味の見聞録

月間アーカイブ:2013年07月
うなぎ特集(1)
うなぎ
石ばし
軟らかく、優しい甘みが滲み出る
艶やかな「うな重」

明治四十三年創業、戦後現在の地に移る。堂々たる煉瓦塀の一軒家で風情がある。テーブル席と座敷席があり、どちらでもゆったりと食事を取ることができる。

うな重は、目方違いで、「並」三千円(テーブル席のみ)、「上」三千五百円、「特上」四千五百円の三種類。並でも十二分に鰻の醍醐味を味わえるが、ぜひ「上」を。注文が入ってから蒸し、焼くので四十分は待つが、やはり鰻屋はその覚悟で出かけたい。

朱塗に金菊があしらわれた艶やかなお重の蓋を取ると、ふっくらとして輝いた鰻が現れる。うっすらとついた焦げ色が食欲をそそり、箸を入れれば軟らかく、噛むと優しい甘みが滲み出る。タレは甘口ながら切れがよく、鰻と穏やかになじんでいる。ご飯は硬めで、タレとの相性も素晴らしい。

肝吸いは淡く、うな重の味を邪魔せず、飲み進むうちにうま味が増していく。新香は奈良漬け、キャベツ、沢庵、胡瓜で、味を一旦リフレッシュする奈良漬けの役割が大きい。また、器に入れられた山椒は非常に香りが高く、これ一つとってもこの店の志の高さがうかがえる。

夜は、ざる豆腐 、突出し 、鰻茶碗蒸し 、御刺身 、鰻一品 、うな重(香物・肝吸い付き)、デザートのコースが一万千円から(白焼きプラスで一万三千円)あるので、座敷で楽しむのもいいだろう。

東京都文京区水道2-4-29
電話=03(3813)8038
営業時間=【平日】11時半〜13時半(L.O.)、18時〜19時半(L.O.)
     【土】11時半〜14時(L.O.)、17時半〜20時(L.O.)
※要予約
定休日=日曜日・月曜日・祝日・土用の丑の日
うなぎ特集(1)
うなぎ
安斎
鰻、タレ、ご飯、三者の幸福を
噛みしめる「うな丼」

一時閉店していて、多くのファンを心配させたが、二〇一一年に再開した。一階がテーブル席、二階に三卓の座敷席がある。風情ある二階でぜひ。

鰻は注文をしてから出来上がるまで三十分ほど待たされるが、それもまた鰻屋の楽しみ。運よく「きも焼き」五百円か「ひれ巻き」四百円があれば、それをつまみに酒を飲みながら待つのもいい(予約をすれば時間に合わせて焼いてくれる)。

こちらは「うな丼」一筋。三千円一種のみ。季節の素材が入った吸い物と香物付き。

丼の蓋を開ければ、焦げなく、飴色に輝いた鰻が現れて、息を飲む。箸を入れれば、力を入れることなくすっと皮まで切れる軟らかさである。

ふわりと舌に乗って甘い脂とタレが絡み合って溶けていく。しかし、ただ軟らかいだけではない。身にきめ細やかさがあって、噛みしめる旨さもあり、噛んでいくと繊細な甘さも滲み出る。

甘辛いタレは切れよくべたつかない。ご飯も硬めで上等。鰻、タレ、ご飯、三者の幸福を噛みしめる。

「白焼き」三千円は、鰻の香りに満ち、醤油をつけることによって、鰻の甘みが膨らむ面白さを味わえる。

東京都杉並区荻窪4-12-16
電話=03(3392)7234
営業時間=11時半〜14時(13時半L.O.)
     17時半〜20時(19時半L.O.)
定休日=不定休
うなぎ特集(1)
うなぎ
小満津
万遍返しで焼き上げられた
美しく、存在感ある「うな重」

かねてより名店と知られるが、さらに円熟味を増した「うな重」が素晴らしい(予約をすれば時間に合わせて焼いてくれる)。

まずは、「やきとり」一本五百円を一度食べてみてほしい。肉汁に富みながら、しっかりと焼かれた鶏肉は、質もさることながら、この店のご主人が焼く技に秀でていることを感じさせる逸品である。

もう一品、うな重の前にぜひおすすめしたいのが、「白焼き」四千三百円。ふっくらと香ばしく焼き上げられ、わさびが盛られている。箸ですっと切れる軟らかさだが、鰻本来の野味と香りがあって、甘く溶けゆく脂と相まって陶然となる気分を呼ぶ。

そして、うな重は「竹」四千円、「梅」五千円(一匹半)で、肝吸い付き。何回も串を返して焼き上げる「万遍返し」で焼かれた鰻は、焦げが一点もなき美しいお姿。

食べればふわりと舌に着地する軟らかさながら、しっかりとした存在感があり、本来の甘みが滲み出る。が、鰻が突出することなく、鰻、タレ、ご飯が三位一体となって共鳴する味わいは、「小満津」ならではの仕事である。ゆえに食事後の充足感が深い。

上質な新香は、胡瓜、瓜、人参、蒟蒻。肝吸いも淡く、うな重をそっと持ち上げる。

お通し盛り合わせ、玉子料理、やきとり、白焼き半分、うざく(酢の物)、うな重「竹」(又は蒲焼き)、デザートの九千五百円のコースもある。そのほか、珍しい「うなぎ天ぷら」三千五百円もおすすめ。

東京都杉並区和田3-62-3
電話=03(3315)1575
営業時間=11時半〜14時(L.O.)、17時〜20時(L.O.)
定休日=月曜日
うなぎ特集(1)
うなぎ
うなぎ はいばら
築地場外の人気店
肝焼き付き「うな重」

活鰻の小売と卸を手がける、榛原鰻販売の直営店。鰻の高騰が続き、各鰻屋さんも値上げせざるを得ない状態が続く中、築地場外で比較的手頃に鰻が食べられるとあって、近隣で働く人や観光客で連日盛況、昼時には列もできるほどである。常に満席で、次々と焼き上げているため、待ち時間が短いのがうれしい。

人気の「うな重」は、「梅」二千円(吸物・新香付き)、「竹」二千五百円、「松」三千円(「竹」「松」は、肝吸い・新香・肝焼き付き)の三種類。

なかでも、肝焼きが付いた「竹」と「松」がおすすめ。ビールを頼み、肝焼きで一杯やってからうなぎを食べるもよし。肝を串から抜き、山椒を多めにかけて、ご飯と混ぜて食べるも一興。さまざまな楽しみ方ができる。

なお、築地本願寺近くに持ち帰り専用の1号店がある。

東京都中央区築地4-13-16
電話=03(3546)6669
営業時間=10時半〜14時(L.O.)
定休日=日曜日・祝日
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