味の見聞録

月間アーカイブ:2015年04月
中国の鍋
中国料理
赤坂璃宮銀座店
多彩な具材と味わい深いスープ
高級火鍋「漢方酔鶏鍋(コンフォチョイカイウォー)」

 「火鍋」は、東京でもさまざまな店があり、デトックス効果があるとして女性にも人気の鍋である。多くの店では、毛湯(モウトン)という白濁スープと真っ赤な辛いスープの二種のスープが用意されるが、今回ご紹介するのは、より高級な火鍋「漢方酔鶏鍋」。

 何より、そのスープが素晴らしい。金華ハムや鶏などでとった、上湯(ショントン)と呼ばれる中国料理の一番出汁に、各種漢方、鶏肉の紹興酒漬け「酔鶏」を入れて、さらに深い味わいに仕上げる。微かに紹興酒や漢方の香りが加わった、深々とした上品な滋味のそのスープに具材を入れながら食べていく。

 まずは、鱈の白子、あん肝、ハタ、車海老、北寄貝、つぶ貝、牡蠣、帆立、鮑、スッポンなどの海鮮類・高級食材から始め、次に、牛肉、豚肉、豚ガツ(胃)、ハチノス(牛の第二胃)、鹿アキレス腱などの肉類やモツ類へと移る。そのほか、肉団子、魚団子、海老団子などを、レタス、芹、広東白菜、葱、筍、干し筍、椎茸、柳松茸、あわび茸、木耳といった野菜類・茸類と一緒にいただく。
さっとスープに通してそのままスープと共に食べてもよし、三種のタレ(ポン酢・胡麻ダレ・ニンニクと唐辛子を効かせた醤油ダレ)で食べてもよし。薬味は、葱、香菜、赤唐辛子、XO醤、蝦醤(ハーチョン)、ザーサイ、腐乳など各種あり。食べ進むごとに深くなっていくスープの味わいもまた格別である。

 〆は中華麺。極上の出汁による湯麺ゆえ、さんざん食べて満腹ながら、至福のひと時がまた味わえる。

 そのほか、黒酢のコクに包まれた豚肉が舌の上でほろりと崩れ、コラーゲンのうま味が広がる「骨付き豚すね肉の黒酢風味土鍋煮込み」、葱と生姜を効かせた味わいのスープの中で、さっと牡蠣に火を通した「牡蠣の葱生姜鍋」もおすすめである。

東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル5階 
電話=03(3569)2882
営業時間=[平日・土]11時半~15時(L.O.)、17時半~22時(L.O.)[日・祝]11時半~16時(L.O.)、16時~20時半(L.O.)
年中無休
中国の鍋
中国料理
趙楊
三種類のスープによって
具材の風味が変わる楽しい火鍋

 今、火鍋は二色スープが主流だが、正式には三種類だという。ここではその希少な三種類のスープによる火鍋がいただける。①豆板醤と、八角や枸杞(くこ)や棗(なつめ)など、二十四種類の漢方と香辛料を入れた真っ赤なスープ。②朝鮮人参、雲南ハム、干し海老、豆乳、鶏のスープを合わせた白いスープ。③アガリスク、ポルチーニ、トリュフなど、四川で豊富にとれる五種類の干し茸と水による、黒いスープである。

 ①は強烈に辛いが、香辛料と漢方の薬効で体がほてり、食べるほどに毒素が抜けていく感がある。②は優しく丸い味わいで、その中で朝鮮人参の香りが効いている。面白いのが③のスープで、複雑な香りとうま味が混沌と舌を包み、具材に艶を与え、食べ進むほど陶然となっていく。

 具材は、多岐に及ぶ。肉類は、牛肉、豚肉、仔羊肉、鹿アキレス腱、牛レバー、ハチノス、豚ガツ、豚レバー、鶏砂肝、鶏レバー、肉団子。魚介類は、魚団子、海老、イカ、帆立、白身魚、ナマコ、根昆布など。これに野菜類、茸類が加わる。珍しいのはアロエで、スープに通すとほのかに甘みを帯びて、ぬるりと崩れていく食感が面白い。いずれの具材も、スープによって風味が全く変わる楽しさは、比類なき鍋であろう。

 〆は中華麺。どのスープも味が深くなり、麺が活きるが、おすすめは③。また、ご飯をもらって、スープ茶漬け風にしてもたまらない。

 そのほか特注すれば、土鍋で沸かしたスープにアヒルと漢方を入れ一昼夜置いた「アヒルの薬膳土鍋」、汽鍋(チーコー)という鍋に具材と酒を入れて、塩を一切しないで蒸し上げた、優しく丸い紹興酒の香りが魚の滋味を持ち上げる「紹興酒魚蒸し鍋」といった鍋も楽しむことができる。まさに中国料理の深みを痛感する鍋料理であるといえよう。

東京都港区新橋1-5-5 グランベル銀座ビルⅡ7階 
電話=03(3289)2006
営業時間=[月~金]17時半~21時(L.O.)[土・祝]17時~20時(L.O.)※売切れ仕舞い
定休日=日曜日
中国の鍋
中国料理
龍水楼
北京の名物料理
仔羊のしゃぶしゃぶ「涮羊肉(シュワンヤンロウ)」

 一説によれば、しゃぶしゃぶの原点にもなったという、北京名物の仔羊のしゃぶしゃぶ「涮羊肉」がいただける。

 まずは、豆腐干の和え物、鶏砂肝の冷菜、湯葉とセロリの和え物、粉皮(フンピ)と胡瓜と金針菜の和え物、揚げ海老団子といった前菜をいただき、「涮羊肉」へ。店主・箱守不二雄さんの名調子による、北京の有名店の話、なぜこの鍋が生まれたのかなど「涮羊肉」の説明が楽しい。

 仔羊の薄切りと野菜類をたぎったスープに入れてさっと火を通し、順次食べていく。

 タレは酢と醤油のみだが、薬味が豊富。微塵切りにした葱とニラに香菜、ニンニクのおろし、生姜のおろし、豆板醤、芝麻醤、老酒、ゴマ油、腐乳とあり、それらを好みで混ぜながら食べていく。次第に味の濃いものへと入れていくのがいいだろう。また、ニンニクの蜂蜜漬けは合いの手として楽しむのがいい。

 最初は座って食べているが、仔羊の香りと各種薬味の香りが混ざり合っていくうちにコーフン状態となり、二皿目からは座ってなんかいられなくなる。全員立ち上がって臨戦態勢でしゃぶしゃぶし始めるは必至。タレは次第に濃くなり魔界状態、カオスの凄みを仔羊が受けとめる。

 羊肉を食べ終わると、羊肉餡の水餃子が運ばれ、その香りと皮のうまさに、これまた一同やられてしまう。そして、〆は麺。羊の香りが溶けたタレをスープで割ってつるるる。満腹でも、誰もが食べてしまう。

 デザートは、卵・砂糖・ラード・澱粉で作る「三不粘(サンプチャン)」。「皿に粘らない、歯に粘らない、箸に粘らない」ことからの命名であるが、口の中ではもっちりとして粘るという、不思議な菓子。作るのには高等技術が必要で、本場中国でも作れる料理人は少なく、東京ではここでしか食べられない。

東京都千代田区神田錦町1-8
電話=03(3292)1001
営業時間=11時半~13時半、17時~20時頃
※昼は月~金のみ、夜は予約のみの営業
定休日=日曜日・祝日
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