アマトリチャーナを再構築したという、「新玉葱のトルテリーニ」と続く。

 主役の肉の薪焼きは、愛媛のはなが牛のサーロイン。赤々と燃える熾火の上で焼かれた肉は、こげ茶色の表面が何とも香ばしく、ガリッと齧れば肉エキスがほとばしり、噛み締めれば脂の甘みが舌に流れていく。勇壮な気分にさせるビステッカである。

 なお、一万二千円のコースでは、よりサシの入った十勝田くぼ牛の用意もある。ドルチェも、ミルクの香りとエキゾチックな香りが交差する「パッションフルーツを添えたラッテ・イン・ピエーディ」ほか、秀逸な五種類の中から選択できる。

 また、コーヒー・紅茶共に厳選された品質の高いものが用意されており、コースの有終の美を飾る。

 ワインのペアリングは四千五百円より。

東京都渋谷区恵比寿西2-13-16 ラングス代官山1階 
電話=03(6455)3822
営業時間=12時~13時(LO)、18時~23時(LO)  
※ランチは水・土・祝のみ
定休日=日曜日(月曜祝日の場合、日曜営業、月曜休)
魚のおいしい店
イタリア料理
ボガマリ・クチーナ・マリナーラ
ショーケースにずらりと並ぶ食材を
好みの調理法で楽しむイタリアン

 人数を集めて出かけたい、イタリアン魚介食堂。昨年十一月にオープン。

 店内中央にはショーケースがあり、細長いヤガラが顔を出していたり、大小様々な貝や海老、ウニ、魚などがずらりと並べられている。魚介好きにはたまらない光景である。メニューに肉料理は一切なし。

 黒板に本日のおすすめメニューも書かれているが、是非このショーケースを見て料理を決めたい。イタリア料理に詳しければ、この魚や貝をこういうふうに調理して、と頼むこともできる。あるいは、魚にも料理にも詳しくなくとも、スタッフがサポートしてくれるので、蒸すならどれ? フリットにするならどれ? おすすめの貝のパスタは? などと聞いてみるといいだろう。

 前菜は小皿で四百円。まずは、そこからいくつか見繕い、生でいける牡蠣や海老をもらって、冷えた白ワインで始める。次にカルパッチョかマリネ、続いてマテ貝やニシ貝などを白ワイン蒸しにしてもらってはいかがだろうか。

 パスタでは、珍しい貝を使ったカルボナーラもいいし、フレーグラという粒々パスタと魚介を合わせてもらってもいい。

 そして、メイン。ショーケースから好きな魚を選び、シンプルにグリルにしてもらうのもよし、アクアパッツァや蒸してレモンソースで仕上げてもらうのもおいしい。

 その他、茸や野菜料理も素晴らしい。

東京都渋谷区千駄ヶ谷4-7-5 
電話=03(6721)1858
営業時間=11時半?14時(L.O.)、18時?22時(L.O.)
定休日=日曜日
二〇一四年話題の店(2)
イタリア料理
mesebaba
亀戸の隠れた名店
素材を活かしたシンプルイタリアン

 亀戸である。住んでいる方には申し訳ないが、イタリアンとは無縁の土地である。

 店はたった八席のカウンターのみ、しかも裏路地のわかりにくい所にある。一人で孤軍奮闘する店主高山大さんは、昨年末この店をオープンした。

 一人ですべてこなしているのにもかかわらず、実に手際がいい。ほとんど待たすことなく、スムーズに数組のお客さんに皿を提供していく。

 ある日頼んだ食事を再現しよう。

 一皿目は、「ファリナータ」。イタリア版お好み焼き。チェーチ(ひよこ豆)の粉に、オリーブオイルと水、塩を加えて生地を作り、それを薪のオーブンでカリッと焼いた料理である。質素な料理だが、表面はカリッと香ばしく、豆の油分とオリーブオイルの香りが融合して、なんとも食欲をくすぐる。そして中はふわりと、豆の甘みに満ちている。

 次が、「鰯のヴェネツィア風」。鰯を丸ごと揚げてマリネした料理で、鰯のうま味、マリネ液の酸味、野菜の甘みの渾然に、ワインが進む。

 そして、白インゲンのペーストと干し鱈を混ぜ、バゲットにのせて焼いた皿。北イタリアの人が毎日頬張るマンマの味。優しく温かく、毎日食べても飽きないたくましさに満ちている。

「豆料理のうまい人は、料理がうまい」、これは原則である。この店は豆料理の数が多く、中でも「イタリア産グリンピースの煮込み」は、豆料理が好きで、かつ得意とする高山さんならではの一皿。イタリア産グリンピースは日本のものに比べるとやや小粒だが、食べれば甘く、甘さの奥に豆の生命力を感じるうま味の深さがあって、フォークを運ぶ手が止まらなくなる。

「このソースは子袋に合うと思って」と、出されたのが「子袋のアラビアータ」。茹でた子袋に辛いトマトソースが和えられている。クニュッと噛みしめると、ほのかな甘みと微かな苦みが滲む子袋に、キック力のある辛いソースがよく合う。

 そして再び豆料理。「ひよこ豆のズッパ(スープ)」。豆と水だけなのに、豆の甘みだけではない、うま味がある。自然の優しさに満ちたうま味に舌が涙し、体が震える。シェフの誠実が生んだ料理である。

 最後は、「トマトのスパゲッティ」。いわゆる、トマトソースのスパゲッティである。具は一切なし。この潔さが素晴らしい。熟れたトマトのうま味に、小麦粉の甘みが絡んで、実においしい。

 またある日のメニューは、ピサの斜塔で有名なピサで収穫されるインゲン豆「ピサの豆の煮物」。三時間煮た豆は、皮はあるのに、まるでないかのようにくにゃんと潰れ、豆の甘みがムースのように口の中に広がっていく。この茹でた豆にオリーブオイルをまぶし、ボッタルガ(カラスミ)を振りかける。オリーブオイルの香りとボッタルガの塩気と出合った豆は、噛めば甘みの優しさを深めて潰れていく。

「仔鳩のフリット」は、手で持って齧れば、血の香りが破裂して口の中を蹂躙し、鼻に抜けていく。また「兎のレバーのクロスティーニ」に、夏トリュフをこれでもかと削れば、トリュフの妖艶とレバーの猛々しさが舌の上で接吻して、官能が体を駆け巡る。

 店は早くも予約至難。都心のイタリアンだけで満足しているようじゃ、甘いことを知る店である。

東京都江東区亀戸6-26-5 
電話=03(3636)5550
営業時間=17時〜翌2時頃(材料が終わり次第閉店)
不定休
二〇一四年話題の店(1)
イタリア料理
La TRIPLETTA 
粉の香り豊かな驚くほど軽い生地
多彩な本格ナポリピッツァ

 武蔵小山はここ数年、さまざまな面白い新規店ができている地域である。

 オーナーであり、ピッツァヨーロ(ピッツァ焼き職人)でもある太田賢二氏は、ナポリの名店「マリーノ」で修業し、帰国後は南青山のピッツェリア「ナプレ」で統括ピッツァヨーロを務めた後、今年二月に自分の店をオープンした。

 彼の焼くナポリピッツァの特徴は、焦げの香りに邪魔されることなく、粉の甘い香りが豊かであり、しかも生地を食べた感覚が軽いことにある。

 これは生地の加水量の多さによって生まれるものだという。生地のほとんどは粉と水でできており、加水量=水の比率によって、発酵、及び焼成の段階で違いが出てくる。加水量が多い=水の比率が高い生地は、焼いている間に蒸発していく水分量の比率が高くなり、生地が軽く仕上がるという。

 もちろん、ただ水分量を増やせばいいということではなく、その加水量に応じて発酵、焼き方、窯の温度などを適切に合わせなければ逆に焦げやすく、味わいのない生地になってしまうのである。

 また、加水量が多いと生地がやわらかく、だれやすくなるので、その分、伸ばすときに技術を要する。その技術がないと打ち粉がどうしても多くなり、結果、打ち粉が焦げるだけで生地の香りを遮ってしまう。この打ち粉をいかに付けずに焼くかが、大切なのだという。

 その生地の実力を実感するために、まずは前菜で、揚げたピッツァと野菜を合わせた「アンジョレッティ」を頼んでみるといいだろう。カリッとした表面と中の空気を含んだ生地の軽やかなこと。揚げてあるのに油っぽさをまったく感じないのである。

 ナポリピッツァのメニューは、モッツァレッラベースの白い「ピッツァビアンカ」が十八種類、トマトソースとモッツァレッラによる「ピッツァロッサ」が十七種類。

 定番の「マリナーラ」九百円や、「マルゲリータ」九百五十円もおいしいが、おすすめは、チコリ(豚バラ肉のコンフィ)をのせた「ポパイ」や「プレフェリータ」(共に千六百五十円)。カリッと揚げられた豚バラ肉の脂がおいしく、それがモッツァレッラや薫製スカルモッツァチーズと合う。

 また、モッツァレッラ、ゴルゴンゾーラ、ソーセージ、サラミ、トレビスがのった「ロザータ」千七百五十円もいい。トレビスのほのかな苦み、ソーセージとサラミのうま味、モッツァレッラ、ゴルゴンゾーラの塩気が見事にまとまっていて、噛み締めると思わず顔が崩れる。

 昼は、十種類のピッツァがドリンク付きで千円から用意されているので、そちらから試してみてもいいだろう。
夜の前菜は、新鮮な内臓を使ったピリ辛のモツ煮や、山口から届けられる魚介類の料理などがいい。また、炭火焼きのサルシッチャや牛肉、羊肉にマカジキ、そのほか鶏モモ肉の釜焼きといった、主菜も充実している。

 人気店ゆえ、夜は予約が望ましい。

東京都品川区小山3-13-12
電話=03(6451)3537
営業時間=11時半〜14時半(L.O.)、17時半〜22時半(L.O.)
定休日=第3火曜日・不定休
ハンバーグ(1)
イタリア料理
VACCA ROSSA
「土佐あかうし」を使用
薪焼された肉汁溢れる傑作

今年五月にオープンしたイタリア料理店。スペシャリテは、輻射熱が当たらないように作ったという特製のトスカーナ暖炉にて、肉焼名人として知られるシェフが焼くステーキ「ビステッカ・アッラ・トサーナ」。「幸福を呼ぶ赤い牛」という意の店名からもわかるように、シェフが出会い惚れ込んだ、繊維が細く、密な「土佐あかうし」を使用。

その赤牛を使った「ヴァッカロッサバーグ」が、昼夜各コースの一品として登場する([昼:火〜金]Bコース・千四百円、Cコース・二千八百円、[夜]ヴァッカロッサコース・六千五百円)。粗く手切りし、網脂で包んで、薪の熾火で焼かれたものである。

肉の塊にナイフを入れると、肉片がこぼれ落ちる。焼けた香ばしさに続いて、猛々しい肉の香りが広がり、奥歯でぐっと噛めば、肉のエキスが溢れ出る。脂の甘みに頼ることない、甘えのない肉汁が噛むごとに押し寄せる。これはもはやハンバーグではない、ステーキである。

付け合わせも傑作。胡瓜の薪焼は、驚くほどみずみずしく、ジャガイモ炭火焼は、甘く香ばしい。

東京都港区赤坂6-4-11 ドミエメロード1階
電話=03(6435)5670
営業時間=11時半〜13時半、18時〜22時
定休日=日曜日・祝日・月曜日ランチ 
話題の新店(3)
イタリア料理
Convivio
イタリアの伝統料理をベースにした
アイデアに富む皿が揃う

昨年十一月オープンのイタリアンレストラン。薄い緑色を基調としたダイニングは、「饗宴」の意味を持つ店名にふさわしい、シックで華やぎのある空間である。

シェフは、渋谷にあるリストランテ「BIODINAMICO」にてキッチンを任されていた辻大輔氏。修業先のトスカーナの郷土料理をベースに、アイデアに富んだ独創的料理が味わえる。月替わりのコースが、昼は三千五百円、夜は七千円。ある日のディナーコースをご紹介。

突出しは、一皿目が、サラミ、マグロのたたきにサルサヴェルデ(グリーンソース)、フォアグラのムースにブリオッシュといちじくのジャム。「新宿の花畑」と題した二皿目は、あやめ雪蕪、姫人参、焼いたグラナパダーノ(チーズ)を串に刺し、小さな植木鉢に活けてある。続いて、たこ焼に見立てたアランチーニ(米のコロッケ)。すでにこの三皿で、テーブルの雰囲気が和む。

前菜は、野菜とケッカソース(冷たいトマトソース)を添えた「ソプレッサータ」。豚の頭肉などを使ったパテで、様々な部位の食感が楽しく、しみじみとした美味しさに仕立てた、シェフの力量が光る逸品。

パスタは二種類。まずは、イカ墨を打ち込んだ生パスタを、イカの肝のソースで和えた、イカが持つ様々な滋味が押し寄せる痛快な一皿。次は、シェフのスペシャリテの「カーチョエペペ」。チーズ(カーチョ)と黒胡椒(ぺぺ)だけを使ったシンプルな料理だけに、互いの分量とパスタ生地のうまみが試される一品だが、辻シェフのそれは、モチモチとした生パスタのほのかな甘みに、チーズのコクと黒胡椒の刺激が効いて、笑い出したくなるうまさである。

主菜は、ぺヴェラーダソースとアメリカンチェリーを添えた、シャラン鴨のロースト。鉄分溢れる鴨の滋味を、チェリーの甘く酸っぱい味わいと、塩気の効いたソースが持ち上げる。

そして最後に、またユーモアに富んだデザートが登場。土に見立てたビーツのアイスとチョコクッキーに、小さなじょうろに入れたミントシロップを注ぐ演出である。

食事をしていれば、そこが新宿の喧噪の中にあることを忘れてしまう。ダイニングの他、厨房に隣接した個室もあり。サービスもワインのチョイスも的確でスマート。新宿でシックな夜を過ごすのに押さえておきたい大人の店である。

東京都新宿区新宿3-20-6 FSビル4階 
電話=03(3354)4774
営業時間= 12時~15時(13時L.O.)、18時~23時(20時L.O.)
※夜のみサービス料10%別途
定休日=水曜日・第3火曜日
話題の新店(2)
イタリア料理
il Magnifico
様々なリクエストに応えてくれる
素晴らしいサービスのイタリアン

広尾「ラ・ビスボッチャ」のシェフ、山下孝一さんと、サービスの大木高志さんが独立し、今年三月に開店した、北イタリア料理の店である。

細長い店内は、手前がテーブル席、中央が厨房とカウンター、奥がテーブル席という、変わった設えであるが、少人数ならぜひカウンター席をお勧めする。

迎えるはマネージャーの大木さん。彼の変幻自在なサービスが楽しい。その日の自分の気分を伝えれば、ぴったりのワインを選んでくれ、料理の説明も、すべて美味しそうに聞こえる。また、料理の皿数や分量、順番の相談、あるいはメニューにない料理を相談しても、できる限りアレンジしてくれる。そして何より、働くのが楽しくてしょうがない、という雰囲気が素晴らしい。

まず前菜に選んだ、フィレンツェの伝統料理「ランプレドット」千五百円は、煮込まれたギアラ(牛の第四胃袋)の脂のうま味が存分に楽しめる。

パスタは、すべて手打ちの生麺。「ストロッツァプレーティ、自家製サルシッチャとンドゥイヤのトマトソース」千五百円は、モチモチッとしたショートパスタに、サルシッチャ(唐辛子入りソーセージ)の辛味を効かせたトマトソースの料理。また、ある日の「ピーチ、本日の煮込みソース」千八百円は、ピーチという、うどんのような太いパスタに、ハトの肝と肉の濃厚なソースを合わせて、唸らせる。

ショートパスタでお勧めは、「お肉のラビオリ”ゴッビ“、黒トリュフのバターソース」二千円。餃子大の大きな半月型パスタが、トリュフを刻み入れたバターソースをとろりとかけられて、輝いている。食べれば、皮がもっちりとして美味しい。その皮とよく練られた餡のうま味が調和し、濃厚なソースと混ざり合い、そこへトリュフの妖艶が香り、顔がみるみるうちに崩れていく。

ゴッビとは、せむし男、腰のまるまったおじいさん、という意味だそうで、マリア・カラスとの数多い共演で知られる、イタリアのバリトン歌手、ティート・ゴッビのゴッビも同じ意味だそうである。本名なのか、公爵に仕えるせむしの道化であるリゴレットを演じるための芸名なのか? そんな話を聞きながら食べるのも楽しい。

メイン料理も、「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ(牛炭火ステーキ)」六千八百円〜、「仔羊骨付きロースのグリル」二千四百円、「自家製サルシッチャのグリル」千六百円、「鮮魚のオーブン焼き、香草風味」二千六百円など、選ぶのに困る皿が並ぶ。

快活なサービスのもと、友人、恋人、接待と、目的を選ばないレストランである。

東京都港区麻布十番1-4-3 熱田ビル1階
電話=03(6459)1430
営業時間=17時〜23時 ※日曜のみランチも営業 12時〜14時
定休日=月曜日
二〇一二年開店の話題の店
イタリア料理
DA OLMO(ダ・オルモ)
誠実が味に染みた
心を震わせる北イタリア料理

新宿「トラットリア ブリッコラ」の北村征博シェフとマネージャーだった原品真一氏が独立し、九月に開店。シェフの修業先、イタリア北東部のトレンティーノ・アルトアディジェ州の料理が中心。国境を接するオーストリア、ドイツ料理との接点も感じられる、山と川の恵みに富む料理だ。ある日のディナーコース六千五百円を紹介。

前菜の「トローテインブルー」は、白ワインとスパイスで煮たヤマメ。雑味なく、ヤマメの深いコクとワインの酸味、ウイキョウやジャガイモの優しい甘みが呼応し合って、しみじみと旨い。

「アサリとクエのラサ」は、米粒状の小さなラサというパスタを使った料理。クエの豊富なコラーゲンの旨味とアサリのミルキーな滋味、そこにラサの甘みが加わった、笑わずにはいられない美味しさに満ちた皿。

「鳩のラグー リガトーニ」は、わざとゴツッとした固い食感に茹で上げたリガトーニ(表面に筋が入ったショートパスタ)が、鉄分豊かなソースを受け止める、痛快な皿。

特徴的なのが、「カーネデルリ」。トレンティーノ・アルトアディジェ州の郷土料理で、残り物のパンと小麦粉やチーズ、スペック(生ハム)などを混ぜた団子。パンと小麦粉以外は、身近にある季節のものを入れて、そのまま焼いたり、スープに浮かべたり、ソースを絡めたりと様々で、この日出されたのは「ポルチーニ茸のカーネデルリ」。スープに浮かんだカーネデルリを突き崩し一口飲むと、あまりの旨さに身震いがする。ポルチーニの香りが弾けて、ブロード(出汁)の滋味が広がっていく中、カーネデルリの素朴な甘みが溶けていく。

食べる人、郷土料理、食材、その三者を思いやる誠実が味に染みて、心を震わせる。恐るべし北イタリア料理。厳寒の地方ゆえ、これからの季節にはもってこいである。 ランチメニューは、千五百円。

東京都港区虎ノ門5-3-9 ゼルコーバ5‐101
電話=03(6432)4073
営業時間=11時半〜14時、18時〜23時
定休日=日曜日・祝日(月・土は夜のみ営業)
二〇一一年開店の話題の店(2)
イタリア料理
ROZZO SICILIA(ロッツォ シチリア)
シチリアへの愛に満ちた料理と選び抜いたワイン

九月開店。シェフ中村嘉倫氏とサービス阿部努氏は、人気店「ドンチッチョ」出身。中村氏のシチリアへの愛に満ちた料理、阿部氏の見事なホスピタリティーと、選び抜いたミネラル感たっぷりのワイン。飲まずにはいられないイタリア食堂である。

料理は前菜が十一種類、パスタが二種類、セコンドが二種類、ドルチェが六〜七種類。

まずは名物ひよこ豆のフリット「パネッレ」六百円と、「茄子のカポナータ」九百円をぜひ。優しい塩味の中からほっこりした豆の甘みが滲み出るパネッレ、ワインビネガーの酸味とトマトの甘み、茄子の甘みが見事な調和を見せる、溜息が出るほど旨いカポナータ。この二皿に、高級ではない、どこにでもある食材から奇跡を生み出す、シチリア料理の神髄とシェフの力量が詰まっている。

また、芋とレーズンの甘み、イワシの旨味が共鳴する「ジャガイモとイワシのオーブン焼き」千四百円、「丹波黒鶏モモ肉とレバー、キノコのサラダ」千四百円、その他の前菜類や、「イワシとウイキョウのスパゲットーニ」「和牛のグリンピースのラグー フジッリ マルサラ風味」(共に千五百円)といったパスタも惚れ惚れするほどおいしい。どの皿も、驚きを与えるのではなく、安心に着地させる料理の凄みに満ちている。

食後は、各種果物を使った阿部氏手作りの食後酒をぜひ。

東京都港区白金一の一の十二 内野マンション一階
電話=03(5447)1955
営業時間=18時〜24時(L.O.)
定休日=日曜日
東京ディズニーシー
イタリア料理
リストランテ・ディ・カナレット
絶好のロケーション
運河沿いに建つイタリアンレストラン

メディテレーニアンハーバー内、ゴンドラが行きかう運河沿いに建つイタリアン。レンガ造りの中世の建物で、梁と腕木による高い天井に支えられた、広々としたダイニングエリアは実に居心地がよい。また晴れた日には、運河に面した屋外のダイニングスペースもいい。店内には、このリストランテの名前でもある画家、カナレットのヴェネツィア風景画が飾られている。

おすすめは、店内中央に位置する、日本最大級の窯で作られるピッツァ。「ピッツァ・シーフード」千八百円は、パリパリの薄い生地で焼き上げられたピッツァ。海老、タコ、小柱、カニがたっぷりと散りばめられ、トマトソースとバジルソースで風味づけられている。魚介の質も上等。一方、「ピッツァ・マルゲリータ」千八百円は、ナポリ風のもっちりとした生地で焼き上げられ、こちらは生地のおいしさが堪能できる。

パスタでは、「生タリアテッレ、パンチェッタとポルチーニのクリームソース」千六百円がいい。茸の香りいっぱいのクリームソースが、生麺のうまみと絡み合い、素直なおいしさが込み上げる。そのほか、茸の凝縮した滋味に唸る「四種のキノコのスープ」六百円や、「本日の魚料理」(この日は、塩梅が精妙で、魚の甘みが伝わる「黒鯛のグリル」)千八百九十円もおすすめ。

十周年の「スペシャルランチコース」(※)二千五百円は、カリフラワーのムースの優しい甘みと海老やホタテが出合う前菜、混ぜると色が魔法のように変わる、スモークサーモンのスパゲッティ。「10」の文字とパークの火山をデザインしたレモンのズコットなど、胸躍らせる楽しいメニュー。

ワインも三千円からと、お値打ちな揃え。人気店なのでご予約を。

東京ディズニーシー内
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