味の見聞録

カテゴリ:オーストリア料理
二〇一二年開店の話題の店
オーストリア料理
Habsburg Veilchen(ハプスブルク・ファイルヒェン)
品格と優しさを備えた
オーストリア宮廷料理

四月開店。惜しまれつつ閉店した、赤坂「KuK(カー・ウント・カー)」の神田真吾シェフによる、オーストリア料理のレストラン。アジア圏で唯一「オーストリア国家公認料理マイスター」を持つシェフである。ゆったりと席がとられ、蝋燭の揺らめく店内は実に典雅。

夜のコースは、一万五千円と九千五百円の二種類。ある日のメニューを紹介。

白子のフリットやトウモロコシのスープといったアミューズに続き、前菜は「毛蟹と丹波黒枝豆のマリネ カリフラワーのアオフラオフ カルトフェルネスト」。ヴィネグレットでマリネした毛蟹とカリフラワーのムースを重ね、インカの目覚めを網状にして揚げたものが上に乗り、黒枝豆が周囲に散らされている。蟹は甘みに満ちていて、優しい甘みを持つカリフラワーのムースとの気品ある競演に、しばしうっとりとなる。

スープは、「トピナンブールのスープ メランジェ仕立て」。菊芋のミルクのような優しい甘みと土の香りが舌をいたわる、素晴らしいスープだ。そこに合わせたのは、ニンニク風味のクルトン。面白い。

魚料理は、「チロラーグリュステルと地鶏卵トリュフのソース ゲバッケネンオイスタン」。チロル地方のジャガイモとベーコンを使った郷土料理に、薄い衣でカリッと揚げたカキフライ。

シナモンの香りを効かせた華やかな「リンゴのソルベ」で口直しをした後は、主菜。選んだのは、ハンガリーの伝統料理「グーラッシュ」。見事なキレのあるソースで煮込んだ、マンガリッツァ豚を使ったシチューだ。肉自体の滋味強く、コク深いソースと渾然一体となって申し分なし。付け合わせのオーストリアのショートパスタ「アイヤーノッケルン」はソースをたっぷり絡めて。

デザートは、スパイス入り赤ワインソースと合わせたバラチンケン(クレープ)。不思議な香りにスプーン持つ手が止まらない。

その他アラカルトでは、「梅山豚の骨付き熟成ハム」、「貴腐ワインでマリネしたブルーチーズ」などがおすすめ。

いずれも、ハプスブルク家ゆかりの宮廷料理らしい品格と優しさを備えながら、奥底には長い間オーストリア人に愛されてきた料理の本質が脈々と流れている。

オーストリア銘醸ワインも数多く揃う。ランチコースは、五千二百五十円。

東京都中央区銀座7-8-7 GINZAGREEN7階
電話=03(5537)3226
営業時間=【昼】11時半〜13時半(L.O.)
     【カフェ】13時半〜15時(L.O.)
     【夜】18時〜21時半(L.O.)
※別途サービス料:昼10%・カフェ5%・夜12%
定休日=日曜日・祝日
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