味の見聞録

月間アーカイブ:2014年12月
魚のおいしい店
ポルトガル料理
マル・デ・クリスチアノ
珍しい魚が揃う
魚食王国ポルトガル料理

 九月に開店したポルトガル魚介料理の店。  

 ポルトガルは魚食王国。日本人と近い感覚を持っており、鰯や干物などを常食する。

 オーナーの佐藤幸二氏は長年全国の漁港を回り、各漁連とネットワークを作ってきた。その中で、有名な魚だけが流通に乗り、おいしいのに無名な魚は売れずに、非常に廉価で地元で消費されたり、破棄されたりする現状を少しでも改善できればと、この店を作ったという。そのため、ヤガラ、ブダイ、メジナ、ハガツオ、金時鯛、コロダイ、フカ、連子鯛、キビレ、天狗鯛など、メニューには他の料理店ではあまり見かけない魚の名前が登場している。

 ずらりと並ぶメニューの中で、前菜のおすすめは、対比的な鮪の鉄分と玉子の甘みが見事に出合う「鮪の血合いと白身多めのスクランブルエッグ」、イカの純粋な甘みが濃く出た「イカと自家製ベーコンのイカスミ煮込み」、クリーム状にした干し鱈がクレープの中でトロリと甘い「バカリャウのクレープ」、焼いた鯖の香りとタルトの香りが合う「鯖タルト」、干し鯵の練れた塩気がスープに滲み出てしみじみと旨い「干し鯵の煮込み」など。

 主菜では、常時十二種類ほど用意される「魚の炭火焼き」を是非。焼いてこそ旨いハガツオの醍醐味などを実感できる。あるいは、ソーセージと魚介の旨味、豆の甘みが混沌と混じり合った「魚介と自家製チョリソのフェイジョアーダ」、豚と蛤の滋味が絶妙に響き合う「ポルトガル風リゾット」、ソーセージや魚、ムール貝のすり身や生ハムなど様々な旨味が混じり合った「フランセジーニャ」など、かの地の民族の知恵と日本の魚が出合った美味に笑みがこぼれる。

 「人参とオレンジのポルトガル風サラダ」、「赤玉葱と香草サラダ」、「大根餅の炭火焼き」といった野菜料理も秀逸。ワインも「ヴィーニョ・ヴェルデ」などを中心に廉価

東京都渋谷区富ヶ谷1-3-12 サンシティ富ヶ谷4階 
電話=03(6804)7923
営業時間=18時?24時(L.O.)
※日・祝は18時?23時(L.O.)
定休日=月曜日
魚のおいしい店
和定食
智映
魚の本質を見抜き、
独自の調理法でシンプルに活かす

 女性料理人、北山智映氏が営む割烹。明石浦漁港で水揚げされた魚介を中心に、吟味した素材を、独自の調理法でシンプルに活かす。それぞれの魚の本質を見抜いた料理に驚くは必至。一万円、一万五千円の二種類のコースがある。

 九月末のある日のコースは「小鯖の刺身」から始まった。塩と煎り酒をまぶした小鯖から香る青い香りと、それに合わせてあるルッコラが見事に共鳴している。

 「マナガツオのきしめん仕立て」は、マナガツオの刺身をきしめん状に切り、熟成の進んだ自家製海老醤油を合わせていただく。マナガツオの淡白な味わいが海老醤油で引き締まり、なんともおいしい。

 続く「明石鯛の刺身」にも、醤油ではなく、煮た香茸が添えてある。鯛の刺身を食べ、続いて茸を食べれば、澄んだ海と山の滋養が一つになって、おのずと恵みに感謝をしたくなるような感情が湧いてくる。

 次に「焼きいちじく」。醤油を塗って焼いただけであるが、皮が野菜のように青々しく、対照的な果肉の甘さがさらに引き立つ。
次は「太刀魚のかき揚げ」。船の上で漁師が神経締めをしたという、明石浦漁港の希少な魚である。食べれば、太刀魚の優しい甘みと玉葱の甘みが舌の上で手をつなぎ、笑顔を呼ぶ。
次が「鱧と茸類のすき煮」。天然のイッポンシメジや初茸、ホウキ茸などと鱧を煮てある。山と海の豊饒が溶け込んで、しみじみと旨い。茸の香りをまとった鱧が、本来持っている野性を引き出されたような、これまで知っていったのとは違う顔を見せる。

 そして「ミズの醤油漬」と続いて、ご飯。ここで、通常は武藤啓司氏の握り鮨が五種類ほど出されるのだが、この日は不在のため、「イサキ飯」。塩焼きしてほぐしたイサキと自家製蓼酢がご飯に混ぜ込んである。イサキの草のような香りと蓼の香りが協調し、ご飯の甘みに寄り添う。見事な出合いに唸る。

 この他、ドウマンガニの黒糖醤油煮や、黄肌鮪にササシメジを組み合わせて互いの酸味を響き合わせたり、スッポンのスープに岩手のひっつみを入れたり、長葱のオニオングラタンスープ風に鱧と松茸を合わせるなど、変幻自在の料理が揃う。

東京都中央区銀座7-7-19 二ューセンタービル地下1階 
電話=03(3573)7022
営業時間=18時?21時半(L.O.)
定休日=土曜日・日曜日・祝日(応相談)※要予約
魚のおいしい店
イタリア料理
ボガマリ・クチーナ・マリナーラ
ショーケースにずらりと並ぶ食材を
好みの調理法で楽しむイタリアン

 人数を集めて出かけたい、イタリアン魚介食堂。昨年十一月にオープン。

 店内中央にはショーケースがあり、細長いヤガラが顔を出していたり、大小様々な貝や海老、ウニ、魚などがずらりと並べられている。魚介好きにはたまらない光景である。メニューに肉料理は一切なし。

 黒板に本日のおすすめメニューも書かれているが、是非このショーケースを見て料理を決めたい。イタリア料理に詳しければ、この魚や貝をこういうふうに調理して、と頼むこともできる。あるいは、魚にも料理にも詳しくなくとも、スタッフがサポートしてくれるので、蒸すならどれ? フリットにするならどれ? おすすめの貝のパスタは? などと聞いてみるといいだろう。

 前菜は小皿で四百円。まずは、そこからいくつか見繕い、生でいける牡蠣や海老をもらって、冷えた白ワインで始める。次にカルパッチョかマリネ、続いてマテ貝やニシ貝などを白ワイン蒸しにしてもらってはいかがだろうか。

 パスタでは、珍しい貝を使ったカルボナーラもいいし、フレーグラという粒々パスタと魚介を合わせてもらってもいい。

 そして、メイン。ショーケースから好きな魚を選び、シンプルにグリルにしてもらうのもよし、アクアパッツァや蒸してレモンソースで仕上げてもらうのもおいしい。

 その他、茸や野菜料理も素晴らしい。

東京都渋谷区千駄ヶ谷4-7-5 
電話=03(6721)1858
営業時間=11時半?14時(L.O.)、18時?22時(L.O.)
定休日=日曜日
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