味の見聞録

カテゴリ:日本料理
割烹のお昼ご飯
日本料理
新宿・京懐石 柿傳
静謐な空間で懐石をいただく
大人の「心の道草」

 本格的なお茶事の懐石教室として江戸後期に始まり、以来、茶の湯文化と本格茶懐石を今に伝える「柿傳」。「新宿に大人の道草の場所を」という川端康成の言葉をきっかけに、新宿に開業し四十年余になる。

 ビルの六~九階の店舗の中、八階はテーブル席の客席があり、昼は四千円から料理を楽しむことができる。新宿の雑多な喧騒から遮断された静謐な空間で、座っただけで背筋が伸び、心が穏やかになっていく。

 なにより心配りが利いた半東さんのサービスが素晴らしく、どなたをお連れしても、清々しい印象を持たれるだろう。

 初夏の「雪コース」一万円をご紹介。

「先付」は、細かく切ったオクラとクコの実を散らした、大徳寺麩 ホタテ、ズイキの胡麻和え。それぞれの質朴な味わいに、懐石の心が沁みている。そのしみじみとしたおいしさにより、これから料理をいただくありがたみが湧き上がってくる。

「凌ぎ」は、干しコノコの細切りをのせた飯蒸し。椀の蓋を開けた瞬間、干しコノコの香りが立ち上がって、目が細くなる。一晩水に漬けたというもち米は、優しい甘みを忍ばせて、舌に丸い。

「温肴」は、長芋、人参、サヤエンドウ、かも丸(がん)(鴨の肉団子)に湯葉。だしの味わいを抱きしめながら、均一に滑らかに火が通った長芋、人参やサヤエンドウの香り、鉄分のたくましい滋味がこぼれるかも丸、湯葉の淡い淡い甘みなど、それぞれの持ち味が生かされていて素晴らしい。

「向付」は、 アオリイカと鯛、カンパチのお造り。ねっとりと甘いアオリイカ、質の高さを感じさせる鯛の香り、カンパチの品のいい脂を楽しむ。

 木の板にのせられた「八寸」は、 茹で海老、生姜を添えたメカブの酢の物、サツマイモのレモン煮、トコブシ、小メロン昆布〆。質素ながら、それぞれに意味のある味付けがなされ、色合い、味わい、食感が異なる五品を、じっくりと順に味わっていく喜びがある。

「煮物椀」は、鱧(はも)の葛叩きと玉子豆腐、つる菜の椀である。一口目は淡味なれど、次第に最後に向かって頂点のうま味を目指すつゆの素晴らしさ。鱧と葛の一体感。玉子豆腐の滑らかさ。つる菜の香り。正統煮物椀としての洗練した美しさがある。

「焼き物」 は、蓼酢(たでず)を添えた、鮎の塩焼きが出された。添え物は、 玉子カステラと獅子唐芥子にはじかみ。見事に香ばしく焼かれ、頭から骨ごと食べれば、鮎の命が口の中で爆ぜる。

「酢の物」は、 蟹、糸瓜、水菜、エリンギの辛子浸し。同寸に切って和えられた、仕事の光る和え物で、しっかり蟹の甘みが伝わってくる。

「食事」は、 生姜ご飯に青海苔と、赤だしのアサリ汁、香の物である。質朴な生姜ご飯に青海苔というのがいい。ご馳走をいただいた後に贅沢な食材を使った妙な色ご飯では、口も胃袋も疲れるからである。赤だしも香り高く、香の物も上等。

 食後をすっきりとした気分で迎え、「吉野スイセン」と銘打った冷たい葛きりをいただき、箸を置く。そして最後に運ばれてくる抹茶を静かに飲み、落ち着いた心を感じながら「ごちそうさまでした」と手を合わす。

 日々の忙しさから解放し、本来の自分の姿を取り戻す。現代人にとって最も必要な「心の道草」がここにはある。

東京都新宿区新宿3-37-11 安与ビル6~9階 
電話=03(3352)5121
営業時間=11時~14時LO(土日祝15時LO)、17時~20時LO(茶室19時半LO)  
年中無休(年末年始・夏期旧盆除く)
※税・サービス料別途
割烹のお昼ご飯
日本料理
乃木坂しん
本来の日本料理のあり方を貫く
注目の店で昼の贅沢を味わう

 昨年六月の開業以来、誠実な仕事が評判を呼び、着実にファンを増やしている注目の店。最近は、やたら高級素材を使い、人気を得ている割烹が増えているように思うが、「乃木坂しん」はそうした店とは一線を画す。

 旬を見つめ、野菜料理を大切にし、本来の日本料理のあり方を貫く。店主・料理長の石田伸二氏と、以前同じ店で働いていた、支配人兼ソムリエの飛田泰秀氏との絶妙のコンビネーションで、他の日本料理店とは異なる楽しみを与えてくれる。

 昼のコースは七千円から。初夏の料理は、白アスパラに、ミニ青梗菜と毛蟹のほぐし身をのせ、黄身酢をかけた「先付」から始まる。白アスパラガスのミネラル感、青梗菜のみずみずしさ、毛蟹の優しい風味がバランスよく抱き合い、黄身酢の丸いうま味でまとめられている。夏の到来を感じさせるおいしさである。

「煮物椀」は、椀種がうずら真薯餅包み、椀づまがジャガイモ、刻み茗荷、ミニアスパラである。一口飲めば、淡さの中に品格を感じる丸い味わいがすっと舌に流れる。また椀種が、最近ではあまり見なくなったうずら丸というのがいい。うずらの鉄分が品格あるつゆに溶けていく味わいが見事。

「お造り」は、カツオとアオリイカ。炙った藁火の香りが香ばしい、きめ細やかな身質のカツオ。隠し包丁が入れられた、ねっとりと甘いアオリイカは塩でいただく。共に、すこぶる上等。

「焼き物」は、イサキが出される。新玉葱の炭火焼きと卵の寄せ物、人参添え。はらりと崩れゆくイサキが甘い。

 続いては「アイナメ揚げ出し」。万願寺唐辛子と茄子、エリンギ、大根おろし添え。アイナメ自体のうま味、生命力を感じさせる一品で、食べればすっと背筋が伸びるような、誠実な味わいがある。

「食事」は、タコご飯に、店主の故郷徳島より、香り高い御前味噌の味噌汁と香の物。タコご飯は、炊いた干しダコとその煮汁でご飯を炊き、蒸らす際に生のタコを入れたものである。栗のような甘いタコの香りに満ち満ちていて、ほのぼのとしたおいしさが忍び寄る。

「デザート」は、ココナッツや和三盆を使ったゼリーや寒天を入れたフルーツポンチに、ライムとレモンのソルベ。

 カウンター七席。個室もいくつかあるが、ぜひカウンター席で石田・飛田両氏と会話を交わしながら、じっくりと昼の贅沢を味わいたい。

東京都港区赤坂8-11-19 エクレール乃木坂1階 
電話=03(6721)0086
営業時間=12時~13時半(LO)、18時~21時半(LO )  
不定休
※税・サービス料別途
今年話題の新店
日本料理
乃木坂しん 
優れた割烹の新星
地に足のついた安定感ある料理

 石田伸二料理長と、支配人兼ソムリエを務める飛田泰秀氏による割烹。これまで一流店で経験を積んでこられたお二人だけに、地に足のついた実質的な美味しさが漂う、安定感のある料理とサービスが光る。

 初夏のコースは、枝豆の風味がそっと滲み出る、なんとも優しい風合いの「水無月豆腐」で始まった。続いて、和え衣の甘みがピタリと決まった「茄子の白和え」。

「牡丹鱧椀」。旨味の芯がありながら味が丸い見事なつゆに、鱧の滋味が溶けていく。「吸い口」はなく、鱧に載せた梅肉とインゲンの「つま」だけというのも潔い。

 お造りは、極めて質の高いアオリイカとマコガレイ。イカは料理長お勧めの酢橘と塩で頂く。続いて、炙ってから割り醤油でヅケにしたメジマグロを、溶き辛子で。

「焼き八寸」。鱧の子と新牛蒡と新蓮根の卵寄せ、天竜川鮎の塩焼、いちじく胡麻ソース、タコ小倉煮、丸十(さつま芋)、蓴菜(じゅんさい)、茗荷。それぞれの味のあたりが素晴らしい。

 そして、酢橘ジュレを添えた四国三郎牛のヒレ肉の焼き物、冬瓜と石川芋の出汁ゼリー掛けと続く。

 最後は、見事な鰻の蒲焼と、炊きたての京都ヒノヒカリの白飯、上等な味噌汁と新香で有終の美を飾る。デザートは、スイカゼリーに塩アイス、わらびもち。

 昼五千円~、夜一万五千円~。本号が出る頃にはおそらく、香箱蟹や、蕪、頭芋などの根菜類が出されるだろう。飛田氏が勧める日本酒・ワインのセレクトも精妙。久々に出てきた、優れた割烹の新星である。

東京都港区赤坂8-11-19 エクレール乃木坂1階 
電話=03(6721)0086
営業時間=12時~13時半(LO)、18時~21時半(LO) 
定休日=不定休
割烹の昼膳(2)
日本料理
赤坂浅田
きめ細やかなサービスと
静謐な空間でいただく加賀料理

 金沢の名料亭の東京店。金沢から直送する素材を使った、繊細で華やかな加賀料理がいただける。お昼は、「昼会席」(七千三百五十円〜)や「加賀会席」(一万二千六百円〜)、「五段弁当」(六千三百円)の他に、お値打ちの料理も各種用意されている。

 おすすめは、「蕎麦ご膳」三千六百七十五円(平日・カウンター席限定)。

 まず運ばれるのは、お造りや焼き物、ご飯などが盛られたお膳。ある日のそれは、上質な魚ならではの香りに富む鯛とイカ、鮪のお造りに、品のある鰆の漬け焼き、玉子巻、蕗の煮物。小鉢には、香り豊かな蕎麦がき。そして、大ぶりのお椀には「鶏の治部煮」。金沢名物鴨料理を鶏肉に変えたもので、こっくりと味が染み込んだ肉やすだれ麩の味わいが、しみじみとおいしい。

 イワシ香梅煮やちりめんじゃこ、牛肉しぐれ煮なども添えられ、白いご飯がついつい進んでしまうが、この後に「汐露蕎麦」が控えている。

 清涼感ある蕎麦には、通常のかえしを使った「醤油露」と、利尻昆布と揚げ浜の塩を使った同店オリジナルの「汐露」が添えられる。この塩つゆで手繰る蕎麦がまた一興。蕎麦の香りを生かす。蕎麦湯を加えても滋味深い。

 デザートは「オレンジと苺のゼリー寄せ」。仲居さんのきめ細やかなサービスと、静謐な空間でいただく、贅沢な時間である。

東京都港区赤坂三の六の四
電話=03(3585)6606
営業時間=11時半〜14時(L.O.)、17時半〜22時(L.O.)
定休日=年末年始・お盆(土・日・祝は予約営業)
※サービス料別途
割烹の昼膳(2)
日本料理
京懐石 柿傳
京懐石の名店で堪能する
心晴れやかになる昼膳

 正統茶懐石をいただける名店。お昼は、「お弁当」五千二百五十円、各種懐石(七千三百五十円〜)もあるが、おすすめは、四千二百円で懐石コースを楽しめる「お楽しみランチ」(十五時まで)。

 ある日の献立は、先付が、大根おろしに染みた柿の甘みが程よい「柿なます」、白子の味がしっとりと広がる「雲子寄せ」。次が、きめ細やかな里芋と香り高い穴子による「里芋と穴子の炊き合わせ」。

 向付は、質の高さに唸る「鯛の松皮造りとシマアジのお造り」。醤油に浸けると脂がすうっと溶けゆく上質なお造りに、昼なのに酒を頼みたくなる逸品。

 次は、海老真蒸、芽かぶ、椎茸、柚子のお椀。なにより向付の味を切る、汁の熱さがよく、最後の一滴に向かって高まっていく味付けが素晴らしい。

 揚げ物は、「京人参と獅子唐の天ぷら、シャコの磯辺揚げ、鰆の真砂揚げ」。餅を乾かして砕いた、しんびき粉を使った真砂揚げの食感が楽しい。

 最後は、鯛の滋味がしみじみとおいしい鯛ご飯、蓬麩白味噌椀、香の物。沢庵や野沢菜など、香の物の一つ一つにも神経が行き届いている。そして、黒糖風味と生姜風味の干菓子と抹茶で締めくくる。

 背筋が伸び、心が晴れやかになる昼膳だ。

東京都新宿区新宿三の三十七の十一  安与ビル六〜九階
電話=03(3352)5121
営業時間=11時〜22時 
年中無休(年末年始・夏期旧盆除く)
※ サービス料別途
割烹の昼膳(2)
日本料理
金田中庵
上質の魚とご飯が一体となった
名物「三色半の東丼」

 名料亭「金田中」のカウンター割烹。

 珍しいのは、黄味醤油、生姜醤油、胡麻醤油に旬の魚の刺身を漬けにして、釜炊きのご飯にのせた、金田中庵名物「三色半の東丼」二千九百四十円。

 黄味醤油に漬けた鮪の赤身、生姜醤油に漬けたイカ、胡麻醤油に浸けた鯛の三色をのせ、さらに、例えばコハダやイクラなどその日の魚を配し、茗荷と紫蘇、小葱を散らした丼である。吟味された質の高い魚ならではのうま味が、炊きたてのおいしいご飯と渾然一体となる幸せはたまらない。

 新香、豆腐と三つ葉の赤出汁椀、野菜の炊き合わせ、黒蜜がかけられた峰岡豆腐も上等。一点の曇りなき昼膳である。

 その他、すっぽんスープと玉子を入れて蒸したご飯と、すっぽんの身を白玉で包んだ小鍋の膳「丸玉地ご飯」二千百円、ご飯の上に胡麻だれを絡めた天然鯛の刺身をのせ、出汁をかける「四つ椀 鯛茶漬け」二千六百二十五円、天然鯛のかまと牛蒡を甘辛に煮付けた「鯛のあら炊き」二千六百二十五円(数量限定)など、多彩な昼膳が揃う。

東京都中央区銀座七の六の十六 銀座金田中ビル二階 
電話=03(3289)8822
営業時間= 11時50分〜14時(L.O.)、17時半〜22時(L.O.以降のお客様のご都合に合わせて閉店)
定休日=日曜日・祝日
割烹の昼膳(2)
日本料理
霞庭まつばら
季節によって楽しみたい
大変お値打ちな「霞庭ご膳」

 西麻布の路地に建つビルの三階にあるカウンター割烹。

 「和牛ロース肉の重ね焼」や「銀だらの西京焼」といった千五百円で用意される定食や、「黒毛和牛のステーキご膳」、「旬のお魚の炭火焼ご膳」といった三千五百円のコースもいいが、おすすめは「霞庭ご膳」三千五百円(前日までに要予約)。

 ある日のそれは、先付として、程よい食感に固められた「湯葉豆腐の葛餡」。ウニ、菜の花が添えられる。次に「ホタテの磯辺揚げと紫蘇揚げ」。椀物は、食べ進むうちに口の中に濃いうま味が次第につのる「白子豆腐椀」。続くお造りは、厚みのあるサヨリと甘いアオリイカ、しっかりとした味わいの平目の盛り合わせ。

 そして盛り込みの弁当が出される。ハス、人参、牛蒡の炊きもの、揚げ海老芋、揚げコンニャク、茹で海老、出汁巻玉子、ホタルイカ酢味噌和え、銀だらの西京焼といった布陣。そこへ炊きたての釜炊きご飯と、ちりめんじゃこ、香の物が添えられる。デザートは、白いコーヒームースと果物。 

 旬の素材が盛り込まれ、季節によって楽しみたくなる、大変お値打ちな昼膳である。

東京都港区西麻布一の七の二 アデッソ西麻布三階  
電話=03(5772)5717
営業時間=11時半〜13時半(L.O.)、18時〜22時(L.O.) 
定休日=日曜日・祝日
割烹の昼膳
日本料理
唐井筒
すっぽん、魚、豚肉料理
バラエティ豊かなメニュー

すっぽん料理の名店。お昼は、実にバラエティに富んだ料理がいただける。

人気は「すっぽん雑炊」千五百円。深々とした滋味が広がるすっぽんのスープで炊かれた雑炊のおいしいこと。一口食べるごとに充足のため息が出て、体を芯から温めてくれる。また、「すっぽんお茶漬」千五百円もおすすめ。

八種類ある魚料理(各千百円)の中での人気は、「カレイの揚げおろし」。立派なカレイを一匹丸揚げにし、上におろしをたっぷりのせた逸品。揚げたカレイの香ばしさ、身肉の甘さと大根おろしの甘辛味、かけ汁のうま味が渾然となって、ご飯が進む。

「ニシンのオイル焼」は、焼いたニシンに、たっぷりの染めおろしをのせた皿。みっちりと卵を抱いたニシンの濃いうま味が、後を引く。

「ブリの七味味噌焼」は、焼いたブリに、七味を効かせた八丁味噌を上にのせた料理。脂が乗ったブリの身と、ピリッとした甘辛の味噌味がよく合い、これまたご飯が強烈に恋しくなる。

その他、ほろりとなるまで煮込まれた「サバの味噌煮」や、脂の乗った「鮭の梅肉ソース」、豚肉の甘みが滲む「豚角煮」千三百円など、銀座の真ん中で良心的な値段でいただける貴重な昼膳である。

いずれも、切り干し大根煮などの小鉢二品、香の物、味噌汁、ご飯、汁粉などのデザートが付く。

東京都中央区銀座7-6-19 ソワレド銀座弥生ビル地下1階 
電話=03(3571)0755
営業時間=11時半~13時半、17時半~21時(L.O.)
定休日=土曜日・日曜日・祝日(但し、10月~3月の土曜は17時~21時営業)
割烹の昼膳
日本料理
赤坂とゝや魚新
日替りで楽しめる
人気の焼魚定食

赤坂の裏路地に店を構える板前割烹。店内は隅々まで清潔感にあふれ、都心とは思えぬほど静か。昼の「焼魚定食」千八百九十円は、日替りで数種類用意される。

例えばある日は、「エボ鯛の塩焼」、「ブリの塩焼」、「ブリの照焼」、「サワラの塩焼」、「サワラの難波焼」、「ブリ大根」、「カマスの筒焼」といった、魚好きにはたまらぬ布陣。

塩焼は、的確な塩によって魚の穏やかな甘みが引き出され、焼魚の本質を知る。

珍しいところでは、「サワラの難波焼」がいい。分厚いサワラに、白味噌とネギの小口をのせて焼き上げた皿。甘いサワラの身に、白味噌の甘みとうま味、ネギの香気が加わって、ご飯が進む。

その他、皮は香ばしく、ふわりとした身の「スズキの塩焼」、うろこがバリッと焼き上げられた「甘鯛の塩焼」など、いずれも焼魚料理の醍醐味十分。

魚の皿には、昆布と鰹節の佃煮や、らっきょうの紫蘇巻などが添えられている。

いずれの定食にも、例えばワカサギのオイル煮など、小粋な日替りの先付に、香り高い赤出汁とご飯、香の物、さらにデザートが付く。

東京都港区赤坂5-1-34 
電話=03(3585)4701
営業時間=11時半~14時(L.O.)、17時半~21時半(L.O.)
定休日=日曜日・祝日
割烹の昼膳
日本料理
ぎんざ一二岐
食べる直前に焼き上げられる
名物「高知県産カツオの藁焼」

「高知県産カツオの藁焼」と、見事な釜炊きご飯で知られる割烹。お昼は、(1)「旬魚の焼物」千三百円、(2)「カツオの藁焼」千五百円、(3)「カツオの藁焼と旬魚の焼物」二千六百円の三種類。(1)はきんぴらなどの小鉢のあと、(2)(3)は「揚げゴマ豆腐」、「野菜の炊き合わせ」のあと、それぞれメイン料理が登場する。いずれも、ご飯、お椀、香の物、甘味付き。

「カツオの藁焼」は、どの時期に訪れても見事なカツオで、注文後に藁であぶられて登場する。醤油を使わず、塩とわさび、にんにくの薄切りをのせて食べれば、香ばしく、身が締まり、舌に鉄分の濃いうま味が広がり、思わず目を細めてしまう。

一方、ある日の焼魚は「鯛の西京焼」。身が弾けるようで、甘く、味噌の塩梅がほどよく効いて、ご飯を呼ぶ。
そのご飯は、炊き立てで実に香り高く、艶々と光り、優しい甘みがあり、ついおかわりしてしまう力がある。

東京都中央区銀座2-14-6 第二松岡ビル地下1階 
電話=03(6278)8110
営業時間= 11時半~13時半(L.O.)、17時半~21時半(L.O.)
定休日=日曜日・祝日(月曜は夜のみ営業。月曜が祝日の場合、日曜営業で月曜が休み)
割烹の昼膳
日本料理
日本料理 三亀
旬の素材に丁寧な仕事が光る
刺身、焼魚、煮魚が揃う

昭和二十一年創業の割烹。渡辺淳一の小説に登場したことでも知られる。

昼定食は日替りで刺身、焼魚、煮魚が用意され、一品なら千三百円、二品なら千九百五十円、三品なら二千六百円。煮物、ご飯、香の物、味噌汁、季節の果物付き。

ある日の刺身は、ほんのりと飴色がかった「ヒラメのお造り」、焼魚は、ヒレを立て、さあ食べろとばかりに食べ手を煽る「イサキの塩焼」。ヒラメは甘みがあって質の高さを感じさせ、イサキは大胆な塩によって持ち味が余すことなく引き出されている。またある日は、鉄分と脂が程良く合わさった「メジマグロのお造り」と、甘い「タカベの塩焼」。また別の日は、切れ味の良い上品な脂が乗った「メジマグロの中トロ」と、魚の味を生かした、こっくりとした甘さの「マナガツオの照焼」といった布陣。

いずれも吟味された旬の素材が、割烹ならではの包丁の冴え、塩加減、的確な火の通しによって生き生きと映える、清々しい定食である。

また、添えられる、おからなどの小鉢、艶々と光るご飯、香の物、大根のつま、根三つ葉と豆腐などの旬の種による味噌汁、季節の果物、食前のお茶といった脇役陣も手抜きなく、丁寧な仕事が光っている。

東京都中央区銀座6-4-13 KNビル1階  
電話=03(3571)0573
営業時間=12時~14時、17時~22時
定休日=日曜日・祝
二〇一二年前半オープンの話題の店(2)
日本料理
銀座しまだ
高級食材も手頃にいただける新スタイルの立ち飲み屋

今年一月に開店。銀座路地裏にひっそり佇む、新スタイルの立ち飲み屋。料理長は、麻布十番「幸村」出身ゆえに、割烹料理の流れを汲む皿も多く並ぶ。

まずは五百円で用意される小鉢類が嬉しい。おひたし、きんぴら、大根煮、ポテトサラダ、フィッシュカツ、ニシンなど、いずれも丁寧な仕事による、きれいな味の惣菜が心を開く。

黒板の日替わりの品書きには、「ばちこそば」六千円といった高額な料理もあるが、他は八百円〜千八百円。「鱧の落とし」や「松茸焼き」といった高級食材も、真っ当な味わいで千八百円と手頃にいただける。

ある日のおすすめは、蟹の風味が口一杯に広がる「ズワイガニコロッケ」千四百円、甲殻類の滋味に伊勢エビの卵とたっぷりのウニが加わった「伊勢エビのジュレ」千六百円、肝ソースが添えられた「アワビの酒蒸し」千六百円、薄味に炊かれた大根とじっくり味を含んで煮込まれた牛スジを合わせた「牛スジ大根」八百円など、予算と腹具合に応じ、気ままに頼むのも楽しい。

締めには、ふわりとからすみ粉がかかった「からすみそば」をぜひ。

四人掛けボックス席も一つあるが、予約は一ヶ月以上先まで埋まっている。

東京都中央区銀座8-2-8 高坂ビル1階
電話=03(3572)8972
営業時間=17時〜23時(L.O.)
定休日=日曜日・祝日
二〇一一年開店の話題の店(1)
日本料理
日本料理 晴山
店主のおもてなし精神を深々と感じる誠実な日本料理

六月の開店以来、連夜満席の人気割烹。ご主人の山本晴彦氏は、岐阜の名店「たか田八祥」出身。若干三十一歳ながら誠実で明るい人柄に、初めて訪れた人でもすんなりと入り込み楽しむことができる。八席のカウンターと、四人掛けの個室と八人ほど入る小部屋。夜のコース料理は、七千円、一万円、一万五千円の三種。いずれも八皿+デザートで、食材の内容が変わる。

ある晩秋の日の一万円コースは、突出しに「とんぶり・焼き茄子・新イクラ・長芋の和え物」。茄子の甘みと新イクラの優しい食感に目を細める。お椀は「渡り蟹の真丈と椎茸」。関西の吸い地より濃いが、蟹の旨みを抱いた真丈との調和がよく、心がすわる。お造りは「ヒラメ 雲丹」。厚く切られたヒラメは弾けるような食感ながら、充分に旨みが醸し出されている逸品。

「焼きカマスの寿司・イカのワタ和え・ホオズキトマト」は、香ばしい寿司が胃の腑を落ち着かせ、ワタで酒を呼び、トマトの酸味と甘みでさらに食欲を刺激する。岐阜出身ならではの「サワラの朴葉焼き」は、朴葉味噌が何とも塩梅よく、濃すぎず緩すぎない丸い味で、しっとりと焼き上がったサワラに浸ければ、笑みがこぼれる。

六皿目が、たか田八祥名物「ジャガ芋のハリハリ」。細く切ったジャガ芋を加熱し、トビコをまぶしたもの。芋の食感を残した火の通し、トビコの塩分具合、油の香り、各々がぴたりと着地している。何気ない料理に込めたおもてなし精神を深々と感じる。そして、ねっとりと甘い「蓮根饅頭」と続き、締めは、浜名湖の青海苔を使った「出汁茶漬け」。デザートは「無花果のコンポートにシャインマスカット」。

いずれも大向こうを狙った派手さはないが、修業先への愛情が滲む誠実な料理に、充実した時間が過ごせよう。

港区三田二の十七の二十九 グランデ三田地下一階
電話=03(3451)8320
営業時間= 12時〜15時(13時半L.O.)、17時半〜23時(21時半L.O.)
定休日=月曜日
東京ディズニーシー
日本料理
レストラン櫻
和食をベースとした料理の数々
厳選した日本酒とワインが自慢

アメリカンウォーターフロントにある、キッコーマン提供の和食店。”チャーリー田中という日系二世がフィッシュマーケット跡に開いた店“で、高い天井に渡る鉄骨梁や各種看板、漁師が使う道具や氷の入ったバケツなど、趣向ふんだんで飽くことがない。メインダイニング奥、行き交う船を眺められるテーブル席も魅力的。

まずは、「チャーリー特製味噌クラムチャウダー」五百八十円はいかが。アサリのうまみとベーコンの香りが出た上質なチャウダーに味噌をほんのり効かせて、郷愁をあおる。この日の、本日の魚料理「メダイの唐揚げおろしソース」千八百八十円は、カラリと揚がった魚に、濃すぎないソースがかかって、ご飯が進む。付け合わせの野菜類もおいしい。ご飯、小鉢、赤出汁、香の物付き。そのほか、「鶏の照り焼き、彩り野菜添え」千七百八十円、「豚ヒレ肉のカツレツ」二千円、「海鮮ちらし寿司」千八百八十円、「ステーキ重」二千二百円など。アルコールあり。こちらも人気店。

東京ディズニーシー内
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