味の見聞録

月間アーカイブ:2012年04月
そば割烹
そば
みや野
酒が進む見事な料理と甘みと力強さ、香りに満ちたそば

古民家風の趣のある店内には、夜な夜なご主人の宮野晋さんが作る料理に魅せられた人たちが集う。

ある日のコース(七千三百五十円)は、妖艶な味わいの「酔っ払い香箱蟹」に始まり、海の野味と呼びたい逞しき味わいの「メジナの焼き霜作り」。脂が上品に乗った甘鯛を使った「かぶら蒸し」、青海苔がけのなまめかしい「〆サバ」へと続く。

もうこれだけで各種揃えられた銘酒の数々が空くが、畳み掛けるように、命を噛みしめる旨さに唸る「白子の生刺し」、春の近づきに心和む「えんどう豆の葛寄せ」と続き、さらに、日本酒の次に赤ワインを所望したくなる猛々しい味わいの「鴨の燻製」に「そばがき」。このそばがきは空気がふんだんに含まれ、噛むと香りだけを残し、淡雪のように消えていくそばのムースだ。これを、一緒に出される「オリーブ油と天日塩」「たまり醤油と柚子胡椒」でいただく。

そして、そば。第一陣の「自家製唐墨とわさび菜のフェットチーネ風幅広麺のそば」は、オリーブ油と塩で。二陣は極細の「せいろ」。いずれも穀物としての甘みと力強さ、草のような香りに満ちた素晴らしいそばだ。

東京都杉並区阿佐谷南一の三十五の二十三
電話=03(3315)0535
営業時間=希望予約時間(完全予約制)
定休日=定休日なし
そば割烹
そば
流石 はなれ
てらいのない料理の流れが
心地よい、そば懐石

住宅街にひっそりと佇む、そば懐石の店。カウンターのみで、目の前には石臼が三台、ご主人一人で作り接客する。六千三百円のコースのみ。

ある日のコースは、「突出し」がそば味噌、「お凌ぎ」は釜揚げそばが小椀で出される。熱々のそばはむちむちとした食感で小気味よい。次の「盛り込み」は、桜海老のおから、玉子焼き、芋がら、梅ジャコの構成。

続く「そばがき」は、ほんのり緑がかった薄灰色の色合いが美しい。挽き立てで作られたそれを沖縄の塩で食べれば、ナッツ香に似た甘い香りが口腔いっぱいに広がる。

「松前漬け」の後に、惣菜三皿。柚子皮を大根で巻いて干して甘酢に漬けた「柚子巻き」と、「鴨のじぶ煮」「油揚げと青菜の煮びたし」。自然なてらいのない料理の流れが心地よい。次は、鶏ササミ、しめじ、春菊、人参、芹、大根とそばによる「そばサラダ」。そばと共に食べると、不思議と野菜の甘みが生きてくる。

そして、そば。お客の数だけ目の前で挽き、こね、のし、打つ。第一陣は「花巻そば」。海苔の香り、甘みと、そばの甘みが溶け合う。つゆは旨味が強すぎず、穏やかな気分になる。二陣は「せいろ」。野趣を感じる香り、胸を開くような清々しさ、穀物を感じさせる素朴な甘み、ねちっと歯を押し返すコシが素晴らしい。そば湯も香り高く、幸福の気分を高めてくれるは必至。

東京都中央区湊三の十三の十五
電話=03(6228)3870
営業時間=18時〜(できれば予約は前日までに)
定休日=日曜日・祝日
そば割烹
そば
有いち
吟味した質の高い季節の素材に
きちんと仕事がなされた心憎い皿

吟味した季節の食材を心憎い皿に仕立てた、酒飲みにはたまらない一品多し。コースでもアラカルトでも気軽に楽しめる。

ある日の八千四百円のコースは、心を落ち着かせ、喉を開き、胃袋を目覚めさせる「湯葉汁」から始まり、「白子豆腐」「知多半島の天然トラフグ刺身」と続き、酒のペースが次第に上がる。「お造り」は、〆サバ、ヒラメ、巻海老で、いずれも上質。

そして、真骨頂の「盛り込み」だ。岩海苔とサザエの肝和え、雲丹、こごみ胡桃和え、赤貝と山独活と三つ葉のぬた、墨イカの唐墨焼き、帆立入り出汁巻き玉子、紅白ナマス、鯖寿司、蕗と才巻海老と筍の炊き合わせ、子持ち昆布、きんかん。どれも素材の質が素晴らしく高く、仕事がきちんとなされていて、「お客様に少しでも非日常を味わってほしい」という思いがこの盛り込み料理に込められている。

次に、「飛龍頭椀」「真魚鰹西京焼き」「ほうれん草としめじのおひたし」「冬野菜と鴨肉のココット焼き白味噌風味」と続き、自家挽き手打ちそばの「ひやかけそば辛味大根添え」で締める。そばの清々しい香りに喉が喜びながら、充足したひと時を終える。

東京都杉並区上荻一の六の十
電話=03(3392)4578
営業時間=17時半〜23時
定休日=日曜日(月曜日が祝日の場合は休み)
そば割烹
そば
大庵
洋風肴から季節の変わりそば、
酒類まで豊富に揃う充実メニュー

新宿でそばと酒を楽しむなら、俄然おすすめ。人気店で連夜盛況。できれば要予約。

まずは、「季節の盛り合わせ」から頼んではいかがか。ある日のそれは、素朴な味わいのそばがき蓮根やたたき牛蒡、ニシン甘辛煮、胡桃味噌、鶏のたたき、大学芋など。豊富に用意された日本酒や焼酎、ワインで、とっくりと楽しむことができる。

また「勘八」千三百六十五円をはじめ、お造り類も十分に吟味していることを感じさせる質の高さで、たっぷりと盛られる。「焼き筍」八百四十円は、かえしに一晩浸けて、その甘辛味と香ばしさが加わり、一層酒が進むこと必至。

「そばがき」「出汁巻き玉子」といったそば屋の定番肴から、炭火焼きや揚げ物、さらに「京都丹波産 鴨ロースのカルパッチョ」八百四十円や「そば粉の自家製ニョッキ(しそバター風味)」七百三十五円といった洋風肴まで幅広く楽しめる。

百パーセント国産の玄そばを石臼で粗挽き自家製粉したそばは、細打ちでエッジの立った「せいろ」七百八十八円と、太打ちで挽きぐるみ(全層粉)の「田舎せいろ」八百九十三円とあり、いずれも穀物のねちっとしたコシがあり、甘みがにじみ出る。おかわりは二百円安くなるので、ぜひ両方試されたい。季節の変わりそば「バジル切り」九百四十五円や「はまぐりそば」千五十円など、その他のそばも魅力的。

東京都新宿区新宿三の三十六の六 大安ビル二階
電話=03(3352)5113
営業時間=11時半〜14時半(土・日・祝 12時〜15時)、17時〜23時半(日・祝 16時半〜22時半)
定休日=年中無休(月曜の昼のみ休み)
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