味の見聞録

カテゴリ:フランス料理
フランス料理の新星
フランス料理
Crony
体が澄み渡っていく料理と
ワインとの見事なペアリング

 西麻布交差点近くに佇むモダンカジュアルな店。オープンキッチンでカウンターとテーブル席、個室の用意もある。二十九歳の若きシェフ春田理宏氏の料理は、十二皿のお任せコース一万二千九百六十円のみ。

 まず出されるのが、黒い皿に盛られた黒石。石の中に「じゃがいもの竹炭衣のコロッケ」が混ざっているという遊びである。グアンチャーレ(豚?肉の塩漬け)のコクが芋の甘みと合わさった味の完成度が高い。

「鶏皮と鶏レバーのテリーヌ」。今度は花と木屑の皿が現れ、中には木屑に似せた鶏皮とテリーヌが隠れているという趣向。

「トウモロコシのベニエ」。乾燥コーンの上に茶色い団子が一つ。トウモロコシの甘みに満ちたベニエに、自家製ビーフジャーキーを砕いてまぶしてある。

「トマト水」。木製ボウルの中には、透明の液体とランタナの花。トマト水(自重で時間をかけて取り出したエキス)を真空にかけて発酵させたものに、カモミールの香りを移した油を混ぜてある。爽やかなトマトの香りにカモミール香がアクセントを添え、練れた塩気が食欲をくすぐる逸品。

「車エビのソテーと人参のピュレ」。サッとソテーしたエビと、カカオニブを混ぜた人参のピュレを合わせ、人参のチュイル(洋風煎餅)を被せて、エビのパウダーをかけたもの。エビの火の通しがよく、人参の優しい甘さと共鳴し、カカオの甘い香りがエレガントさを作る。よく練られた皿である。

「サマートリュフ 胡桃 卵黄」。焼き茄子のピュレ、炒め玉葱のピュレ、そしてトリュフの千切りと砕いた胡桃が一面にかかり、その下に卵黄が隠れている。潰してとろりと流れ出る卵黄の甘み、茄子や玉葱の甘みがトリュフ香と渾然一体となり、色気を漂わす。トリュフと卵は定番の組み合わせだが、そこに茄子の存在感を加え、胡桃香のアクセントを付け加えながら、甘みのグラデーションを演出した秀逸さが光る。

「パンの料理」。黒々としたパンが一つ皿に盛ってある。脇役としてのパンではなく、一つの料理としての表現。天然酵母のパンに、ホエー(乳清)を加えたバターを添える。

「マナガツオ」。精妙に火入れしたマナガツオに、二枚のズッキーニの薄切りが被せてあり、甘夏の皮がふりかけられている。ズッキーニはシンプルにグリルしたものと塩水に漬け込んだもので、合わせて食べれば、塩漬けズッキーニの塩味で上品なマナガツオの甘みが起き上がり、片やグリルズッキーニの焼け香とほのかな甘みは、マナガツオの凛々しさを引き出す。添えられたウニのソースは、あえてウニの主張を抑え、秘めやかな甘みをそっと出している。

「川俣シャモ」。焼いたシャモの上に、焦がして薄皮を剥がした万願寺唐辛子を被せ、グリンピースの粉をかけ、枝豆のピュレが添えられる。ソースはフォンドヴォー。
デザートは「フルムダンベールのタルトレット」「ラベンダームース」「岩手ひとめぼれアイス」。最後は再び黒石が登場し、中に小さな菓子が混ざっているという趣向。

 いずれも食べるほどに、体が澄み渡っていくような皿だった。ストーリーを感じさせるワインとのペアリングも素晴らしい。

東京都港区西麻布2-25-24 NISHIAZABU FTビル 半地下1階 
電話=03(6712)5085
営業時間=18時~翌2時(コースは要予約で20時LO、21時~アラカルト料理)  
定休日=日曜日を中心に不定休
※表示価格は税込・サービス料10%別
フランス料理の新星
フランス料理
Takumi
シェフの意図が伝わる
個性あふれる料理

 夜は一万二千五百円の一コースのみ。

 テーブルにはハガキ大のカードが立ててあり、シェフからのメッセージが書かれている。「料理の意図をできるだけ正確に伝えたい」との考えから、料理一皿一皿全てに説明のカードが置かれ、デザート十一種類には五枚のカードが配られる。また、テーブルにはガラス瓶が五つ乗る木台があり、そこにはそれぞれの料理に使ったハーブやスパイスなどがその都度置かれる。

 一皿目は「ヨーグルトを使ったビシソワーズ パプリカのムース 炙り鯖のマリネ、オールブランのクラムとバジルのムース」。ヨーグルトや鯖の酸味、パプリカの微かな苦味と優しい甘み、オールブランの香ばしさが共鳴する一皿。

 二皿目は「トウモロコシの冷たいスープとフォアグラのフラン」。トウモロコシとフォアグラはよく見かける組み合わせだが、レモンサラダの香りや果汁の泡を加えたことにより、もぎたてのトウモロコシのような青い香りを感じさせる。

 三皿目は「蝦夷鹿のローストビーフ風」。添えられた鹿のコンソメジュレと一緒に食べれば、鹿の肉汁を余すことなくいただけるという趣向で素晴らしい。シナモンとクローブを加えたゴボウのベニエ、バルサミコ酢で煮たレーズン、緑胡椒風味のクレソンサラダなど、付け合わせも面白い。

 四皿目は「焼き穴子のクラムチャウダー仕立て そば粉のパスタ添え」。蛤の丸い旨味の出汁と穴子の力強さが手を結ぶ。上に乗せられたレフォールとジャガイモのサラダの刺激がまたいい。素朴なそば粉の旨味にカラスミを合わせたパスタも秀逸。

 五皿目は「イカの炭火焼き」。炭火で焼いたイカの身、ニョッキに仕立てたイカスミ、塩辛のポタージュ。身と内臓、イカスミを別々の調理法で合わせたフレンチのエスプリがある一皿。添えたカリフラワーに辛いスパイスをかけた一皿も心憎い。

 魚料理は「鯛のポワレ」。ポワレの下に敷かれるソースは、鯛アラを日本酒とともに圧力鍋で炊いてソースにしたものを、オリーブオイルで風味付けしたもの。アラと日本酒を油脂使いによってフレンチに仕上げた、シェフの腕が光る一品。

 肉料理は「鴨ハンバーグ」。鴨ハンバーグの上には、薄黄色のフランのようなものが乗っている。聞けば、蕪とフォアグラを合わせて蒸したものだという。フォアグラのコクと香りだけを生かし、後口に蕪の香りが漂う。鉄分に富む猛々しい味わいの肉塊をエレガントに引き立てている。

 そして、羊チーズのムースにルッコラのソルベを乗せた一皿が出され、デザート。大きな皿に並ぶ十一種類のデザート一つ一つが精緻で工夫が凝らされ、唸るは必至。

 ソムリエのサービスも実にスマート。日本で一切の修業経験がないという二十九歳の大槻卓伺シェフ、新鋭の登場である。
昼のコース六千五百円。昼夜共に要予約。

東京都港区西麻布1-11-10 ビルマーサ1階 
電話=03(6804)6468
営業時間=11時半~15時、18時半~23時半  
定休日=日曜日・月1回不定休
※表示価格は税別・サービス料10%別
軽井沢のフランス料理
フランス料理
無彩庵 池田
地元農家の野菜を軸にした
長野の食材への愛に満ちた料理

 西麻布より軽井沢に移転して一躍人気店となった「エルミタージュ・ドゥ・タムラ」の姉妹店としてスタートした「無彩庵」でシェフを八年務めた池田昌章氏が譲り受け、「無彩庵 池田」を独立開業した。

 池田シェフの作る料理は、地の食材への愛が溢れている。「山菜や川魚が好きで、軽井沢で働こうと思いました」と語るように、軽井沢や近隣の食材を使う。

 ある初夏の日の夜のコース(八千七百円)は以下の通り。

 アミューズは、エレガントな玉ねぎの甘みの中で微かにわさびが香り、舌を刺して食欲を刺激する「依田さんの玉ねぎと安曇野わさびのムース」。アクセントとしてのわさびの使い方が実に巧い。

 続いては「ワラビとアサリの出汁のジュレ寄せ カラスミ」。ほろ苦いワラビやアサリのうま味、サフラン風味のマヨネーズのコク、カラスミの塩気など、味の合わせが精妙で、見事に調和している。

 魚の前菜は、これもスペシャリテとなる「飯田・天竜鮎のパテ 鮎出汁と葛 キュウリとエストラゴンビネガー」。肝を練り込んだほろ苦い鮎のパテを、鮎の出汁で溶いた葛で包んでいる。半透明の葛皮から透けて見える茶色のパテが美しく、キュウリのソースにつければ溌剌たる香りが鼻に抜け、清流の中にいる気分になれる。

 肉の前菜は「伊那・宮田村仔猪のパテとブラックチェリー フォアグラと信州地鶏・紅しぐれのプレッセ ルバーブ 白バルサミコ バニラ」。練り肉のうま味に富んだ仔猪のパテと、香りの良いフォアグラに鶏胸肉を挟んでプレスした冷前菜である。白バルサミコを煮詰めてバニラを加えたソースが素晴らしい。

 次がスープ。「東御・工藤さんのキタアカリのポタージュ サマートリュフのグラスパウダー」は、シェフの才が発揮された料理である。ジャガイモ名人の手によるキタアカリを使ったスープは品が良く、丸い甘みが心を和ます。そこにコンソメで煮てから凍らして崩し、パウダー状にしたトリュフを添える。トリュフが溶け、ジャガイモの甘みにじっとりと色香が刺していく感覚がたまらない。

 続いての魚料理「野尻湖産天然ウナギ 依田さんの玉ねぎ 狼桃(トマト)のガスパチョ」も素晴らしい。二キロの天然ウナギを香ばしく焼き上げ、二日間寝かせてなじませ、微かに発酵の刺激が出たガスパチョソースを加えた皿である。ソースがウナギと綺麗になじんでいる。添えた玉ねぎのマリネが、ウナギの脂を一旦切る役目を果たしていて心憎い。

 肉料理は「伊那・宮田村のツキノワグマのアッシパルマンティエ 根曲がり竹 木の芽」である。フランスの国民食ともいえる牛肉とジャガイモのグラタンを、熊肉を使って作ったものである。下には赤ワイン風味のリゾットが敷かれ、熊肉の猛々しさと呼応させている。単純なようで計算が行き届いた皿であった。

 デザートは、生姜の刺激が絶妙に効いた「新生姜のブランマンジェ 黒糖エピスソース アップルマンゴーのソルベ」。そしてプティフールには、甘みの中から現れる塩味が余韻を作る「伊那・大鹿村の塩とショコラのサブレ」が出された。

 昼はプリフィクスで三千三百円から。夜は五千五百円から。地物と食材に敬意を払った料理を食べる喜びがここにはある。

長野県北佐久郡軽井沢町長倉1891-50
電話=0267(44)3930
営業時間=11時~13時半(LO)、17時~20時(LO)
定休日=火曜日(祝日の場合は営業)、冬期休業あり
※表示価格は税込、サービス料別
軽井沢のフランス料理
フランス料理
E.Bu.Ri.Ko
キノコと山野草
天然素材の見事な組み合わせ

 キノコ料理を中心としたフランス料理を供するレストラン。店名の「エブリコ」もキノコの名前。オーナーシェフは、キノコ使いの名人、恵比寿のフランス料理店「マッシュルーム」の山岡昌治シェフに師事した内堀篤氏である。

 ある日のコース(七千八百円)は以下の通り。

 アミューズは「ウルイで巻いて焼いたアナゴ イタドリのピュレ 山葡萄の新芽添え」。苦味、甘み、食感の違いなどが次々と口の中に現れて、食欲を刺激する。

 前菜は「根曲り竹の皮で燻製にした鶏胸肉 山菜のシオデとタチシオデ添え」。砂肝にはコシアブラとそのソース。二種類のシオデの香りや食感の違い、抹茶に似た香りを放つコシアブラソースなど、都会にいては感じられない山々の恵みが身体を浄化してくれる。

 続いてがスペシャリテのキノコ料理である「各種天然キノコのソテー」。なぜかニンニクの香りがするタモギタケ、セップタケのような香りと味がするマッシュルームのポルトヴェーラ、その歯ごたえとうま味に驚くエノキタケ、淡い味わいながら香り高いハタケシメジや舞茸など。いかにそれぞれの茸が持つ香りや食感を活かすかを考え抜いた、特殊な炒め方をしているのだという。添えられた、キュウリの香りがするイワガラミの葉も素敵。

 そしてこれもスペシャリテの一つである「アカヤマドリのスープ」。一口飲んだ瞬間唸って動けなくなるほどうま味が底深い。アカヤマドリという茸を一年冷凍して作ったというスープは「夏に飲むと濃すぎてしまうんです」とシェフが語るほど、めくるめくうま味があって圧倒する。他に例がないほどの滋養なのだろう。

 魚料理は「黒鯛のポワレ タマゴタケのソースと山菜のソース」。もったりとしたうま味を持つソースと山菜の香りが黒鯛と調和する逸品。

 肉料理は「豚のロティとソテー」である。豚肉は、よく動き回った証に肉がきめこまやかで、しっかりとした脂が甘く香る。その滋味を、山菜のミヤマイラクサ、山ウド、トガリアミガサタケなどが盛り上げる。

 最後は「杏子のピュレ デンマークの薬草酒と杏子のブランマンジェ トンカ豆のムース 蜂蜜のジュレ 白樺樹液の泡 オレンジとイチゴのソルベ チュイル 野草の花の砂糖がけ」と、これまた野の香りに満ちた素敵なデザートである。

 昼は二千四百円。夜は五千四百円から。こうした料理を木々に囲まれながら食べられるのは、軽井沢ならではの贅沢である。

長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1157-6 
電話=0267(42)3033
営業時間=11時半~13時半(LO)、17時半~19時半(LO)  
定休日=水曜日
※表示価格は税・サービス料別
札幌の美味(3)
フランス料理
ラ・サンテ
ホワイトアスパラガスと羊肉
シェフのスペシャリテを堪能

 住宅街の一軒家で営まれる、フランス料理店。温かい雰囲気が漂う店内は、実に心地よい。

 当店のスペシャリテでもある、ホワイトアスパラガスと仔羊の料理を味わうには、六月がいい。ある六月初めのコースは以下の通り。

 アミューズは、白い小さなグラスに、蕪の白いムースと、土に見立てた黒千石大豆(くろせんごくだいず)と十勝マッシュルームの粉が敷き詰められ、そこからホワイトアスパラガスの穂先が顔を出している。ホワイトアスパラガスを土の中から掘り出す姿をイメージした料理で、これから続く料理への期待を高める。

 二つ目のアミューズは、安平(あびら)町の八木響子さんが作ったというホワイトアスパラガスのスープ。ほのかな甘みだけでなく、ミネラルの豊かさを感じる苦味も滲んで美味しい。

 続いての「時鮭(ときしらず)のスモーク」は、分厚い切り身のまま燻製にされており、脂が全体にしっとりと回った、きめ細やかな身が、舌の上ではらりと崩れていく。

 そして、スペシャリテ「北海道産ホワイトアスパラガスの塩竈焼き」の登場である。

 クマザサと塩で包まれ、二百三十度で蒸し焼きにされたホワイトアスパラガスは、命の気配をたっぷりと残していた。「生きているよ」。噛み締める度に、アスパラが囁く。シャクシャクと穂先を噛めば、ほのかに甘い香りが漂って、温かい気分となる。コリッコリッと根元を噛めば、大地のほろ苦い養分が口いっぱいに満たされて「ありがとう」と思わず呟くのである。そんな穂先から根元までの、それぞれの味や食感の違いが明確にわかる料理なのだ。

「フランスやドイツのホワイトアスパラガスは、バターで炒めるなど強い調理が向いている。でも、八木さんが作るホワイトアスパラガスは、この調理法が一番です」。髙橋毅シェフはそう言って、優しい目になった。

 シャクシャク、コリッコリッと、命が弾け飛び、我々が生かされている喜びがせり上がる、素晴らしい一皿を是非食べに行かれたい。

 アスパラガスのあとは、これも名物である、特製の炉で焼かれた肉類となる。

 最初は、白樺の木で焼かれた仔羊のスペアリブと背肉にもも肉。続いて桜の木で焼かれた五歳のマトンの肉。最後は豚肉のカツである。

 仔羊は、柔らかな味わいの中に鉄分の猛々しさを感じるもも肉も素晴らしいが、スペアリブの骨ぎわ、コラーゲンの甘みが、なんともたまらない。いけないものを食べてしまったような、幼くも優しい滋味が滲み出る。

 グリーンアスパラガスや紫芋とともに焼かれた、タイムの香り漂うマトンは、まさしく「肉を食らっている」という感動が体を貫く、肉々しい味がある。

 豚肉も身質がきめ細かく、特に脂の部分が締まって、歯が食い込んで甘く溶けていく感触に、うっとりとなるは必至。

 デセールは「グリーンアスパラガスのソルベ」。アスパラガスのアスパラガスたる香りが広がる中で、優しい甘みが溶けていく。続いての「塩プリンとイチゴ、練乳のアイス」には、ほのぼのとした美味しさがあり、まさに髙橋シェフの誠実な仕事が現れている。

北海道札幌市中央区北三条西27丁目2-16
電話=011(612)9003
営業時間=12時~15時(13時半LO)、18時~22時半(21時LO)  
定休日=水曜日、第2・第3木曜日
※要予約。ランチは土曜・日曜・祝日のみの営業
札幌の美味
フランス料理
ル・ミュゼ
シェフズキッチン特別室で
優雅な時間を過ごす

 円山公園の外れに建つレストラン。店名のとおり、店内には多くの絵画が飾られている。

 ディナーは、一万六千二百円のコースと、二階にあるシェフズキッチン特別室「idea(イデア)」(完全予約制)でいただく二万千六百円の二コース。一階のダイニングでいただくのもいいが、四人以上を集めてぜひ「イデア」でいただくことをお勧めしたい。二階ながら、設えられた坪庭を望みながら、目前で調理してくれる石井誠シェフのフランス料理をいただける。優雅な時間を過ごすことができよう。

 特別な十五皿コース、ある日はフグづくしが供された。

 まずはアミューズで、百合根のムースと塩、白トリュフオイルの取り合わせ。氷を割って食べる仕掛けのアワビの水貝。食感がエレガントな厚岸の牡蠣に、牡蠣のコンソメ、「竹鶴」の泡、昆布のムースを添えた一皿。半生の加熱が色っぽいホタテに、柚子とふきのとう味噌の泡を添えて。

 そして、フグづくし。

 まず増毛(ましけ)の地酒「純米吟醸國稀(こくまれ)」に炎をつけ、そこに七輪で炙ったばかりのフグひれを沈め、トリュフを削り落とす。半分ほど飲んだら鮭節とフグのコンソメを注いで混ぜ、さらにトリュフをかける。黄金色のうま味が舌を通り過ぎる中、トリュフの香りが鼻孔にへばりつき、陶然となるは必至。

 「てっさ」は、キャビアの塩気とトマトジュレの酸味とうま味と合わせ、フグの煮こごり、フロマージュ・ド・テット風には、酸味を利かせたラヴィゴットソースを添える。とうとうみには、ハーブヴィネガーを注いでいただく。

 お次は「白子のフリット」。白子を焦がしバターと合わせ、皿に盛ったら、またトリュフをふらせる。白子がフワンと溶けゆく中に濃密な精の甘みがあって、鼻息を荒くさせる。

 今度はフグのロティに、先ほどのフグのコンソメをさらに煮詰めたものがかけられる。このコンソメが素晴らしい。フグのうま味だけを極めているのだが、いやらしさが微塵もない。ピュアなうま味がフグを包んで、昇天させるのである。

 フォアグラのフランとごぼうのスープ、白子の取り合わせと続いて、活オマールのウイスキーフランべ、パクチーとオマールスープ添えで締めくくられる。

 そして、レモンのクリーム、レモンのソルベにオリーブオイルヌーボーをスポイトでかけていただくデセールで終宴。

 ランチは三千七百八十円、五千四百円、一万八百円の三種。

北海道札幌市中央区宮の森一条14-3-20 
電話=011(640)6955
営業時間=12時~14時半(13時LO)、18時~22時(20時LO)  
定休日=月曜日
※上記価格に消費税8%・サービス料10%別途
今年話題の新店
フランス料理
Nabeno-Ism 
日仏の食文化を融合
両国への敬意に満ちた料理

 恵比寿「ジョエル・ロブション」のエグゼクティブシェフを長く務めた渡辺雄一郎氏が、七月に駒形に開店したフランス料理店。隅田川沿いに立つ四階建てのビル全てが店で、一階が厨房、二~三階が客席。四階は展望台になっており、広い空の下、昼は水上バスが川を下っていくのを望め、夜はスカイツリーを含む夜景が輝く。

 アミューズに並ぶのは、雷おこし、最中、オリーブ、ガスパチョ。ノルマンディーバターと合わせた雷おこしも、バジルクリームを載せた最中も、油脂のコクを巧みに合わせることでフランス料理に昇華させている。そして、オリーブやガスパチョには、修業先の南仏の香りが満ちている。

 次の「そばがき」は、両国の名店「江戸蕎麦 ほそ川」で毎朝粉を受け取り、ベシャメルソースの要領で作り、昆布出汁のジュレを張り、キャビアと山葵、ウオッカ風味のクリームを載せる。そばの香り豊かで、それを昆布出汁の旨味が持ち上げ、キャビアの塩気が引き締め、滑らかさと相まって優美な気分を運ぶ。また、三皿目の鮎料理も、トロワグロのツグミのムースに敬意を払ったという、鮎肝のソースが素晴らしい。

 海老料理は、ポレンタ粉でフリットにし、トウモロコシの甘みと共鳴させている。続くフォアグラ料理は、脂の香りの良さを際立たせて、舌の上で優雅に消えていく。

 仔羊は、玉葱コンフィとラベンダーの花を網脂で包み込み、じっくりとロティされている。食べる時に最善の状態になるよう精妙に加熱された羊の味わいが優しい。

 抹茶と果物が調和したデセールと、南千住の名店「バッハ」のコーヒーで終幕。こうして江戸下町の食文化で始まったコースは、フランス料理から再び江戸下町に戻って着地する。「駒形で、江戸とフランスの食文化を融合した料理を提供したい」という、渡辺シェフの日仏両国への敬意に満ちた、どこにもない料理である。

 昼夜ともコースのみで、昼は、七皿構成で一万円。夜は九皿構成で二万円。

東京都台東区駒形2-1-17 
電話=03(5246)4056
営業時間=12時~13時半(LO)、18時~21時(LO) 
※日曜日はランチ営業のみ 
定休日=月曜日・第4火曜日(変動あり) 
話題の新店 フランス料理編
フランス料理
L’orgueil(オルグイユ)
シャンパンと相性の良い
旬の厳選素材を生かした料理

 今年二月に開店。青山の裏通りのビルの二階、看板も表札もなき黒い鉄扉を開けると、そこが店である。カウンター二席と二名テーブルが五つという小体な店を、シェフとサービス二人で切り盛りされている。

 加瀬史也オーナーシェフは三十歳。恵比寿「レストラン ヒロミチ」、フランスの「レ・クレイエール」、北品川「カンテサンス」などを経て独立。ディナーは一万五百円(税別)のコースのみ。ペアリングは、シャンパーニュ地方の店にいた時にその魅力に目覚めたというシャンパンで合わせる。

 六月のある日のコースのアミューズは、「そば粉のタルトフランベ」。アルザス郷土料理で、薄い円形のパン生地の上に、ウチワエビ、枝豆、キャラメリゼした玉葱、オマールの卵がのせられている。

 二皿目は「ウフ・ブイエ」。スクランブルエッグにウニをのせ、周囲には牛乳で伸ばした蛤のエキスを流し、アーモンドとアネット(ディル)が散らしてある。丁寧に加熱されたスクランブルエッグの滑らかさとウニの食感が共鳴し合ってうっとりとさせ、それらを、牛乳で薄めた蛤のうま味が静かに持ち上げる。アーモンドとアネットの香りのアクセントも見事。

 三皿目は「佐島のタコ」。生のタコ、フリットした吸盤、グリルしたタコを盛り合わせ、そこにローストした胡瓜とトマトを添えてある。加熱方法によるタコの風味の違いと、力強い野菜の組み合わせが素晴らしい。

 四皿目は「穴子」。ローストした賀茂茄子と生の賀茂茄子に、白焼きの穴子、乾燥させた榛原牛の内腿肉の極薄切りをのせ、フォン・ド・ヴォーとカリンビネガーのソースを添えた料理。穴子と肉を一緒に食べれば、凝縮した肉の滋味がタレの役目を果たして穴子を持ち上げる。見事な発想である。カリンの酸味を生かしたソースもいい。

 五皿目は、ウロコごと皮をパリッと焼き、身をしっとりと加熱した「金目鯛」の料理。噛めば、身にはしなやかさがあり、一方の皮はサクサクと痛快に砕ける。そこに、カラマンシー(柑橘類)ビネガーと金目鯛のジュのソースが溶け合い、エキゾチックな酸味が金目鯛の脂気を引き締めながら甘美さを演出し、陶然とさせる。添えられた茹でたてのインゲンの青い香りとみずみずしい歯応えが、さらに盛り立てる。すべてに意味がある一皿である。

 六皿目は「ブレス産鳩のコンポジション」。ロティした胸肉、網焼きした腿肉、串焼きしたレバーと心臓、肝とブレゼにしたささみ、フリットにした手羽先に、肝をミンチにして赤ワインと合わせたソースを流し、大和真菜とジャガ芋のロティを添えた料理。各部位の肉質を生かした見事な火入れ、調理法が光る。

 デザート一皿目は、パートシュクレの上にパインソルベと凍らせたパインをのせ、サワークリームパウダー、レモングラス、塩をかけた一品。二皿目は、レモンクリームを詰めたフォンダンフロマージュと、ラムとカルダモンのアイスクリーム。フレンチのエスプリが効いたデザートである。

東京都港区南青山4-3-23 オリエンタル南青山201 
電話=03(6804)5942
営業時間=12時~13時(LO)、18時~19時半(LO) 
定休日=不定休 
話題の新店 フランス料理編
フランス料理
Sincere(シンシア)
フレンチをベースに変幻自在
驚きとユーモア溢れる料理

 超人気店だった渋谷「レストラン バカール」(昨年閉店)でシェフを務めていた石井真介氏が、オーナーシェフとして今年四月に開いた店。早くも人気で、連夜満席。

 店は、マンションの地下にあるが、屋外のテラス席を持った開放的なロケーションで、緑と茶を基調にした室内は、温かさと落ち着きがある空間となっている。

 フレンチをベースにしながら変幻自在、その日のテーマを基軸に、驚きやユーモアを交えた料理で我々の胸をときめかす。ある日は、「繋ぎ」をテーマにした九皿のコース九千六百円(税・サ別)だった。

 一皿目は「牡蠣のムニエル」。牡蠣は、ベルモットバターソースや柚子パウダー、紫蘇の葉など、爽やかな香りに包まれて、食欲を刺激し、続く料理への期待を高める。

 続いて運ばれるのは「ストウブ鍋」。中にはヒートパックを下に忍ばせた石、海藻、生の車エビが置かれ、水を入れると加熱して蒸される仕掛け。卓上で調理が完成する。

 その間にミニトマトが一つ。極薄の飴でコーティングされ、マルドンの塩、ミニョネット、ローズマリーがつけられている。

 三皿目は、カクテルに入った前菜。下からラタトゥイユ、カリフラワームース、コンソメゼリー、ツブ貝、蛤、塩水ウニ、蛤ジュースを泡状にしたものが重ねられている。ウニや野菜の甘み、コンソメや蛤のうま味、ツブ貝の食感などが巧みにバランスよく配され、心を軽やかにする。

 そして、先ほどの鍋を開ければ湯気が立ち、海草の香りをまとった熱々のエビが優しく甘い。

 傍らの木皿には、塩締めして軽く炙った和歌山の金目鯛。

 続いては、氷を詰めたガラスの器に、オイスターリーフ、オクラ、イタリア人参、小蕪、ミニラディッシュなど多彩な野菜が植えられている。これをズワイ蟹の味噌風味のバーニャカウダにつけて食べるという趣向で、「バカール」でも人気を得た料理。

 次に運ばれたのは、可愛い鯛焼き。パプリカを効かせた車エビのアメリケーヌソースに置かれた鯛焼きを切れば、中から先ほどの金目鯛の身が現れる。実に楽しい。

 七皿目の白いムースは、トマトのエキスを凍らせたもの。胡椒の飴、ローズマリーパウダーからなるもので、先ほどのトマトを別の調理法で表現したものである。

 八皿目は肉料理。「今帰仁(なきじん)アグー豚のロースト キノコソース」。濃縮したモリーユ茸の香りと滋味が深く、噛みしめる喜びがあるアグー豚との出会いが素晴らしい。

 デセールの一皿目は「よもぎ日向夏」。日向夏のマーマレードやフレッシュを添えた日本酒のサバイヨンと、よもぎのアイスの皿。二皿目は、チョコレート、胡椒のガナッシュと生姜のアイスで、森で薔薇が咲く様子を表現したという一品。

 トマトや金目鯛のように、同じ食材を別の調理法で表現したり、それぞれの皿の流れに味の繋がりや食材の繋がりをつけた、テーマに沿った料理構成が面白い。サービスも快適で、心地よい時間を過ごせる。

東京都渋谷区千駄ヶ谷3-7-13 原宿東急アパートメント地下1階 
電話=03(6804)2006
営業時間=18時~21時(LO)  
定休日=日曜日、第1・第3月曜日
話題の新店・肉料理編
フランス料理
Le Severo
パリで美食家達を唸らせてきた
熟成牛肉専門ビストロ

 パリで創業三十年の有名熟成牛肉専門ビストロの日本店が、今年四月にオープン。

 肉料理の中で一番の魅力はやはり、約一・二キロの塊のままじっくりと焼く、パリ本店のスペシャリテ「骨付きリブロース」二万二千円(二名分)。ある日は十勝産黒毛和種の経産牛、ある日は完全放牧野生牛と、多彩。信頼の高い肉屋が仕入れ熟成した肉を、店内で熟成仕上げし、その日最も程よい状態の肉を、柳瀬充シェフが、パリで培った熟練の技術で焼き上げ、提供する。

 噛めば、肉の濃いエキスと柔らかな甘みが舌に広がり、香りが膨らんで、喉に落ちていく。そこには「肉を食らっているぞ!」と、叫び出したくなるような興奮がある。

 添えられたフライドポテトは、雪室熟成越冬じゃがいも「北海こがね」を、グレープシードオイルと牛脂を混ぜた油で揚げたもので、これまた熟れた甘みがじっとりと広がって、幸せな気分となる。

 また、粗挽き熟成牛を円形にまとめてレアに焼き上げた、いわゆるハンバーグ状の料理「ステークアッシェ」三千五百円も、熟成肉の魅力を十二分に閉じ込めて登場する。ある日のそれは、六週間寝かせたランプ肉で、表裏をサッと焼き、しっかり色をつけて休ませ、肉の味がわかるように優しく火を入れたという。そのこげ茶色に焼かれた肉の表面にナイフを入れて切れば、一面ロゼ色の肉が現れ、甘い香りが立ち上る。齧り付けば、ランプ肉特有の旨味が舌に広がり、香りがさらに膨らんでいく。

 そのほか、「フランス産ブランド牛バザス 熟成牛ランプ」四千九百円、前菜では「〝クリスチャン・パラ〟のブーダンノワール」二千百円がおすすめ。

 ランチプレートは、四種ほど用意される肉料理から一品選び、パン・サラダ・フライドポテト・飲み物が付いて二千五百円。

東京都港区西麻布4-2-15 水野ビル1・2階 
電話=03(6427)1384
営業時間=12時~14時(LO)、18時~22時(LO) 
定休日=日曜日・祝日
ファインダイニング
フランス料理
Quintessence
日本の四季を感じさせる
個性豊かな料理

 開店二年目の二〇〇七年以来『ミシュランガイド東京』で三ツ星を獲得し続け、世界中からお客さんがやってくる名店。岸田周三シェフの類い稀なるキュイソン(加熱)の技と、日本の四季を感じさせる個性豊かな料理で魅了し続ける。

 まずは突き出し「牛テールのスープ」から。ミノを刻んだ茶色のテールスープの上に、フキノトウの泡化させた白いスープがのる。テールから滲み出た滋味に富むコラーゲンの甘みを、フキノトウのほろ苦みと香りが引き締める。雪の下でひっそりと生きている春。そんな、これから来る春への想いをつのらせるスープである。

 二皿目は「山羊のチーズのババロワ」。京都の酪農家による山羊チーズのババロワに、塩とオリーブ油をかけた白一色の皿。開店以来毎日出し続けられている定番の前菜だが、季節によって、チーズの風味が違うため、オリーブ油の配合を変えているという。

 三皿目はフォアグラの料理。イギリスの青カビチーズ「スティルトン」のスフレの中にフォアグラを入れたもので、スフレとフォアグラのベストな加熱状態がピタリと合わされている。上には刻んだ金柑と薄くスライスした生のカリフラワー、少量のオリーブ油がかけられる。うっとりとさせるフォアグラの脂の香り、チーズの塩気、金柑の甘酸っぱさ、カリフラワーの食感が美しい均整美を見せる。すべてが丸く、舌の上でダンスを舞う、優美な前菜である。

 魚料理は、切り身ながら堂々たる体躯の「徳島の鰆」。岸田シェフの真骨頂、キュイソンの極みであるその鰆は、中心が半生で仕上げられている。加熱された皮と身の穏やかな甘み、しっとりとした食感で崩れゆく半生部分の色気、両者が口の中で混ざり合って陶然となる傑作である。

 肉料理は「イノシシのシヴェ」。シヴェとは、赤ワインで煮込み血でつないだ料理だが、その料理が本来持つ重厚さが、いい意味で微塵もない。雑味が一切なく、ソースと肉の境界線がなく、猪そのものをいただいているような純な味わいがある。

 デセールの一皿目は「栗のお菓子」。一℃で氷温熟成させた栗のフランに、煮出した渋皮のムースが、てろんとしなだれる。微かに入れられたカスタードが、栗の甘みを静かに下支えしている。栗そのものの実直なうま味が朴訥と語りかけてくる、計算は精緻だが、どこまでも自然に近づこうという意思に満ちたデセールである。
二皿目は、「パンペルデュ」。ブリオッシュとカラメルソース、スイスの香り豊かなチーズ「アッペンツェラー」を合わせた料理である。パンの風味、チーズの塩気と酸味、ソースの甘苦みが見事に溶け合う一皿。

 お昼のコースは九千五百円(税・サ別)。この素晴らしい昼餐に、ゆっくり時間を取って出かけられてはいかがだろうか。

東京都品川区北品川6-7-29 ガーデンシティ品川 御殿山一階 
電話=03(6277)0090(予約専用)
営業時間=12時~15時(13時L.O.)、18時半~23時(20時L.O.)
定休日=日曜日を中心に月6回・年末年始・夏期休暇
ファインダイニング
フランス料理
NARISAWA
自然の恵みへの
大いなる敬意に満ちた料理

 日本の食材を駆使しながら、フランス料理や日本料理という垣根を越えて、自然の恵みへの大いなる敬意に満ちた料理がここにはある。食べるほどに成澤由浩シェフが思い抱く食材への感謝が募る料理でもある。

 お昼のコースは二万円(税・サ別)。スタートは、木の小さな筒切が置かれた板に雪景色が描かれ、小さな雪だるまも置かれている。まずは筒に入った水を飲む。木の澄んだ香りが体を突き抜け、多くの命を育む森へ歩んだような感覚になり、都会の日常から突き放される。雪は自家製のおからを粉にしたもので、雪だるまは蕪、むかごも散らされている。それぞれの食感、淡い味わいに味覚が浄化され、素敵な食事が始まる。

 三品が盛られた前菜。きれいな滋味が広がる兵庫三田産の長期飼育のイチボと天橋立の無農薬米を合わせた料理。高知産フルーツトマトの甘みと宮崎産キャビアの塩気が味を盛り立てる伊勢海老。そして深々とした滋養の味わいに唸るイラブースープは田芋と冬瓜入りである。

 三皿目は、明石活け越し鯛と能登ボタン海老の昆布締に、柚子胡椒と一番出汁を添えたセビーチェ。柚子胡椒が出過ぎておらず、その香りと出汁の静かなうま味、潜んだ酸味が鯛の甘みを引き立てる。

 四皿目は、小長井の蒸しガキとトマトと出汁のソース。トマトの柔らかな酸味が、海の豊穣と抱き合う。

 五皿目は、駿河湾産の手長海老に、ゴボウを使った白い泡状のソースがふわりとかけられている。ゴボウのほのかな甘みと土の香りが見事で、手長海老の甘みを優しく膨らまして、幸せな気分にさせる。

 六皿目は「フグ白子とズワイガニ、蓮根もちの出汁あんかけ」。蓮根饅頭の温かいうま味に、濃厚な白子の味わい、ズワイガニの甘みと香りが重なり合って、陶然となる逸品である。

 七皿目は「豚と鶏を六時間蒸したスープと柔らかく火を入れた鮑」。なにより豚と鶏のスープが素晴らしい。奥深い美しいうま味があって、その中で鮑が喜んで浸かっている。鮑を噛みスープを飲めば、山と海の滋味が舌の上で馴染み、体の底へと落ちていく。

 八皿目は、黒文字に刺した焼きフグの木の芽添え。香ばしい黒文字の香りをほんのりと宿したフグは、焼かれて凛々しく、自ら持つ強さを口の中に溢れさせる。

 九皿目は、焼きスッポン。香ばしい焼き焦げがついたスッポンに齧りつけば、そのたくましい味に目を見開き、勇壮な味わいに心打たれる。

 十皿目の肉料理は、牛肉、豚肉、合鴨、仔鳩の中から選ぶ。この日選んだ牛肉は、炭化させた下仁田葱を周りに貼付けたロティ。一面ロゼの見事な焼き上がりで、噛むごとに舌の上に肉汁が広がり、肉を食らっている喜びが湧き上がる。

 その後は、二皿のデザートとワゴンデザートと続く。

 料理にペアリングされるのは、ほとんどが厳選吟味された日本酒で、その相性の良さに驚くは必至。

 テーブルに置かれた石釜で焼き上がるパンも含め、他の命を絶って我々が生かされていることを再認識し、命とこの国への感謝が湧き上がる、素晴らしき十三皿である。

東京都港区南青山2-6-15 
電話=03(5785)0799
営業時間=12時~15時(13時L.O.)、18時半~20時(L.O.)
定休日=日曜日・月曜日
二〇一五年話題のフレンチ
フランス料理
Pirouette(ピルエット)
フランスMOF受賞シェフ監修
ビストロ×カフェ×エピスリー

 フランスのMOF(国家最優秀職人)受賞シェフ、エリック・トロション氏をアドバイザリーシェフに迎えた複合レストラン。中央の厨房を囲むように席が配置されており、奥がビストロ、手前がカフェ、入口がエピスリー(食料品店)になっている。

 シェフは国内やフランスのレストランで修業した小林直矢氏。日本全国から届く食材を調理するため、コースの料理は日替わりで、直前に決まる場合もあるという。

 ある日の「シェフのおまかせ」八千円(税・サ別)のコースメニューをご紹介。

 前菜が「ビーツのスープ」。真っ赤な冷たいスープに、リンゴの細切りやナッツなどを散らした皿で、ビーツの風味が活きるよう調えられた味のバランスがいい。

 続いての料理は「オマールエビの冷たいポトフ」。オマールのフォンと野菜の出汁が自然に溶け合った、淡く優しい旨味を持った冷たいスープに、生温かく火が通されたオマールエビを絡めて食べる。添えたフェンネルや野菜類、ライムとの調和も楽しい。

 続いて、丸茄子にブリー・ド・モーをのせて焼いた皿。茄子の甘みをチーズの香りとコクが追いかける。生姜をスエして作ったというトマトソースには、クミンが利かせてあり、茄子にとても合う。

 続いて「ヒラスズキのロティ」。旨味を引き出した焼き魚に、チョリソーソース、ウイキョウ、オクラ、ほんのり甘い新玉葱のパウダーが添えられる。

 肉料理は「仔羊のロティと煮込んだ仔羊」。ローストと煮込み、二つの加熱法による仔羊の味わいを楽しむ。付け合わせは、なめらかで穏やかな甘さを持つアンデスレッド(赤皮イモ)とヤングコーン。

 そしてデザートは「羊乳のブランマンジェとアイスクリーム、塩とオリーブオイル」。
店は活気に富んでおり、サービスもフレンドリーで、快適な空間である。お二人で行かれるなら、ぜひライブ感のある厨房と向き合ったカウンターをおすすめする。

東京都港区虎ノ門1-23-3 虎ノ門ヒルズガーデンハウス1階 
電話=03(6206)6927
営業時間=11時半~14時半(L.O.)、18時~21時半(L.O.)(土・日・祝 17時半~21時L.O.)
無休(臨時休業・年末年始休みなどあり) 
※カフェ・エピスリーの営業時間は異なります。
二〇一五年話題のフレンチ
フランス料理
Abysse(アビス)
深海をイメージした空間で
魚料理を中心としたフレンチを

「他にはない個性を大切にしています」という目黒浩太郎シェフは、若干三十歳。南仏で修業した経験から魚料理を中心としたこの店を考案したという。店名の「Abysse」は、「深海」「奥深きもの」という意味で、その名の通り、深海をイメージしたクールな空間で料理を頂くことができる。

 ある日の「おまかせコース」九千円(税・サ別)のアミューズは、たこ焼きに見立てたような「オマールエビの焼きビスク」。続いて、ライチの甘い香りとエビの香りがエレガントに共鳴する「ボタンエビ、ライチ、蕪のタルタル」。

 鯛の出汁で低温で蒸したという、しっとりとして滋味をにじませる「メヌケのヴァプール」は、鶏のフォンを使ったソースに持ち上げられて、旨味を膨らます。
四皿目は、茶色同士の滋味がなじんで抱き合う「鶏レバーとフォアグラのラグー、穴子とズッキーニのパスタ」。

 そして、シェフのスペシャリテである「スープ・ド・ポワソン」。海の豊穣が濃縮されていて、充足のため息をつかせる味わい。ほのかに香るオレンジの香りがいい。

 メインは「イサキ、マナガツオ、金目のポワレ シトロンコンフィと白醤油のソース」。極めて質の高い三種の魚それぞれの持ち味を活かすよう精妙に火が通されている。

 この後、チーズ、デザート二皿、プティフールと続く。ホワイトチョコレートを真珠に見立て、アコヤ貝型の皿にのせたプレゼンテーションなど、〝海〟をイメージした演出が楽しい。

東京都港区南青山4-9-9 AOYAMA TMI1階 
電話=03(6804)3846
営業時間=12時~13時半(L.O.)、18時半~20時半(L.O.)
定休日=水曜日を基本に月6回程
二〇一五年話題のフレンチ
フランス料理
Lien(リアン)
多彩な皿から選べる
楽しいプリフィクススタイル

 池尻の住宅街に今年開店した、フレンチレストラン。店はカジュアルな雰囲気で、常においしい賑わいに満ちている。奥が厨房に向き合うカウンター席、手前がテーブル席で、計十八席。上原浩一シェフは、青森県生まれの三十四歳。西荻窪「サン・ル・スー」、パリ「エレーヌ・ダローズ」などで修業した経験を持つ。

 料理はプリフィクススタイル中心。アミューズ+前菜+魚料理か肉料理+デザートで三千九百円、これに前菜か魚料理一品がプラスされて四千二百円。または、アミューズ二品+前菜二品+魚料理と肉料理で四千七百円(いずれも税別)。アラカルトも選べ、前菜十七品 肉料理十二品、デザート十二品と種類が多く、楽しい。

 生ハムムースのダックワーズ生地のサンド、野菜のテリーヌなど、ユーモアのあるアミューズが出された後に、前菜。

 例えば「青森県陸奥湾直送真イカ イベリコチョリソー ドライトマトのアクセント」は、イカの甘みにチョリソーの辛みと香りが加わって実に楽しい。また「香川県高松漁港直送鱧の炙り 茸パセリバターソース」は、鱧の質がすこぶる良く、その甘みにパセリバターソースのコクが合う。

 ある日の魚料理は「鯛のカダイフ焼き」。カダイフは焦げ目がつくまで焼いてあり、フライのように香ばしい。中に挟んであるジャガイモも、鯛の甘みとなじんでいる。
肉料理も堂々たるもの。「丹波産小鹿のロースト」は、夏鹿ならではの繊細な滋味が出て、噛みしめる楽しさがある。

 デザートの一つ「白桃のタルト」も、しっかりと焼きこまれ、生地の香ばしさの中で白桃の優しい甘みが浮き出ている。

 近所にこういう店があったら、と思わせる魅力的な店である。

東京都世田谷区池尻3-5-22 グレースマンション1階 
電話=03(6413)8552
営業時間=12時~14時(L.O.)、18時~22時(L.O.)
定休日=月曜日(ランチは金・土・日・祝のみ)
二〇一五年開店の話題の店
フランス料理
Restaurant Celaravird(セララバアド)
日本の食材と海外で学んだ
技術を合わせ、新しい日本を表現

 渋谷区上原の閑静な住宅街に佇むレストラン。エントランス、店内から望む中庭など緑多き店。オープンキッチンの店内は、シェフズカウンター二席とテーブル十二席。一月にオープンしたが、シェフの経歴と、飲食店では珍しくクラウドファンディングで開店資金を集めるなど話題も重なり、すでに半年先まで満席という盛況ぶりである。

 橋本宏一シェフは、スペインの「エルブリ」や「マルティン・ベラサテギ」などで修業し、帰国後は「レストランサンパウ東京」を経て、マンダリンオリエンタル東京の「タパス モラキューラバー」の料理長を務め、開店前は『サンペルグリノ世界のベストレストラン100』で一位となったデンマークの「ノーマ」で修業した。

 こうした経歴を見ると、最新分子料理を想像するかもしれないが、盛りつけにはそれらのエッセンスはあるものの、料理自体はそうではない。既存の料理を中心に、日本の食材を使って洗練された料理へと昇華している。

 コースは、六千八百円(税・テーブルチャージ料別)の十~十二皿構成。オープンにあたり全国の生産者を回って集めた食材を使い、季節ごと年四回コース内容が替わる。
春のコースでは、まずクッキーの缶が置かれる。蓋を開ければ「昆布のタルトとホタルイカ」。ドライトマトのうま味とフヌイユ(ウイキョウ)の香りを加えた、潮の香り満載のホタルイカを楽しむ料理である。
 次が「ストーンポテト」。石板の上には石が積み上げられているが、その一つが石に見せかけたジャガイモ。炭の粉で皮を作り焼き上げたもので、パセリバターをつけて食べればホクホクと甘く、笑顔がこぼれる。

「春の高原」と題した皿では、円筒になったガラス皿の中に花が飾られ、中央には長野産のフロマージュブランとローズウォーターとクランベリー、蜂蜜で作った泡状のソースが置かれる。まさに高原の澄んだ空気を吸い込むような一皿である。

「春の大地Ⅰ」は、丸太の皿の上に土に見立てた黒オリーブとパンの粉が敷かれ、野菜と山菜の天ぷらが芽生えるように立てられる。アボカドと蕗味噌を合わせたソースの塩梅が実にいい。

「スモークエッグ」は、密閉瓶に桜チップの燻煙と温泉卵を入れた料理。クルトンのスプーンが面白い。

「オオミゾ貝 ウド 海藻」。ウドと青海苔のリゾットに貝が載せられるが、なにより蕗の香りと食感がよく引き出されていて、季節に食べる喜びを与えてくれる。その後、丁寧な仕事が光り、しみじみとしたおいしさがあるビスク「才巻海老 菜の花」、真空調理した「短角牛 そら豆 筍」と続く。

 デセールは、牛蒡のガトーショコラと生姜のクランチとアイスクリームが石板に置かれた「春の大地Ⅱ」。そして、フランボワーズと山椒のギモーブ、パチパチと口の中で弾ける、オレンジとショコラ、オリーブオイルグミ、よもぎマカロンが載せられた、ミニャルディーズでコースは終了する。

 ワインはペアリングで、グラスでお願いするのがいいだろう。

東京都渋谷区上原2-8-11 TWIZA上原1階 
電話=03(3465)8471
営業時間=19時コーススタート~22時半
定休日=月曜日を基本に月6回 
※完全予約制
二〇一五年開店の話題の店
フランス料理
SUGALABO(スガラボ)
質の高い日本の食材の息吹が
生き生きと伝わる健やかな料理

 六月に開店した「SUGALABO」は、須賀洋介シェフの実験室という意味合である。

 一九七六年生まれの須賀シェフは、二十代前半でジョエル・ロブション氏と出会い、その才が認められて、六本木ヒルズ「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」開店時のエグゼクティブシェフを務める。その後、ラスベガス、NY、台北での新店立ち上げの責任者を任され、最後はパリ本店総料理長となる。そして去年ロブション氏のもとを離れ、今年この店をオープンした。

 “ラボ”と名乗るだけあって、壁にパイプをめぐらせ、計器など配置したインテリアは刺激的である。完全なるオープンキッチンで、八席のカウンター席はシェフズテーブルとして、須賀シェフが目前ですべての調理をする様子が見て取れる(六~八人用テーブル席と個室もあり)。

 若くして世界トップレベルの店を仕切ってきた須賀シェフの料理は、食材の声に耳を傾け、素直に伸び伸びと持ち味を引き出した、実に健やかな料理である。日本全国の優れた食材を探して紹介することを目的としており、今後は毎月数県ずつに絞り、その県の生産物だけを使ったコース料理を組み立てていく予定だという。

 五月のプレオープンでは、愛知県、愛媛県、広島県を中心に料理が出された。コースは全十皿。

 アミューズとして出されたのは、豚の背脂と花山椒をのせたグジェール、さっと焼いた石川県のイワシの切り身。そして、味付けの妙で見事に素材を生かした対馬沖本マグロのタルタルと、互いのミネラルが呼応し合った味わいが素晴らしい愛知産ミル貝と北海道産白アスパラガスを和えた小鉢。 

 次に、刻んだ鹿児島上甑(かみこしき)島沖アオリイカに、広島大崎上島産レモンとあくまトマトを合わせた皿は、レモンの爽やかな甘みとイカのじっとりとした甘みが抱き合って、思わず顔が崩れる。

 広島岡本農園のアスパラガスの風味をシンプルに黄身?油で味わい、長崎五島列島沖のノドグロのうま味は、下にソースのように流してあるアサリの養分と蕗など春野菜の香りに持ち上げられる。

 そして、噛む喜びを感じさせるクリッとした食感の山形産和牛ハラミは、埼玉県三郷産の姫人参が持つ土の力と同化しようとする。

 広島さだしげ市民農園の頭崎米(かしらさきまい)の丸い甘みが出たリオレ(牛乳で煮たリゾット)は、煮て添えた佐藤錦の甘酸っぱさや、熟成貴醸酒のサバイヨンと、自然な球体を作って、新たなうま味を膨らます。

 といったふうに、全てにわたって農園や生産地の名前が明記され、一つ一つ須賀シェフが愛をこめて説明してくれるので、よりおいしくなる。

 どの皿も、食材の息吹が生き生きと伝わり、あらためて日本の食材の質の高さに、目を瞠る。「SUGALABO」は、〝シンプル〟と〝素直〟が持つ芯の太さを考えさせられるラボである。

東京都港区麻布台1-11-10 日総第22ビル1階 
電話=非公開
紹介制
大阪新進気鋭のフランス料理店
フランス料理
アドック
勇猛さに繊細さが加わった
多彩な料理に心がときめく

 西区土佐堀「トゥールモンド」で骨太なビストロ料理を楽しませてくれた高山龍浩シェフが昨年店を閉め、九月に店名を一新し、中之島に場所を移してオープンした店。緑を望み、自然光が燦々と店内に差し込む窓、高い天井、白と木を基調とした内装、広々ととられた客席。郊外のレストランに出かけたようなくつろぎがある。

 昼は五千円、夜は一万二千円のおまかせコースのみ。ある日の構成は以下の通り。

 テーブルには、食材だけが書かれたメニューが置かれている。「河豚、豚」と題したアミューズは、細長い皿に小石を敷き、枯れ木が立ち、四つの料理が並んでいる。白子のアイスクリームと豚脂の泡を合わせた料理。河豚のタルタルに鶉玉子の目玉焼き、豚足をペーストにして焼き、テュイル(煎餅)状にしたものを合わせた料理。河豚と豚のフロマージュ・ド・テット(煮凝り)。河豚を豚バラの薄切りで包み、竹皮の粉をまぶして丸め、トリュフに見立てた料理。漢字にすれば豚同士というユーモアと、両者の相性を感じさせる皿である。

 続いて、「タラバガニ、人参、みかん」。微かにクミンを効かせた二種類の人参のソース、煮た金時人参、人参の薄切り、紫人参の細切りとローストしたみかんを、茹でたタラバガニと合わせた料理。タラバガニの甘みが、各種人参の甘みやみかんの酸味と出会い、エレガントな艶を感じさせる。

 次は「アンディーブ、トリュフ、パン・デピス」。アンディーブ(チコリー)とトリュフを何層かに重ね合わせ、生ハムとパン・デピスの粉と泡、トリュフソースを添えた料理。間に挟まれたクルトンとバナナの甘みがアクセントとなり、心和ませる。

 「本州鹿のラビオリ」は、鹿肉を詰めたラビオリと鹿肉のソーセージに鹿肉のコンソメを注いだ料理。脂の少ない鹿肉ならではの凝縮した肉の香りと滋味溢れるコンソメを飲みながら、ソーセージやラビオリを噛み締める。素晴らしき鹿の三重奏である。

 魚料理は、「鰆、キャベツ」。しっとりと火を通した鰆にサボイキャベツをのせ、アサリ、マーシュ(葉野菜)、サフランのソースを添え、アクセントにガラムマサラを散らした皿。鰆の甘みと、キャベツの甘みと微かな苦みが混ざり合い、春の訪れを予感させる。

 肉料理は、「仔鳩、季節の野菜」。肉焼き名人である高山シェフの本領発揮。ロゼに仕上がった仔鳩に、仔鳩のジュで作ったソースと内臓のソース、ビーツ、セルフィーユの根、チーマディラーパ(菜花)が添えられる。しとやかさの中に命のあがきを感じさせる、堂々たるフランス料理である。

 続いて「トゥルトフロマージュ」。こんがりと焼いたバター生地の間に、サントモールチーズとクリームを合わせたものを挟んだ皿。思わず顔が緩む味わいである。

 以前の男らしい勇猛な味わいに、繊細なエスプリを感じさせる色っぽい料理が加わった、ときめく瞬間があるコース構成となっている。

大阪府大阪市福島区福島一の一の四十八 
電話=06(6225)8814
営業時間=12時~13時(L.O.)、18時~20時半(L.O.)
定休日=水曜日 
※サービス料5%別途
大阪新進気鋭のフランス料理店
フランス料理
ラ・シーム
モダンの根底に古典の哲学
華麗で品格あるフランス料理

 閑静なオフィス街に佇むレストラン。高い天井を持つ、木と白を基調とした内装の広々とした店内には、アンティークの鞄や鳥かごなどがさりげなく飾られている。テーブルの上には周りにドングリを散らした一輪挿しが置かれた風景と相まって、どこか田舎のオーベルジュに出かけたような、懐かしさと温もりが醸し出されている。

 フランス料理のエスプリに満ちた、高田裕介シェフの作る、ある日の一万八百円のコースは以下の通り。

 アミューズは、細長い木版に五つの料理が並べられる。白人参のムースを挟んだカモミールのマカロン。ブーダンノワール(腸詰め)を挟み込んだ、トリュフ状にまとめた竹炭パン。ビーツのムースとカリッと焼き上げた極薄のビーツ。生ハムを包んだパプリカ風味の揚げラヴィオリ。レーズンのペーストを入れた半月状のパイ。いずれも、香りと食感の妙があって食欲を刺激し、続く料理への期待を高める皿である。

 前菜四皿の一品目は、「菊芋のヴルーテ」。細かく刻んだ椎茸と椎茸のチップが添えられたスープは、優しい素朴な甘みに満ちていて、心を温める。

 二品目は、「穴子とカリフラワー」。甘いソースを絡めた北海道産の分厚く逞しい穴子と、添えられたカリフラワーのムースの甘みが出会い、穴子がエレガントな別の顔を見せる逸品。葱の香りをつけたパウダーやオゼイユ(酸葉)の香りなども心憎い。

 三品目は、「フォアグラのテリーヌ」。人参のソースと、紫人参にリースリングを混ぜた甘酸っぱいソース、小さい立方体にカットしたカカオ風味のブリオッシュ添え。優しい人参の味わいと、カカオの苦みがアクセントとなり、滑らかなフォアグラの魅力をさらに深めた料理である。

 四品目は、「トレビスと豚足」。豚足、セップ茸、茄子のファルスをトレビス(若菜)で包んでパリパリに焼き、玉葱と菊芋の甘みに満ちたソースを添えた皿。茸のうま味、豚足と茄子の甘みを、ラディッキオの苦みが際立たせている。

 魚料理は、「ハタのポワレ」。レフォール(西洋山葵)のソース、菜の花のソース、菜の花のマスタード和え、山葵菜のフリット添え。ハタの淡く品のいい味を、レフォールの刺激と菜の花ソースの苦みが引き立てる。苦みや刺激を纏わせて、食材を輝かせる。まさにフランス料理の醍醐味である。

 肉料理は、「ブレス鶏」。トリュフを挟んだ胸肉と、ウイキョウとトマトと生姜のジュレをのせた腿肉。穏やかな滋味の胸肉にトリュフで艶をつけ、片や、強い滋味の腿肉に野菜を合わせて優しさを引き出す。これもまたフランス料理の魅力であろう。

 緻密な計算が活きた高田シェフの料理は、モダンな盛りつけや調理技術によって、一見現代的でありながら、古典フランス料理の哲学が底辺に脈々と流れていて、確固とした華麗さと品格で舌に迫ってくる。

 ランチコースは五千三百円から。

大阪府大阪市中央区瓦町三の二の十五 
瓦町ウサミビル一階
電話=06(6222)2010
営業時間=12時~13時(L.O.)、18時半~20時(L.O.)
定休日=日曜日(祝日不定休) 
※サービス料5%別途
二〇一四年話題の店(2)
フランス料理
restaurant unique
肉料理好き、フランス料理好きが通いたくなる店

 目黒駅から徒歩十五分の場所にオープンしたビストロ。駅から離れてはいるが、周辺は個性豊かなカフェや飲食店が多く、今後注目されるであろう地域である。

 シェフは、目黒の人気ビストロ「キャスクルート」で四年半シェフを務めた、中井雅明氏である。

 奥がオープンキッチンになった縦長の店は、カフェを改造したようなカジュアルなインテリアで、シェフが一人、サービスのフランス人が一人という布陣である。

 メニューを開くと、「キャスクルート」時代にも評判を呼んだ肉料理がずらりと並んでいる。「鹿のロティ ソースポアブラード」、「アグー豚の皮付きバラ肉のコンフィ」、「ヴァンデ産鴨のロティ 濃厚サルミソース」、「仔鴨の半身丸ごとコンフィ」、「七十日間熟成経産牛骨付きリブロースのロティ」など。堂々たるフランス料理である。客数十六席ほどの小体な店なのに、この肉料理の充実ぶりは素晴らしい。

 しかも、ソースポアブラード(鹿の出汁をベースにした胡椒風味のソース)や、サルミソース(鴨のガラや血などを赤ワインで煮込んだソース)といった、手間暇かかるオーソドックスなソースを揃えている点が、さらに面白い。

 現代のカジュアルフレンチは、ただカジュアルなだけでは成り立たない。「何かに特化させる」が、キーワードなのである。

 前菜にも、またまた食いしん坊心をくすぐるメニューが並ぶ。

「豚足とジャガイモのグラタン トリュフ風味」は、豚足のコラーゲンの甘みとジャガイモの甘みが抱き合い、そこにトリュフの妖艶が重なるという、フランス料理たる喜びに満ちた皿。

 また、「濃厚魚のスープ」は、魚介のエキスが凝縮して、一匙飲んだだけでも充足感が訪れる深い味わい。
そしてメイン。「アグー豚の皮付きバラ肉のコンフィ」は、皮下の脂がなんとも溶けるように甘く、顔が崩れる。皮の食感、皮下の脂の甘み、肉汁に富む豚の身の滋味に思わず笑い出す。

「ヴァンデ産鴨のロティ」は、サルミソースの味の深みと鴨の鉄分が共鳴して、赤ワインをグビグビと飲ませる。

そして「七十日間熟成経産牛骨付きリブロースのロティ」。表面はガリッと香ばしく、中は一面ロゼ色に焼き上げられて、熟成肉ならではの甘い香りと豊かな肉汁が口腔に溢れ、これまた赤ワインを片手に噛みしめる喜びを堪能する一皿である。

冬には山鷸(ヤマシギ)や野兎も登場するという。肉料理好き、フランス料理好きなら通いたくなる店である。

東京都目黒区目黒3-12-3 松田ビル1階 
電話=03(6451)0570
営業時間=[昼:金〜日]12時〜13時(L.O.)、[夜:火〜日]18時〜22時半(L.O.)
※火〜木の昼は事前予約営業
定休日=月曜日
二〇一四年話題の店(1)
フランス料理
LA BONNE TABLE
食材の生命の息吹を感じさせる料理
「おいしい食卓」を生むレストラン

 今春、「コレド室町2」にオープンした「ラ・ボンヌ・ターブル」は、斬新な料理でフランス料理通を唸らしてきた西麻布の星付きフランス料理店「レフェルヴェソンス」の生江史伸シェフが手がけたレストランである。

 店内は天井が高く、ランチ時は陽光が入って、実に清々しい。「生産者とお客様の距離を縮める」。そんなレストランを目指すことがコンセプトで、日本国内の優れた生産者の食材を、シンプルにモダンに創作した料理が並ぶ。

 お昼のコースは三千六百円(サービス料別途)で、前菜二品、主菜三品、デザート三品から、それぞれ一品ずつを選ぶ、プリフィクススタイル。

 まず運ばれてくるのが、豊富な葉類、根菜類など数種が盛られたサラダである。野菜のみずみずしさが弾け、力強い苦みや甘みなどが開いて、味蕾が刺激され、休んでいた味覚がリセットされる。

 ある日の前菜は、「炭火で軽く炙った鰆、エコファームアサノ(千葉県八街市)から届いた牛蒡とそのピュレ 焼きそら豆とその葉」。牛蒡が主役の皿は、純粋な土の香りに満ちていて、それが鰆の炙った香りと共鳴する。そして、そら豆の甘い香りがそこに流れ込む。

 主菜は、「柿木畜産(岩手県久慈市)から届いた短角牛の尻尾の赤ワイン煮込みとキタアカリ(じゃがいも)、蓮根と春菊のパイ包み焼き アロマレッド(人参)のソースと焼きリンゴ、梶谷農園(広島県三原市)から届いたハーブをたっぷりのせて」。

 主役であるはずの牛テールパイは端に置かれ、中央には人参のソースがたっぷりと敷かれている。主役は人参なのである。パイにソースをたっぷりつけて食べれば、ほっこりとした気分になる。皿のデザインはモダンだが、味わいはどこか懐かしい温かみに満ちている。そこが新しい。

 また別の日の前菜は、「炭で炙った鰹、サザエのドレッシングと三陸のワカメ、すりつぶした焼き茄子、オカヒジキ、フルーツトマト、ニイクラファーム(西東京市)から届いたバジルレッドルビン」。本来、主張の強い鰹が、サザエとその肝、茄子の甘みだけを自然に表に出させたソースや焼き茄子と出合うと、いからせた肩をほどき、やさしく胃袋へと収まっていく。食材を生かす仕事を施しながら、しかし、決してうま味を過剰にしない料理が素晴らしい。

 一方主菜は、「花愁豚のロースト」。一口齧ると、雑味のない綺麗な肉汁が舌に滴り、そのうまさにのけぞる。次に、ほうれん草のソースを絡めて食べれば、豚肉が穏やかな滋味に変わる。

 人の手をかけながら、自然に近づける。肉も魚もそれ以上の味にはしない。真の意味の自然な味わいが五感を刺激し、都会生活で鈍化した感覚に養分を与えてくれる料理。生命の息吹を感じさせるデザートも含め、まさに店名通り、「おいしい食卓」を生むレストランである。

東京都中央区日本橋室町2-3-1 COREDO室町2 
電話=03(3277)6055
営業時間=11時半〜13時半(L.O.)、17時半〜21時半(L.O.)
年中無休
デジュネ最新事情(2)
フランス料理
ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー
心地よい空間でフレンチを楽しむ
やわらかな午後のひと時

 その瞬間の最高を「ありのまま(ア・ニュ)」に表現する、下野昌平シェフの料理を、高い天井のもと心地よい空間で楽しめる。

 昼は、「ムニュー・ドゥ・シャンパーニュ」(食前の飲物・前菜・魚料理または肉料理・デザート)、「ムニュー・ドゥ・ルクス」(前菜・魚料理・肉料理・デザート)共に三千四百円と、「ムニュー・ドゥ・スペシャリテ」(季節の特別料理六皿)六千円、その日にしか入らなかった食材を使った特別コース「ムニュー・ソロ」一万二千円が用意される。

 ある日の「ムニュー・ドゥ・スペシャリテ」は、一皿目の前菜が、香り高いマッシュルームのデュクセルを詰めたグジェール(チーズを混ぜたシュー皮)、山菜の苦みを生かしたクッキー、白アスパラガスのブランマンジェが一口ずつ、小さい器に盛られて登場。続いて、香り高い桜海老の薄焼き菓子に、キャビアクリームとハーブをサンドしたもので、食欲を刺激する。

 一皿目は「鮑の瞬間ヴァプール」。さっと蒸し上げた鮑に、生ハムと鮑肝のジュレを合わせたもので、肝のほろ苦さと生ハムのうま味が、鮑の味わいを際立たせている。

 二皿目は「フォアグラのソテー」。香ばしく表面を焼き上げたフォアグラに花山椒と揚げたスペルト小麦が載る。フォアグラの甘い脂の香りに花山椒の刺激と揚げ小麦の固い食感がアクセントとなり、実に楽しい。

 三皿目は「白アスパラガスと雲丹」。精妙に火を通したアスパラガスの甘みとほろ苦さ、雲丹の甘いコク、ブールブランソースの酸味、三者が見事に共鳴し合っている。

 口直しは、スペシャリテである「空豆のスープ」。皮をむいた空豆を水からじっくり煮だし、何度も漉して透明にしたものである。口に入れた途端に香る空豆の甘い香りに思わず和む、素晴らしいスープである。

 魚料理は「甘鯛」。萩産甘鯛の皮目を炭火で焼き、赤ワインヴィネガーに漬けた白菜を巻いて蒸した料理。雑味のない綺麗な甘みを持つ甘鯛が、鹿のフォンに牡蠣のエキスを混ぜた赤ワインソースとの出合いによって、逞しい一面を出す見事な料理である。

 肉料理は、「乳飲み仔牛のカツレツ」。細かいパン粉とミモレットに包まれたカツを噛めば、ミルクの甘い香り漂う仔牛の滋味が流れ出す。エキゾチックな香りのウースーターソースも、ヴィネグレットで和えた付け合わせの千切りキャベツも、心憎い。

 デザートの「レモンとマスカルポーネのムース」は爽やかな逸品。コーヒー・紅茶の種類が多いのも嬉しい。

東京都渋谷区広尾5-19-4 SR広尾ビル1階
電話=03(5422)8851
営業時間=11時半〜13時半(L.O.)、18時〜21時(L.O.)
定休日=火曜日(月に1回不定休) 
※ サービス料10%・消費税別途
デジュネ最新事情(2)
フランス料理
レストラン・アラジン
人々に愛され続ける、
季節の食材の魅力を引き出した力強い料理

 一九九三年開店以来、多くの人々に愛されてきたレストラン。季節の食材の魅力を素直に引き出した、川崎誠也シェフによる力強い料理がいただける。

 昼は、「Aコース」(前菜・主菜・デザート)三千六百円、「Bコース」(一皿目の前菜・二皿目の料理・主菜・デザート)五千円、「特別コース」七千円。AとBは、前菜・主菜・デザートが数種の中から選べる。

 前菜には、スペシャリテである「フォアグラとレンズ豆のマーブル仕立てテリーヌ」(プラス八百円)をぜひ。質の高いフォアグラで、丁寧に作られたテリーヌならではの、ねっとりとしたきめ細かい食感と、脂の甘い香りにレンズ豆の甘みが溶け込み、うっとりとなる一皿である。この他、ヤリイカの優しい食感を見事に引き出した「ヤリイカの詰め物、セート風煮込み」もいい。

 主菜は、「アンドゥイエットとブーダンノワール」はいかがか。豚の腸などを使ったソーセージと、豚の血のソーセージである。シェフが好きなゆえ作り続けている料理だという。様々な食感と、腸の脂のうま味や、血の鉄分の奥に潜む甘みなど、フランス料理好きにはたまらない一皿である。

 デザートは、爽やかな苦味が印象的な「グレープフルーツのカンパリ風味テリーヌ&ヨーグルトシャーベット」や、「リュバーブのコンポート入りクレームブリュレ」などがお薦めである。

 上品な年配客や外国人のお客さんが多く、この店が培ってきた信用がうかがえる。

東京都渋谷区恵比寿2-22-10 広尾リバーサイドG1階
電話=03(5420)0038
営業時間=12時〜14時(L.O.)、18時〜21時半(L.O.)
定休日=日曜日 
※ サービス料10%・消費税別途
デジュネ最新事情(2)
フランス料理
レストラン タテル ヨシノ 芝
大地の実りを盛り込んだ料理を
ホテルレストランでゆったりと

 十六年間オーナーシェフを務めたパリの「ステラマリス」で一つ星を獲得した、吉野建氏によるレストラン。
昼は、「メニューA」(前菜・魚料理または肉料理・デザート)四千二百円、「メニューB」(前菜・魚料理・肉料理・デザート)六千円、季節の食材を使った特別メニュー「メニュー・ドゥ・セゾン」九千円の三種類。AとBは数種の料理から選ぶことができる。

 ある日の「メニューB」は、まずアミューズとして、グジェールが登場し、続いて、上から生アスパラガスの薄切り、生帆立、ナッツ、カレー、白アスパラガスのムース フランボワーズジュレが重ねられた、カクテル仕立てが運ばれる。

前菜の「トーション仕立てのフォアグラとフォアグラのマリネ、フリュイセック添え」は、マデラ酒のゼリーを纏い、酒でマリネしたフレッシュのフォアグラと、黒胡椒などのスパイスで覆われたフォアグラのテリーヌの組み合わせ。フレッシュ・テリーヌ共に、フォアグラの脂の甘くしっとりとした妖艶な風味が引き出されている。

 魚料理では、スペシャリテの一つ、「軽くスモークしたサーモン ステラマリス」が素晴らしい。最上質のサーモンならではの脂のうま味と、軽い燻製香にうっとりとなる。

 肉料理は、「フランス産ウズラのフォアグラファルシー、エピス風味 様々なハーブのサラダ」がいい。精妙な火の通しによるウズラの滋味とフォアグラのうま味との共鳴は、フランス料理ならではの高揚がある。

 デザートは、「ベトラーブのジュレとアイスクリーム、赤いフルーツのマリネを添えて」。その後の小菓子も、マカロンショコラにカヌレと、存分に楽しむことができる。

東京都港区芝公園1-5-10 芝パークホテル別館1階
電話=03(5405)7800
営業時間=11時半〜14時(L.O.)、18時〜21時(L.O.)
定休日=月曜日 
※サービス料10%別途
デジュネ最新事情
フランス料理
オー・プロヴァンソー
クラシックとモダンが混じり合う
力強く優美で楽しいフレンチ

 海外のレストランで修業後、長らく赤坂の名ビストロで料理長を務めた中野寿雄シェフが独立し、二〇〇七年に開いた店。クラシックを基調にしながら、モダンな要素を組み入れた料理と、店内に漂う温かい雰囲気に魅了され、通うファンが多い。

 昼は、「デジュネA」(スープ・魚料理または肉料理・デザート)二千七百円、「デジュネB」(前菜・魚料理または肉料理・デザート)三千百円、「デジュネC」六千二百円が用意されている。

 なかでも、シェフの看板料理のスペシャリテが組み込まれたCコースが素晴らしい。

 前菜は、スペシャリテの「魚介のサラダ仕立て 黒トリュフソース」ほか、日替わりのパテや前菜を含めた七品から好みの一皿を選択する。この日選んだのは、「鰯のムニエル」。鮮度の良い脂の乗った鰯をサッとムニエルにし、トマトと菜の花とアンチョビのソースがかけられている。

 魚料理は、シェフのスペシャリテの一つ「舌平目のボンファム」。ヴェルモット酒で蒸し煮した舌平目に、ムースリーヌ・ソース(ヴェルモット酒・フュメ・エシャロット・白胡椒・卵黄によるソース)をかけた堂々たる古典料理でありながら、茸のデュクセル(微塵切りにして炒めたもの)が敷かれ、現代風に仕上げられている。ワインが飲みたくなる古典フレンチの力強さと優美さに、シェフの新しい感覚が混じり合って楽しい。昼のコースでこうした料理を食べられるのは、他店ではなかなか味わうことのできない、この店ならではの喜びである。

 肉料理は、「ブルゴーニュ産の鴨と牛蒡のリゾット 牛蒡チップ添え」。鴨の鉄分の香りと牛蒡の土の香りがよく合っている。

 デザートは、ワゴンに乗せられた数種類の中から、好きなものを好きなだけ選べる。

 そのほか、一日限定五食の特製ハヤシライスがいただける「デジュネD」(前菜・デザート付)四千六百四十円もおすすめ。

東京都千代田区平河町1-3-9 
電話=03(3239)0818
営業時間=11時半?14時(L.O.)、17時半?22時(L.O.)
定休日=日曜日・祝日の月曜日
※ 夜のみサービス料10%別途
デジュネ最新事情
フランス料理
レストラン リューズ
故郷新潟の食材が盛り込まれた
シェフの想いが詰まった料理

 東京ミッドタウン近くに、二〇一一年にオープンしたレストラン。厨房を望むカウンター席とテーブル席がある。国内外の名店で修業を積んだ飯塚隆太シェフの美味で健やかな現代フランス料理がいただける。

 昼は、「ムニュ・デジュネ」(前菜・メイン・デザート)三千六百円、「ムニュ・デュ・ジュール」(前菜二皿・魚料理・肉料理・デザート)五千八百円、旬の素材を活かしたシェフのおまかせコース「ムニュ・リューズ」八千四百円~。ある日の「ムニュ・デュ・ジュール」のメニューをご紹介。

 まずは、刺激的な二皿のアミューズでスタートする。一つは、グラスに入れたアスパラのムースとタスマニアサーモンにブルーチーズのマドレーヌを添えた皿。続く皿は、しっとりとした食感のホタルイカと空豆のムース、トマト、パルミジャーノのチュイル(サクッとした薄い焼き菓子)。

 前菜の一皿目は、白アスパラガスのグレック(酸味を効かせた蒸し煮)に、赤バイ貝のコンフィ、金柑を添えた皿。貝の甘いエキスとアスパラのほのかな甘さが調和し、金柑の柔らかい酸味と苦みがアクセントになっている。二皿目の前菜は、シェフのスペシャリテ「新潟産八色椎茸のタルト仕立て」。タルト生地の上に椎茸のデュクセルと椎茸のソテーを載せ、薄切りのラルド(塩漬けにした豚の脂)で覆った皿。ラルドのコクに負けぬ椎茸の力強さが素晴らしい。

 魚料理は「鰆のポワレ」。しっとりと精妙に火を通したほのかに甘い鰆に、ウイキョウの苦み、トマトソースのうま味、レモンコンフィの酸味を添えた、胸弾む一皿。

 肉料理は、シェフの出身地新潟県十日町産の「妻有ポークのロースト」。雑味のない綺麗な肉のうま味と、甘く溶ける脂を持った豚肉を、丁寧に火入れし、持ち味を生かしきった皿である。

 デザートは、トンカ豆(バニラ香に似た香辛料)の香りが華やかなパンナコッタ。

 故郷の食材への敬意が感じられる料理が心打つ、幸せな昼の時間が待っている。

東京都港区六本木4-2-35 アーバンスタイル六本木地下1階
電話=03(5770)4236
営業時間=12時~14時(L.O.)、18時~21時半(L.O.)
定休日=月曜日(日曜日不定休) 
※ サービス料10%別途
デジュネ最新事情
フランス料理
レストラン ドミニク・ブシェ
パリの星付きレストランの味を
銀座で楽しむ優雅な昼のひと時

「ラ・トゥール・ダルジャン」や「オテル・ドゥ・クリヨン」の総料理長を務めた後、パリで星付きレストラン「ドミニク・ブシェ」を経営する氏が、昨年九月に東京店をオープン。銀座あずま通りの一角にあるビルの、地下一階にカフェ、地下二階にレストランを展開する。

 白を基調とし、二階分程の高さの天井を持つ開放的な空間のレストランで楽しめるデジュネは、今回ご紹介する「本日のおすすめメニュー」(アミューズ・前菜・魚料理または肉料理・デザート)五千五百円のほか、八千五百円、一万五百円の三コース。

 ある日の前菜は、ラタトゥイユを詰めたヤリイカのポワレ、タプナード(オリーブペースト)とピストゥー(バジリコペースト)添え。ヤリイカの甘みと優しい野菜の甘みが調和し、春を感じさせる一皿。

 メインは、肉料理の「大山地鶏のガランティーヌ」を選択。マッシュルームなどの茸類を巻いた鶏肉に、牛蒡チップやアスパラを添え、ドミグラスソースがかけられている。鶏肉の滋味と茸の香りが、穏やかな気分を呼ぶ。

 デザートは、タルトタタンのアイスクリーム添え。リンゴとタルト生地の酸味と甘みのバランスが見事なタルトタタンと、塩バターキャラメルのアイスクリームの組み合わせが、非常によく合う。

 サービスが実にスマートで心地よい。優雅な非日常に浸れる昼のひと時を過ごされてはいかがだろう。

東京都中央区銀座5-9-15 銀座清月堂ビル地下1階・地下2階
電話=03(5537)3290
営業時間=11時半~13時半(L.O.)、18時~20時半(L.O.)[カフェは18時~22時シャンパーニュタイム]
定休日=日曜日・月曜日 
※サービス料10%・消費税別途
ハンバーグ(1)
フランス料理
Sun‐mi高松
心地よいサービスのもといただく
お値打ちのハンバーグ

ハンバーグは、広々として心地よい、七階のフレンチ「EMU」でいただける。

お昼のハンバーグは千二百六十円から。浅葱ソース、キノコクリームソース、デミグラスソース、ビーフシチューのせ、アンダルシアトマトソースとチーズ焼のせの中から選ぶことができる。

まず、ワゴンサービスで本日のスープがサーブされ、サラダが運ばれ、ハンバーグが登場する。

特筆すべきは、デミグラスソースの艶やかさ。赤ワインの香りとほのかな苦味のあるまろやかなソースと、肉の甘みと香りに満ちたハンバーグが入り混じる味わいがたまらない。ソースが濃厚ながら、ハンバーグに勝ちすぎていないのがいい。

熟練した給仕人にサービスされ、ゆったり過ごしながらいただく、お値打ちのハンバーグである。

東京都中央区銀座6-3-9  
電話=03(5568)3300
営業時間=11時〜14時半、17時〜21時(土・日・祝〜20時)
年中無休
話題の新店(3)
フランス料理
Anis
低温でじっくりと火を通した
素晴らしい肉料理がメイン

初台にオープンした、フレンチをベースとした本格的料理をカジュアルに楽しめるレストラン。広いテラス席、フローリングに厨房を囲む木のカウンター席。モダンなカフェのような店内は、実に心地よい。

シェフは、「ラール・エ・ラ・マニエール」出身の清水将シェフ三十八歳。夜のコースは、五千五百円と九千五百円。

スペシャリテは、鉄板の上で長時間焼かれる仔牛や仔羊など、肉の主菜。ある日のホロホロ鳥は、こまめに角度を変えながら骨からも火が通るように、四時間焼かれたもの。皮には、焼けた香ばしい香りがついているが、肉はどこまでもしっとりと、歯に優しい。齧りつくと、しなやかな筋肉がふるると躍動して、口に入り、柔らかな甘みが滴り落ちる。命がはらむ多様な甘みがある、素晴らしい肉料理。ただ長時間焼いただけではない、シェフの力量がうかがえる逸品である。

もう一つのスペシャリテは、サラダ。保湿性が抜群だという桐の箱で保管された葉類は、大きなボウルに入れられて、一番最後に登場する。苦み、甘み、みずみずしさ、香りを放ち、生き生きと舌に迫る。スプレーでかけるドレッシングも、酸味と塩味がピタリと決まり、野菜を生かす。

その他、前菜類、魚料理も繊細な味付けが光る皿である。

東京都渋谷区初台1-9-7
電話=03(6276)0026
営業時間= 11時半~14時半、18時~23時半
※夜のみサービス料10%別途
定休日=月曜日・第2日曜日
二〇一二年前半オープンの話題の店(2)
フランス料理
Amour(アムール)
しなやかな感性と豊かな想像力による創造的料理

西麻布の瀟洒な建物「メゾン510(ゴト−)」の、一階は女性シェフによる「ビストロボーテ」で、二階がフレンチレストラン「アムール」。ゆったりと客席を配し、窓外の緑が美しく映える優雅な空間。西麻布「エキュレ」でシェフとして腕を振るった後藤祐輔氏の、しなやかな感性と豊かな想像力による、創造的料理がいただける。おまかせランチコースは、小前菜六〜八品とメインの肉料理、コーヒーで六千円。ディナーは、過去のスペシャリテを集積した一万三千円のコースと、旬の食材を使った月替わりのコース一万六千円の二コース。この日いただいた、スペシャリテのコースをご紹介。

「プレリュード」は、トマトのチュイル、クリームチーズとリンゴ、生ハムのパン・フリット。「前菜」は、鱧と玉葱コンフィ、ヴィシソワーズ、アボカドムースポテトチップス、エビ、エビせん、茄子。繊細でいてユーモアもある料理に食欲が刺激される。

「美白2010」と記された皿は、とかちマッシュとコチの昆布〆にコチ肝ソース。みずみずしいマッシュルームのほのかな甘みが素晴らしく、コチの甘い身を、穂紫蘇の香りやケイパーの酸が盛り立てる。

「月の輝き 帆立貝とカリフラワー サマートリュフの香り」は、バターを染み込ませたパンに挟んだまま火を通した帆立貝が素晴らしい。生でも過熱でもない、気品に富む新たな天体をトリュフが妖艶に彩り、生カリフラワーの微かな甘みが寄り添う。

「和洋折衷 フォアグラとセップ 日本とフランスの融合」は、カダイフで巻いたフォアグラと、本シメジ、アワビ茸、セップを合わせた皿。そのあとの「夏色2012 シャラン鴨とオレンジ ミスト調理」は、蒸しながらも、皮と肉の食感の対比を見事に描き、肉を食べる喜びを与えてくれる。

デセール「伝統2009 タルトタタン そして現代」は、ソルベ状にした焼きリンゴとクッキー、リンゴの香りをつけた泡。そして「神秘 ショコラとドライフルーツ」に続き、「余韻」と記した紅茶の質が極めて高く、素晴らしい食事の余韻に花を添える。

東京都港区西麻布4-10-3 メゾン510‐2階
電話=03(3409)1331
営業時間=12時〜13時半(L.O.)、18時〜21時(L.O.)
定休日=月曜日
二〇一二年前半オープンの話題の店(2)
フランス料理
ESqUISSE(エスキス)
日本の食材と食文化への敬意が込められた新しく見事な料理

今年六月オープン。天井が高く広々とした店内は、穏やかな気分を与えてくれる。

シェフは、元「トロワグロ」シェフのリオネル・ベカ氏、シェフ・パティシエは、「ジョエル・ロブション」出身の成田一世氏、シェフ・ソムリエは、元「タテルヨシノ」総支配人の若林英司氏というスーパーチームである。料理は昼夜ともシェフの創作によるコース料理のみで、グラスシャンパン、ミネラルウォーター、前菜、魚料理、肉料理、プレデセール、デセール、コーヒー&小菓子に、お土産が付く。ランチは一万円〜一万八千四百円の三コース、ディナーは一万八千円と二万三千円の二コースで、前菜の皿数によって値段が異なる。

例えば、ある夏の日のメニュー。脂の香りだけをきれいに高めたフォアグラと桃を合わせた皿へ注がれる、鰹節ならぬ鴨節の出汁。手長エビと仔兎のトルテリーニの風味を華やかに包み、かつ親しみやすい温かみを忍ばせる、甘夏の香りと酸味。幽庵焼きなどに見られる、熟成した調味料に合うマナガツオの逞しさを信じた、フェンネルの濃いカラメリゼとの共鳴。

この三皿をとっても、ベカ氏が五年半「トロワグロ」で勤めて得た、日本の食材と食文化への深い敬意をフランス人として消化し、新たな創造的味を生み出した素晴らしさがある。いま世界中で外国人シェフが和食の材料や調理技術を取り込んでいるが、日本人にも驚きを与え、納得させるシェフが現れたことを心の底から喜びたい。

さらには、シェフの父の故郷であるチュニジア、母の故郷のイタリア、育ったフランス・地中海という彼の血が、料理のエスプリとなって放たれる。

仔羊鞍下肉のロティと煮込みに添えられた、羊乳とバニラとレモンのコンフィや、鳩のサルミソースを軽やかにする、隠されたイタリアンパセリの香り。料理のテーマは「エアリー」ということだが、単なる軽さではない。刺激し、喜ばせ、我々の楽しい記憶を喚起しうる力を持つ、新たな空気の創造である。

若林氏が料理に合わせて選ぶグラスワイン・コース「英司コレクション」(二万円)が、これらの料理をさらに盛り上げる。また、トウモロコシや果物など、一つの食材の多面的な魅力を見事に表現した成田氏のデセールも秀逸。

東京都中央区銀座5-4-6  ロイヤルクリスタル銀座9階
電話=03(5537)5580
営業時間=12時〜13時(L.O.)、18時〜20時半(L.O.)
定休日=日曜日
※サービス料10%別途
二〇一二年前半オープンの話題の店(1)
フランス料理
ボン・グゥ神楽坂
一人でも大勢でも楽しめるフレンチ前菜食堂

今年の三月オープン。都内に数店舗展開する「オー・グー・ドゥ・ジュール」の系列店。フレンチの前菜だけを楽しめる、新しいスタイルの食堂。店内は、白を基調として明るく、清潔感に富む。

料理はアラカルトで、いずれの皿も、二人でシェアするのに最適なハーフ、三〜四人でシェアするレギュラー、レギュラーの倍量のダブルと選べ、一人でも大勢でも自由に楽しめる店である。

たとえば、イカの優しい甘みが詰まった「アオリイカの焼きテリーヌ」(温菜)は、ハーフ八百円、レギュラー千五百円、ダブル二千八百円といった具合。

冷菜と温菜それぞれ約十種類ほどが揃う。以下は、すべてレギュラーの価格。

冷菜は、燻香がきっちりと行きわたったサバがうまい「真サバの燻製とジャーマンポテト」千五百円、脂がのって質の高さが光る「関イサキのカルパッチョ」千八百円、スルメとパスタの食感、アボカドのコクとライムの爽やかさがきれいに出合った「スルメイカとアボカドの冷製カッペリーニ ライムの香り」千五百円、野菜の香りと甘みが菓子風に固められた「焼きアスパラガスと米茄子のタルトタタン」千六百円など。

温菜では、表面をカリッと焼き上げた「フォアグラのソテー ダークチェリーとイチジクのコンフィ添え」二千円、鉄分のうま味が口に溢れる「牛ハツの香草パン粉焼き」二千二百円、蛤のミルキーなうま味がソースに滲んだ「地蛤とキャベツのクリームコロッケ」千六百円がおすすめ。

アルザス風ピザ「タルトフランベ」千四百円も五種類ほど、そのほか「本日のフレンチパスタ」千四百円もあり、締めにぜひ。デザートは五百円〜。

女性客中心に賑わう店内には、窓際にカウンター席が設けられ、”おひとり様“でも気軽に立ち寄れる「ボン・グゥセット」千五百円(おひとり様の客平日限定:前菜二品と飲み物付き)もある。

東京都新宿区矢来町107 細谷ビル2階
電話=03(3268)0071
営業時間=11時〜15時(L.O.)、17時〜22時半(L.O.)
定休日=月曜日
二〇一二年前半オープンの話題の店(1)
フランス料理
ラ・オリーバ
多彩な料理とお酒が揃う
小粋なスペインバル

今年三月、六本木の路地にオープンした小粋なスペインバル。

料理長以下、サービススタッフの大半が女性。そのため店内は、温かみに富んだ快活な空気に溢れ、実に心地よく、胃袋をあおってくれる。

店が独自でスペインから直輸入している生ハム「ハモンイベリコ”ベジョータ“」(M・三十グラム:七百円、L・五十グラム:九百八十円)は、溶けるような食感と熟成したうま味が舌に広がる、質が非常に高いもので、この価格はお値打ち。

魚自体の質が光る、スペインバルの定番「小イワシのビナグレッタ」は五百五十円。

軽快な食感にワインが進む楕円形のスペイン風ピザ「COCA」、ミルキーなうま味を含んでプリッと弾ける「マテ貝のガーリックソテー」、ズッキーニや万願寺唐辛子などの夏野菜をビールの衣で香ばしく揚げた「夏野菜のスペイン風フリット」、エビのうま味が油に染みた「大赤エビのアヒージョ」。以上は、すべて六百五十円。

卵自体の甘みが素晴らしい、有精卵を使用した「橘さんのこだわり卵のトルティージャ」、豆の優しい甘みが広がる「ロンガニサソーセージとトロサ豆の煮込み」、豚挽き肉のうま味が伝わる「ブティファラソーセージといろいろお野菜のチーズグラタン」。以上は、すべて七百五十円。

そのほか、濃厚な味わいに顔がほころぶ「イベリコ豚ロースのロースト」千円などなど、多彩なアラカルト料理が揃う。

コース料理(二名からの注文)は、三千五百円と四千五百円の二種類。スペイン産ビールやワイン(グラス七百円〜、ボトル二千六百円〜)ほか、酒類も充実している。

東京都港区六本木7の3の14
電話=03(6438)9897
営業時間=17時半〜24時(23時L.O.)
定休日=日曜日
二〇一二年前半オープンの話題の店(1)
フランス料理
エノテカラウラ
素晴らしい料理とワインとサービス
快適に過ごせるイタリア料理店

赤城神社脇の路地に、今年二月オープン。

前菜、パスタ料理、メインディッシュ、ドルチェを数種の中から一皿ずつ選ぶ「エノテカラウラプリフィックスコース」五千二百五十円。ある日のメニューを紹介。

まず、アミューズの生野菜に添えられたイワシのムースのコクに食欲をつかまれる。

次に前菜。「ホワイトアスパラのビアンコマンジャーレ」は、白アスパラムースの滑らかな甘さと、グリーンアスパラソースの香り、帆立のうま味の精妙な調和が素晴らしい。そのほか、様々な食感が口中で弾ける「豚コッパ(豚の首の部分)のカツレツ フルーツトマトとルッコラのサラダ」など。

パスタ料理は、ふんだんにウニを使った「北海道産ウニのソース レモン風味のトレネッテ」、たっぷりと夏トリュフを削りかける「ジャガイモのラビオリ」など。そして秀逸は「キタッラビアンカ 仔羊と香味野菜のラグー」。粉のうま味、噛みしめる嬉しさを感じさせるキタッラ。仔羊の香りと滋味、野菜類の甘みが丸く溶け合って、凛々しいながらも穏やかな味わいに、心が安らぐ。

メインは、同店のスペシャリテ、イタリア郷土料理の茹で肉の盛り合わせ「ボッリートミスト」を。ブロード(煮汁)の黄金色の輝きと、舌に染みわたる深々としたうま味。鶏肉やタン、牛スネ肉、豚バラ、サルシッチャ(生ソーセージ)など肉の確かな味わい。モスタルダ(マスタード風味のシロップに漬けたフルーツ)、ペアラ(ブロードでパンを煮込み胡椒を利かせたもの)、サルサヴェルデ(グリーンソース)、バニェットロッソ(トマトのソース)といった、付け合わせの正統ソース類の味の鮮烈。丹念な仕事がヴェローナの風を呼び込む。

客との距離を保ちつつ、肩の力が抜けていてさりげないサービス。料理がおいしくなる説明と、的確なワイン選び。快適に過ごせる条件が揃った店である。

東京都新宿区赤城元町3の7 ODAビル1階
電話=03(6265)3545
【ランチ】[火〜金]12時〜13時半[土・日・祝]12時〜14時
【ディナー】[火〜土]18時〜23時[日・祝]18時〜21時半
定休日=月曜日
デジュネ(2)
フランス料理
オーコアンドゥフー
どの皿も野菜がたっぷり
シェフの誠実な人柄が伝わる味

昨年十一月、中目黒駅の程近くにオープンした愛らしいビストロ。溌剌としたマダムのサービスが素晴らしく、心和む。

デジュネは、千六百円から。前菜・主菜・スープ・デザートの二千百円、前菜・主菜から三皿選ぶコースが三千百円。

ある日の三千百円のコース一皿目は、「厚切りスモークサーモンの瞬間燻製 野菜のヴィネグレット」(プラス四百円)。燻香をまとった、分厚い半生のサーモンのおいしいこと。たっぷりの野菜、温泉卵添え。第二前菜は、「穴子のパン粉焼き ゴロゴロ野菜のブイヨン」。これまたボリュームに富む一皿で、カレーの香りをまとった穴子フライの濃厚な味わいと、下にゴロゴロ敷き詰められた十種以上の野菜の優しさが出合う。

主菜に選んだのは、「仔牛ロース肉のロースト 茸ソース」。しっとりと火を入れられた肉を噛めば、仔牛ならではの優しい滋味を茸の香り高いソースが盛り上げる。 どの皿も野菜がこんもり添えられ、量も多く、シェフの誠実な人柄が伝わる味わい。デザートのクレーム・キャラメルも美味。

東京都目黒区上目黒2-7-2 PIROUETTE 101
電話=03(6412)8212
営業時間=11時半〜14時(L.O.)、18時〜22時半(L.O.)
定休日=水曜日
デジュネ(2)
フランス料理
ラ・マティエール
素材の旨味とソースの旨味が共鳴した見事な一皿

神楽坂の路地裏に店を構える人気のレストラン。二千百円、二千六百二十五円、三千百五十円、四千二百円の四種。三千百五十円は、前菜・スープ・主菜・デザート。 ある日の前菜に選んだのは、「海の幸のタルタルサラダ アンチョビ風味」。マグロ、燻製のタコ、帆立、白身魚のタルタルを、バジルとアンチョビのソースで仕立てた、親しみの湧く、食べ応えのある一品。胡瓜、インゲン、プチトマトなど、たっぷりの野菜も添えられる。

主菜は、魚も選べるが、この日は肉料理をチョイス。例えば、定番「黒毛和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」は、コラーゲンの旨味たっぷりの肉が素晴らしく、口に入れてはらりとほどけると、肉自体の旨味と、煮込みソースの旨味と酸味が共鳴して、うっとりとなる。あるいは、「プーレジョーヌ(赤毛地鶏)の網焼き タイム風味 焼き汁ソース」もいい。香ばしい鶏皮に歯を入れれば、優しい甘味を持つ肉汁が染み出て、目を細める。柔らかいだけではない、噛む喜びを感じさせてくれる鶏肉料理である。

デザートは、店前の豆腐店「山本豆腐の豆乳

神楽坂の路地裏に店を構える人気のレストラン。二千百円、二千六百二十五円、三千百五十円、四千二百円の四種。三千百五十円は、前菜・スープ・主菜・デザート。 ある日の前菜に選んだのは、「海の幸のタルタルサラダ アンチョビ風味」。マグロ、燻製のタコ、帆立、白身魚のタルタルを、バジルとアンチョビのソースで仕立てた、親しみの湧く、食べ応えのある一品。胡瓜、インゲン、プチトマトなど、たっぷりの野菜も添えられる。

主菜は、魚も選べるが、この日は肉料理をチョイス。例えば、定番「黒毛和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」は、コラーゲンの旨味たっぷりの肉が素晴らしく、口に入れてはらりとほどけると、肉自体の旨味と、煮込みソースの旨味と酸味が共鳴して、うっとりとなる。あるいは、「プーレジョーヌ(赤毛地鶏)の網焼き タイム風味 焼き汁ソース」もいい。香ばしい鶏皮に歯を入れれば、優しい甘味を持つ肉汁が染み出て、目を細める。柔らかいだけではない、噛む喜びを感じさせてくれる鶏肉料理である。

デザートは、店前の豆腐店「山本豆腐の豆乳のムースとアイス」。穏やかな豆の甘味が広がるムースに、思わず笑みがこぼれる。

のムースとアイス」。穏やかな豆の甘味が広がるムースに、思わず笑みがこぼれる。

東京都新宿区神楽坂6-29
電話=03(3260)4778
営業時間=11時半〜14時(L.O.)、18時〜21時(L.O.)
定休日=月曜日
※サービス料10%別途
デジュネ(2)
フランス料理
ラ・リューン
精妙に計算された素材が輝く料理に心が和む

仏語で「月」を意味する店名のモダンレストラン。千五百七十五円〜六千三百円の四種のデジュネの中から、おすすめの三千六百七十五円のコース(前菜・スープ・主菜・デザート・シェフおまかせ旬の食材を使った四皿)のある日のメニューをご紹介。

まずは、土に見立てた牛蒡チップスにアスパラを植えた、楽しいアミューズ。

続く前菜は、「雲丹と人参のソルベ 茄子の煮びたし ライムの香り」。茄子の甘さに、雲丹や人参の異なる甘味が美しく重なり、微かに香るライムが清涼感を演出する。

前菜では、「稚鮎のベニエ」も素晴らしい。カリリと香ばしく揚げられた鮎を齧り、セロリと胡瓜のグラニテを口に含む。食べながらしみじみと旨さを感じる逸品。

香り高い「アスパラガスのスープ」と続き、「ドンブ産鶉のポワレ」。精妙な火の通しで、滋味が生き生きと舌の上で爆ぜる。

デザートは「いちじくのポワレ 珈琲のグラニテ、オレンジのジュ、牛乳のソルベ」。苦味、酸味、優しい甘味が響き合う。

精妙に計算された素材が輝く料理だが、計算の堅苦しさを感じさせず、心が和む。

東京都港区東麻布2-26-16
電話=03(3589)2005
営業時間=12時〜13時半(L.O.)、18時半〜21時(L.O.)
定休日=水曜日
※サービス料10%別途
デジュネ(2)
フランス料理
アニュ・ルトゥルヴェ・ヴー
その時の最高のものを
”ありのまま=アニュ“に表現した料理

高い天井、透明な空気感と開放感に富む空間で過ごす時間が心地よいレストラン。

前菜・本日の魚料理・肉料理・デザートの三千五百円のコースをチョイス(プラス千円で前菜を一皿追加可)。その他、シャンパンか好みのグラスワインと三皿構成の三千五百円、六皿構成の六千円、シェフおまかせスペシャルコース一万二千円がある。

ある日に選んだ前菜一皿目は、「空豆の冷たいスープ 魚介のタルタル 新玉ねぎのアイスと一緒に」。皿の底に、帆立、エビ、マスのタルタル、上にアイス、そして空豆のスープが注がれる。上品に空豆の甘味と香りが引き出されたスープ、澄んだ甘味で目を丸くさせる玉ねぎのアイス、そして魚介のタルタルの旨味が優しく調和する。第二前菜は、「アニュのテリーヌ グレックレギューム添え」。豚の練り肉の甘味と旨味に富む、金華豚とフォアグラのテリーヌに、酸味が深く行き渡ったギリシャ風野菜のマリネが添えられる。野菜の質も非常に高い。

本日の魚は「白カサゴのポワレ ズッキーニのソース」。しっとりと火が通ったカサゴを、アンチョビ、微塵切りのズッキーニと、ニンニク風味の泡状ミルクが盛り立てる。

肉料理は「マダムビュルゴーのシャラン鴨もも肉ソテー 白と赤のソース」はいかがか。ロゼ色にソテーされた鴨の、鉄分を含んだエキスを噛みしめる喜びを湧き上がらせる皿。ビーツの赤、玉ねぎの白という野菜のソースが穏やかな気分を呼ぶ。

デザート「パイナップルのデクリネゾン」は、ソルベ、ガトー、フレッシュの三種盛り合わせ。パイナップルの三様の香りと甘さを感じて痛快になる。

東京都渋谷区広尾5-19-4 SR広尾ビル1階
電話=03(5422)8851
営業時間=11時半〜13時半(L.O.)、18時〜21時(L.O.)
定休日=火曜日
※サービス料10%別途
デジュネ(1)
フランス料理
RESTAURANT ECLORE(レストラン エクロール)
シェフが毎朝市場で仕入れる
立地を生かした新鮮な魚料理

築地本願寺近くの路地裏に佇むレストラン。スープ、魚料理または肉料理、デザートの「サービスランチ」二千百円、これに前菜をプラスした「エクロールランチ」三千百五十円、「特選魚介コース」四千二百円の三コース。

ある日のエクロールランチの前菜は、「数種の貝類と彩り野菜のマリネ メリメロサラダ」。赤貝、トリ貝、ホッキ貝、帆立、蛤、ミル貝、青柳それぞれが精妙な火の通しで甘みを増し、大根、新生姜、人参などの野菜のギリシャ風マリネと調和する。

主菜は、「ホウボウのポワレ パスティス風味のサフランソース」。何よりも魚がおいしい。しっとりとした身を、パスティスの甘みとサフランの華やかな香りが盛り立てる。ビーツ、アスパラガスソバージュ、ホウレン草など野菜がたっぷり添えられる。

デセールは、洋ナシのタルト、フランボワーズのムース、キウイのソルベ、果物の盛り合わせ。

おいしい魚料理を食べたくなったら、ぜひお出かけを。

東京都中央区築地三の十二の十二 JKプラザ一階
電話=03(3545)6868
営業時間=11時半〜15時半(14時L.O.)、17時半〜23時(21時L.O.)
定休日=日曜日
※サービス料10%別途
デジュネ(1)
フランス料理
Le Coq(ル コック)
丹精に計算された食材と向き合った誠実な料理

胸がすくような清潔感に富む小体な店をご夫婦二人で営む。三千百五十円とおまかせ四千七百二十五円。三千百五十円は、アミューズ、前菜、主菜、デセールの四皿。アミューズ以外はそれぞれ数種から選べる。

ある日のアミューズは「スモークサーモン」。一センチ厚のサーモンは、しっとりとして、舌の上で鮭の脂が静かに溶けていく。数多くの店のそれより抜きん出ており、シェフの鮭へのいたわりを感じさせる逸品。

続いて、「鶏レバーとレーズンのパテ ポルト酒風味」。レーズンの甘みとポルト酒の香りと甘みがレバーを妖艶に持ち上げ、うっとりとなる皿。三者の均整が見事で精緻。

魚は、「マナガツオのムニエル」。マナガツオ特有の柔らかな甘みに、加熱によるたくましい香ばしさが加わり、添えた新玉葱の優しい甘みとの相性も見事。

肉は、「仔牛頬肉の煮込み サフランのリゾット添え」。仔牛肉がほろりと口中で崩れると、つたないゼラチン質がほどけていく。親牛と違って線が細く、柔らかな甘みがあって、野菜の優しき甘みと調和する。

デセールは、エクレア。シンプルながらシュー生地、苺、生クリームの構成がいい。

派手ではないが、丹精に計算された、静かに食材と向き合った誠実な比留間光弘シェフの料理が健やかな心を育んでくれる。

東京都渋谷区恵比寿西二の七の二 ウィンズビル一階
電話=03(3770)1915
営業時間=12時〜(デジュネは前日までの予約のみ)、18時〜22時(L.O.)
定休日=火曜日
※サービス料10%別途
デジュネ(1)
フランス料理
BISTRO EN BALLON(ビストロアンバロン)
昼に手軽に楽しめるまっとうなビストロ料理

西麻布の路地に店を構えるビストロ。赤のベンチシート、ワインセラーなどが配された店内はセンス良く、パリの香りが漂う。

アミューズ、前菜、主菜、デセールの二千五百円、前菜が二皿の三千二百円、主菜が魚料理と肉料理の二皿の三千八百円の三コース。それぞれ数種の料理から選べる。

ある日の三千二百円は、クミンが効いた「キャロットラペ」のアミューズに続き、「彩り野菜とクスクスのミックスサラダ」。インゲン、スナップエンドウ、サツマイモ、アボカド、トマト、ベビーリーフなど、瑞々しい甘みが弾ける新鮮な野菜とクスクスの組み合わせで軽快な気分になる。

続いて「ジャンボン・ペルシェ」。豚スネ肉、豚耳、豚足によるハムで、口の中で様々に弾む食感が楽しく、コラーゲンのうま味に富む。

主菜は「熊本産梅肉ポーク肩ロースのポワレ 粒マスタードのソース」。まさに噛む喜びに満ちた豚肉で、肉を食らっているという感覚が溢れ出す。キレのいい脂部分も魅力的。焼き野菜、エリンギのベニエ、アスパラガスソバージュが添えられる。

デセールは、シナモンの香りが効いた「パンデビス」や、バニラたっぷりの「グラス(アイスクリーム)」などがおすすめ。

まっとうなビストロ料理が、昼から手軽に食べられる楽しみを味わいにぜひ。

東京都港区西麻布一の九の七
電話=03(6438)9699
営業時間=11時半〜15時半(14時L.O.)、18時〜24時(22時半L.O.)
     ※土・祝の夜 〜23時(21時半L.O.)
定休日=日曜日
デジュネ(1)
フランス料理
BON CHEMIN(ボン シュマン)
フランス料理ならではの肉料理のエスプリに出合う

住宅街に佇む可愛いレストラン。花澤龍シェフの、誠実でいて、フランス料理へのこの上ない愛が伝わってくる料理が頂ける。

前菜、主菜、デセールの千八百九十円、アミューズ、前菜、主菜、デセールの三千百五十円、おまかせの六千八百二十五円の三種の中から、ある日の三千百五十円のコースを紹介。

アミューズは、香ばしく揚げられた「メヒカリのフリット」。続いての前菜は、「大目鮭のマリネ」。上質な鮭の脂にうっとりとなり、レモンムースとバジルのソースが調和する。添えられた新玉葱の甘みと麦の食感も見事。あるいは、前菜に「ブーダンブラン」を選ぶのもいいだろう。鶏肉と豚足によるソーセージで、両者のバランスが素晴らしい。コラーゲンの甘みと練り肉の深みが舌の上で崩れ、思わず顔が緩む。

主菜は、「千代幻豚のパイ包み焼き 青ピーマンソース」がおすすめ。熱々のパイを割ると、肉の甘い香りが立ち上り、頬張れば、豚挽き肉、フォアグラ、鶏レバーの競演が肉食い心を掻き立てる。それを、青く香り、内に秘めた甘みを出し切った青ピーマンの優しさがそっと支える。焼き切って、生地のうま味が出たパイも見事。こうしたフランス料理ならではの肉料理のエスプリに出合うと、なんだか無性に嬉しくなる。

東京都目黒区五本木二の四十の五 Beat一〇一
電話=03(3791)3900
営業時間=11時半〜14時(L.O.)、18時〜21時半(L.O.)
定休日=水曜日
※サービス料10%別途
二〇一一年開店の話題の店(1)
フランス料理
Restaurant L’asse(レストラン ラッセ)
郷土料理愛に満ちた
シンプルで美しいイタリア料理

五月にオープンしたイタリア料理店。シェフ村山太一氏は、イタリアの三ツ星レストラン「ダル・ペスカトーレ」副料理長出身。料理はコースのみ。郷土料理愛に満ちた、シンプルで美しい皿で構成される。サービスも実にスマートで心地よい。

昼は、「パスタランチ」が二千五百円、主菜も盛り込んだコースが四千二百円。

ある日のアミューズは、サクサクとして香り高い「白ゴマのクロッカンテ」。二皿目は、アルトアディジェ産スペック(生ハム)の濃厚な味わいと富士柿、北海道トマトの甘みを合わせた一皿。アンティパストは、素朴な味わいのバカラ・マンテカート(干しダラのペースト)に、ねっとりとしたエビ芋の甘みを合わせ、有機オリーブのリグーリア風トマトソース煮を合わせた一皿。

パスタは、「フェットチーネ 山形産黒毛和牛のボロネーゼ 二十四カ月熟成のパルミジャーノ・レジャーノ」。肉の甘みが膨らんだソースと、粉の甘みが伝わり噛みしめるのが楽しいパスタとの出会いの幸せを得られる。主菜は、肉か魚を選択。魚は「愛媛産真鯛と浜名湖産アサリのアクアパッツァ」。アサリの塩分だけで作られたスープは味が綺麗で、余韻が長い。シンプルながら食材の力を見抜き信じて作られた清々しさに溢れている。

ドルチェは、スペシャリテの「ティラミス」をぜひ。甘美で優しく、かつ力強さも秘めた、心を溶かすデザートである。

夜は、「技のコース」七千五百円と、「スペシャルなメニュー」一万五百円の二種。深々と充足のため息をつかせる「トルテッリ・イン・ブロード」、笑顔が止まらない「四種チーズのラヴィオリ」、食べ手にも誠実が求められるような深く澄んだ味わいの「アサリのリゾット」、肉汁に雑味なくうっとりとさせる「仔羊のローストと煮込み」など、名品が並ぶ。

目黒区目黒一の四の十五 ヴェローナ目黒地下一階
電話=03(6417)9250
営業時間= 12時〜15時(13時半L.O.)、18時〜23時(21時半L.O.)
定休日=日曜日
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