味の見聞録

月間アーカイブ:2016年04月
東京で食べる郷土のうどん
うどん
香川一福
高松の名店の味
本場の讃岐うどんを再現

 店主は、香川県高松市の讃岐うどんの名店「一福」で修業し、昨年八月、東京・神田に「香川一福」をオープン。たちまち行列のできる人気店となった。

 一般的な讃岐うどんより麺は細め。しかし、噛みごたえがあり、噛んだ時に歯を優しく押し返す、〝コシ〟という弾力を感じさせながら、喉元へと落ちていく。

 このうどんの素直な魅力を味わうなら、「ひやかけ」(小:四百三十円)だろう。麺が細いので、「ずるんっ」ではなく「つるんっ」と滑らかに唇を通り過ぎる。それを途中で噛み切ろうとすると、麺が少し伸び、抵抗してから千切れる。そのしなやかな伸びがいい。そしてうどんは、歯を押し返しながらほのかに甘い小麦の香りを漂わせ、十回ほど噛むと消えていく。

 シンプルな「ひやかけ」に対し、「カレーうどん」(六百八十円)はたくましい。スープは、四ツ谷のフランス料理店「北島亭」の大石義一スーシェフと共同開発したという。牛骨の深い滋味と野菜の甘みが溶けこんだ、その丸く深い味わいにまずため息をつく。そして次第に辛味が効いてくる。熱々のかけつゆが添えられるので、途中で加えて和に近づけるのも楽しい。

 例えば、「ひやかけ」と「カレーうどん」の両方を頼み、交互に食べ、対照的な味わいを楽しみながら、気分を高めるというのもいいだろう。
極めつけは、「釜玉バターうどん」(小:六百三十円)。卵とバターを混ぜこんで、白いうどんを黄色に染めていく光景がたまらない。うどんは、バターが加わり、艶やかさを増していく。

 口に入れる。「つるるん」。勢いを感じさせながら口の中に入ってきたうどんが、舌に滑りこむ。卵とバターの液でぬるんとなったうどんが舌を過ぎゆく感触がいい。噛めば、発酵バターが豊かで優しい香りを膨らませ、黄身の甘みを広げて、うどんのほのかな甘さと混じって顔を崩させる。あとは一心不乱。「途中でかけ汁をかけて味を変えてもおいしいですよ」という店員のおすすめも忘れて、あっという間に夢中で食べ終えてしまう。

 そのほか、牛すじの甘みが溶けこんだ出汁がいい感じに染みている大根など「おでん」各種(百円~二百円)、もも肉を使った肉汁豊かな「鶏天」や「野菜天」などの天ぷら類も充実しているので、夜は、それらで一杯やってから、うどんでしめるのもいいだろう。

東京都千代田区内神田1-18-11 東京ロイヤルプラザ102 
電話=03(5577)3644
営業時間=11時~20時(麺が無くなり次第終了)
定休日=日曜日・第一月曜日
東京で食べる郷土のうどん
うどん
手打ちうどん福助
素朴な味わいの「田舎うどん」と
コシの強い「白うどん」

 西武多摩湖線「青梅街道駅」より徒歩八分、JR武蔵野線「新小平駅」より徒歩十三分という、住宅街の中にぽつねんと佇む店。住宅の一階を改装して、うどん店を夫婦で営まれている。奥さまがうどんを茹で、天ぷらを揚げ、ご主人がつゆや具を調理する。

 うどんは二種類から選べる。地粉を百パーセント使った武蔵野うどんで褐色がかった「田舎うどん」と、讃岐製粉工場で最上級の小麦で作られる粉を使った「白うどん」。前者はゴツゴツとした野性味のあるコシを持ち、すすれば小麦の甘い香りが鼻に抜けていく。後者は艶良く、つるるとした唇への当たりが優しく、かつコシが強い。

 ざるうどんは、小(二玉)五百五十円から、特大(五玉)八百五十円まである。男性なら三玉は軽いだろう。つけ汁は「冷汁」ほか、プラス五十円で、豚肉を使った熱いつけ汁「肉汁」、「みぞれ(大根おろし)汁」、「手搾りゆず果汁入り冷汁」の四種から選べる。

 武蔵野うどん風を楽しみたいなら、ぜひ田舎うどんを選び、肉汁で。豚脂の甘みが溶けこんだ熱い汁に、素朴な平打ち田舎うどんが絡んで、たまらない。また、手搾りゆず果汁入り冷汁は、ぜひ白うどんで。滑らかなうどんとゆずの香りが共鳴する。
一方、温かいうどんなら、「肉刻みうどん」(七百五十円)は白うどんで、「かき揚げうどん」(七百円)は田舎うどんがいいだろう。「カレーうどん」(七百五十円)は、両方で試しても楽しい。

 天ぷら(百円または二百円)もサクッと揚げられており、舞茸、かき揚げなどがおすすめ。季節により山菜の天ぷらなどもあり、銘酒の揃えも見事なので、それらで一杯やってから、うどんへいくのもいい。

 また、日替わりで「豆乳仕立ての牡蠣のざるうどん」といった創作うどんもあり、こちらも素晴らしい。

東京都小平市小川町2-1307-20
電話=042(403)1500
営業時間=11時15分~15時
定休日=月曜日・火曜日(祝日の場合は営業)
東京で食べる郷土のうどん
うどん
湯島 春近
手作り信州うどん
個性あふれる「おざんざ」

 今年二月に開店した、手作り信州うどん「おざんざ」がいただける店。実はこれ、ほうとうのことで、店主の出身地である長野県では、昔、ほうとうのことを「おざんざ」と呼んでいたという。

 そのおざんざを個性あふれる逸品に仕上げている。平打ちのうどんで、伸びはないがねちっとしたコシが特徴。ほうとうといえばカボチャなどが入った味噌味のものが一般的だが、この店はそのほうとうをモダンなものに変えている。

「冷ざるさくら」(六百四十円)は、桜の花と葉を練りこんだうどん。ほんのりとピンク色に色付いた麺をすすれば、桜の香りが漂って春が来る。今までにないうどんである。さらに春が深まれば「よもぎ麺」、夏には「熊笹麺」を提供する予定だという。

 冷たいうどんより太い麺を使う温かいうどんでは、「きざみ」(六百八十円)はいかがだろう。普通の油揚げのきざみだけでなく、トマトや玉ねぎ、貝割れ大根、茄子などの野菜が入った温かいつゆうどんで、うっすらと茶色付いた上質なつゆに溶けこんだ野菜の味わいが優しい。

 そのほか、「ツナニラペペロンチーノ」(八百五十円)、「トマトモッツァレラ」(八百八十円)、「茄子と獅子唐のピリ辛担々」(八百二十円)なども、おもしろい。

東京都文京区湯島3-47-10 
電話=03(5842)1134
営業時間=11時半~15時、17時半~22時
定休日=月曜日(土・日・祝は昼のみ営業)
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