味の見聞録

月間アーカイブ:2013年02月
とんかつ新時代(1)
とんかつ
成蔵
何もつけなくてもおいしい
豚肉の旨み充分のとんかつ

ジャズのBGMが流れる、とんかつ屋とは思えない店内は、油臭さなど微塵もなく、清潔感に富む。若きご主人は、新橋の名店「燕楽」出身。修業先の技を受け継ぎながらも、低温から徐々に温度を上げながら揚げる、現在のやり方にたどり着いた。

昼に初めて訪れるなら、「ロースカツ定食」千円(夜は千三百円)をぜひ。都内で食べられる千円のとんかつ定食の中では、肉の質と量、脇役ともに群を抜いている。旨み充分のとんかつは、何もかけなくともおいしい。

さらに真骨頂が、リブロースを使った百七十グラムの「上ロースかつ定食」千五百円(夜は千八百円)だ。

しっとりと汗をかいた肉の断面は、淡いロゼ色で、なんとも艶っぽい。口に運べば、薄い狐色の中粗の衣がサクッと音を立て、きめ細かい肉質に歯が入っていく。途端、ほの甘い肉汁がこぼれ、なんとも幸せな気分となる。

甘い香りを含んだ脂も、引き締まりながら、さらりと舌から消えていくキレの良さ。毎朝市場で厳選して買い付けるという肉は、軟らかいながら、噛んで肉のジュースをあふれさせる喜びがある。端の部分もしっとりとして上等の揚げ上がり。

まずは何もつけずに食べ、次は塩で、豚肉の甘みを堪能する。最後に自家製ソースをかけて、ご飯を掻き込むのがいい。

また、盛り付けられたキャベツは、細く、甘く、みずみずしい(お代わり百円)。具だくさんの豚汁も、沢庵、大根、キュウリ、キャベツという布陣のお新香も、ご飯もおいしい。

甘みがプリッと弾ける大きな「エビフライ定食」千二百円、百八十グラムの「シャ豚ブリアン(特ヒレ)定食」二千百円(夜は二千四百円)、優しい肉の甘みと脂の旨みに陶然となる「あぐー豚のロースカツ定食」(入荷時のみ)も、ぜひ試されたい。

東京都新宿区高田馬場1-32-11小澤ビル地下1階
電話=03(6380)3823
営業時間=11時〜14時、17時半〜22時(21時L.O.)
定休日=火曜日
とんかつ新時代(1)
とんかつ
ポンチ軒
「特ヒレの一本揚げ」はじめ
とんかつ好きが唸る品書き多数

「ぽんち軒」は、一説によればとんかつを名乗った元祖とされる、今はなき上野の店。初めて厚切りのとんかつをディープフライにしたともいわれている。その店名を名乗るように、並々ならぬ、深いとんかつ愛に満ちた店だ。

料理人は、両店とも惜しまれつつ閉店した、恵比寿の名店「かつ好」の佐藤貞夫氏と、赤坂のこれまた名店「フリッツ」料理長橋本正幸氏による強力タッグである。

この店ならではのおすすめは、「特ヒレの一本揚げ」単品:四千二百円。五百グラムのヒレ肉を二十五分かけて揚げ、登場する。甘く誘惑するような香りは、ほかのヒレカツでは出会えない。ヒレ肉にこんな魅力的な香りがあることに、驚くは必至。しかも肉はしっとりとしてほの甘く、衣の油切れがいいので、大食漢なら一人でもいけるが、三人くらいで食べ分けるといい。

一方、「特ロースかつ」(単品:千七百円、定食:二千百二十円)は、カラリと香ばしく、断面が肉汁で艶やかに輝く。食べれば、肉がきめ細かく、噛みしめるごとに豚肉の甘みが滲み出る。ロースかつは、甘辛さが際立つとんかつソースよりウースターソースの方が、豚肉の甘さを際立たせる。また複雑味を持った塩も素晴らしい。

衣は粗目だが、ザクッという食感ではなく、ふわりと軽やかに揚げられている。

別添えのキャベツも甘く、この店特有のウースターソースをかければ、何皿もお代わりしたくなる。輝くご飯、根菜の香りが溶け込んだ豚汁ともに素晴らしい。

そのほか、ローススライスを巻いた「ポンチかつ」(単品:千百円、定食:千五百二十円)、脂を取り芯部のみを使った、肉の旨みたっぷりの「しんロースかつ」(単品:二千円、定食:二千四百二十円)など、とんかつ好きを唸らせる品書き多数。

〆には、丁寧に作られた「かき氷」五百二十円をぜひ。

東京都千代田区神田小川町2-8 扇ビル1階
電話=03(3293)2110
営業時間=11時15分〜14時半(L.O.)
     17時半〜21時半(L.O.)
定休日=日曜日
とんかつ新時代(1)
とんかつ
イマカツ
香ばしい揚げ油の香り
脂身と肉の甘みのバランスが見事

黒を基調とした、モダンな内装。夜は、「枝豆」や「山芋のとんぶり和え」などの軽いつまみもあり、かつの前に焼酎や日本酒で一杯やるのも楽しい。

おすすめは、「特選ロースかつ膳」二千円。

まず口にして感じるのは、揚げ油の香ばしさである。ラードとヘットをブレンドした油は、パン粉と出会って、バターのような甘い香りを漂わせ、もうそれだけで気分が晴れやかになる。

次に肉を食べて感じるのは、脂身の軽さと香りの良さだ。「ロースかつ膳」千四百円でもその魅力は感じるが、特選はより強く、肉自体の甘みと相まって、思わず顔が崩れるは必至。

サクッと音が響く香ばしい衣は、中粗より細かく、肉とのバランスもいい。

また、キャベツはみずみずしくて甘く、このおいしいキャベツがお代わり自由なのも嬉しい。

二種類添えられるソースは、やや甘みが勝ったもので、ご飯は進むが、豚肉の味を堪能したい向きは、店の人にすすめられるように、塩でとんかつを食べ進む方が肉を活かすだろう。

ご飯も上等。かつ膳につくご飯もいいが、夜であれば、土鍋炊きご飯(「魚沼ロマン」など四種類。一合八百五十円〜九百五十円で二合より)を注文することもできる。炊き立ての、甘く香るご飯は、とんかつ屋のご飯としては最上級である。

スペシャリテの「ささみかつ」は、身が厚く、しっとりとしてほの甘く、ささみかつという料理の素晴らしさを見直す逸品。一本から頼めるので、ぜひ追加を。そのほか、ジューシーな「手作りメンチかつ膳」千二百円もおすすめ。

東京都港区六本木4-12-5フェニキアルクソス1階
電話=03(3408)1029
営業時間=11時半〜16時
     18時〜23時(22時半L.O.)
定休日=日曜日・祝日
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