味の見聞録

月間アーカイブ:2015年09月
二〇一五年話題のフレンチ
フランス料理
Pirouette(ピルエット)
フランスMOF受賞シェフ監修
ビストロ×カフェ×エピスリー

 フランスのMOF(国家最優秀職人)受賞シェフ、エリック・トロション氏をアドバイザリーシェフに迎えた複合レストラン。中央の厨房を囲むように席が配置されており、奥がビストロ、手前がカフェ、入口がエピスリー(食料品店)になっている。

 シェフは国内やフランスのレストランで修業した小林直矢氏。日本全国から届く食材を調理するため、コースの料理は日替わりで、直前に決まる場合もあるという。

 ある日の「シェフのおまかせ」八千円(税・サ別)のコースメニューをご紹介。

 前菜が「ビーツのスープ」。真っ赤な冷たいスープに、リンゴの細切りやナッツなどを散らした皿で、ビーツの風味が活きるよう調えられた味のバランスがいい。

 続いての料理は「オマールエビの冷たいポトフ」。オマールのフォンと野菜の出汁が自然に溶け合った、淡く優しい旨味を持った冷たいスープに、生温かく火が通されたオマールエビを絡めて食べる。添えたフェンネルや野菜類、ライムとの調和も楽しい。

 続いて、丸茄子にブリー・ド・モーをのせて焼いた皿。茄子の甘みをチーズの香りとコクが追いかける。生姜をスエして作ったというトマトソースには、クミンが利かせてあり、茄子にとても合う。

 続いて「ヒラスズキのロティ」。旨味を引き出した焼き魚に、チョリソーソース、ウイキョウ、オクラ、ほんのり甘い新玉葱のパウダーが添えられる。

 肉料理は「仔羊のロティと煮込んだ仔羊」。ローストと煮込み、二つの加熱法による仔羊の味わいを楽しむ。付け合わせは、なめらかで穏やかな甘さを持つアンデスレッド(赤皮イモ)とヤングコーン。

 そしてデザートは「羊乳のブランマンジェとアイスクリーム、塩とオリーブオイル」。
店は活気に富んでおり、サービスもフレンドリーで、快適な空間である。お二人で行かれるなら、ぜひライブ感のある厨房と向き合ったカウンターをおすすめする。

東京都港区虎ノ門1-23-3 虎ノ門ヒルズガーデンハウス1階 
電話=03(6206)6927
営業時間=11時半~14時半(L.O.)、18時~21時半(L.O.)(土・日・祝 17時半~21時L.O.)
無休(臨時休業・年末年始休みなどあり) 
※カフェ・エピスリーの営業時間は異なります。
二〇一五年話題のフレンチ
フランス料理
Abysse(アビス)
深海をイメージした空間で
魚料理を中心としたフレンチを

「他にはない個性を大切にしています」という目黒浩太郎シェフは、若干三十歳。南仏で修業した経験から魚料理を中心としたこの店を考案したという。店名の「Abysse」は、「深海」「奥深きもの」という意味で、その名の通り、深海をイメージしたクールな空間で料理を頂くことができる。

 ある日の「おまかせコース」九千円(税・サ別)のアミューズは、たこ焼きに見立てたような「オマールエビの焼きビスク」。続いて、ライチの甘い香りとエビの香りがエレガントに共鳴する「ボタンエビ、ライチ、蕪のタルタル」。

 鯛の出汁で低温で蒸したという、しっとりとして滋味をにじませる「メヌケのヴァプール」は、鶏のフォンを使ったソースに持ち上げられて、旨味を膨らます。
四皿目は、茶色同士の滋味がなじんで抱き合う「鶏レバーとフォアグラのラグー、穴子とズッキーニのパスタ」。

 そして、シェフのスペシャリテである「スープ・ド・ポワソン」。海の豊穣が濃縮されていて、充足のため息をつかせる味わい。ほのかに香るオレンジの香りがいい。

 メインは「イサキ、マナガツオ、金目のポワレ シトロンコンフィと白醤油のソース」。極めて質の高い三種の魚それぞれの持ち味を活かすよう精妙に火が通されている。

 この後、チーズ、デザート二皿、プティフールと続く。ホワイトチョコレートを真珠に見立て、アコヤ貝型の皿にのせたプレゼンテーションなど、〝海〟をイメージした演出が楽しい。

東京都港区南青山4-9-9 AOYAMA TMI1階 
電話=03(6804)3846
営業時間=12時~13時半(L.O.)、18時半~20時半(L.O.)
定休日=水曜日を基本に月6回程
二〇一五年話題のフレンチ
フランス料理
Lien(リアン)
多彩な皿から選べる
楽しいプリフィクススタイル

 池尻の住宅街に今年開店した、フレンチレストラン。店はカジュアルな雰囲気で、常においしい賑わいに満ちている。奥が厨房に向き合うカウンター席、手前がテーブル席で、計十八席。上原浩一シェフは、青森県生まれの三十四歳。西荻窪「サン・ル・スー」、パリ「エレーヌ・ダローズ」などで修業した経験を持つ。

 料理はプリフィクススタイル中心。アミューズ+前菜+魚料理か肉料理+デザートで三千九百円、これに前菜か魚料理一品がプラスされて四千二百円。または、アミューズ二品+前菜二品+魚料理と肉料理で四千七百円(いずれも税別)。アラカルトも選べ、前菜十七品 肉料理十二品、デザート十二品と種類が多く、楽しい。

 生ハムムースのダックワーズ生地のサンド、野菜のテリーヌなど、ユーモアのあるアミューズが出された後に、前菜。

 例えば「青森県陸奥湾直送真イカ イベリコチョリソー ドライトマトのアクセント」は、イカの甘みにチョリソーの辛みと香りが加わって実に楽しい。また「香川県高松漁港直送鱧の炙り 茸パセリバターソース」は、鱧の質がすこぶる良く、その甘みにパセリバターソースのコクが合う。

 ある日の魚料理は「鯛のカダイフ焼き」。カダイフは焦げ目がつくまで焼いてあり、フライのように香ばしい。中に挟んであるジャガイモも、鯛の甘みとなじんでいる。
肉料理も堂々たるもの。「丹波産小鹿のロースト」は、夏鹿ならではの繊細な滋味が出て、噛みしめる楽しさがある。

 デザートの一つ「白桃のタルト」も、しっかりと焼きこまれ、生地の香ばしさの中で白桃の優しい甘みが浮き出ている。

 近所にこういう店があったら、と思わせる魅力的な店である。

東京都世田谷区池尻3-5-22 グレースマンション1階 
電話=03(6413)8552
営業時間=12時~14時(L.O.)、18時~22時(L.O.)
定休日=月曜日(ランチは金・土・日・祝のみ)
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