味の見聞録

月間アーカイブ:2016年09月
話題の新店 寿司編
鮨 なかがわ
独自の工夫が施された
つまみと握りが魅力

 錦糸町駅から徒歩五分、閑静な住宅街にぽつねんとある。店内はカウンター六席のみで、要予約。

 まずは、稚鮎と肝を裏ごししたペースト、イサキと石垣貝の刺身、甲殻類の旨味が優しく抽出された茶碗蒸しからスタート。

 最初の握りは、エビをおぼろにする手前の握り。しっとりとした食感でエビの甘みに富み、それが酢飯の酸味で生き生きと輝く。次は、唐津と北海道のウニの食べ比べ。続いて、干さずに雲州味噌で十一ヶ月漬込んだというカラスミ。味噌の旨味と重なったカラスミの旨味が、強烈に酒を呼ぶ。

 炙りカツオ、甘みが出てきた旬の尾長鯛の刺身と続き、シマアジの握りが出される。

 脂がほどよくなめらかな金目鯛の刺身の後は、イワシの肝和え。これが素晴らしかった。肝を一旦凍らせ、細切りにしたイワシと混ぜながら溶かし、精妙に切った玉ねぎと合わせたもので、雑味のない肝の甘みとイワシの脂の甘みが溶け合い、玉ねぎのアクセントも利いて、上等の料理である。

 淡路のしめ鯖のわさび巻き、舞阪のシンコ。そしてナカズミの握り。その穏やかな旨味に驚くは必至。

 見事な椎茸甘煮の後、アジのたたき生姜のせ、ボストンの本鮪の赤身、塩釜定置網の中トロ、佐渡の定置網のトロの握りと続く。 

 旨味が実に綺麗なあん肝のつまみを挟んで、甘みがある分少し強めにわさびを利かせたアオリイカの握り、シマエビの握り。

 さらに、雑味なくほどよい辛さに仕上げて卵の風味を生かした明太子のつまみが出され、穴子の白煮の握り、旨味が濃い穴子のすり身入り玉子焼きで締める。

 価格は、お酒を飲んで一万五千円ほどで、都内の優秀な寿司屋としては安いほうだろう。なにより、つまみや握りに独自の工夫がなされている点が、この店の魅力である。

東京都墨田区太平1-22-1 ソラナ錦糸町1階 
電話=03(6284)1988
営業時間=17時半~22時半 
定休日=不定休
話題の新店 寿司編
鮨あらい
やや大きめの握りで
「旨い寿司を食べた」と実感する

 四谷「すし匠」にて修業した、若いご主人が昨年十月に開いた店。早くも人気で、予約も先々まで埋まっていると聞く。カウンター七席に、個室もある。

「すし匠」出身ながら、つまみと握りが交互に出るスタイルではなく、つまみが出てから握りが出される。 

 酢飯の酢がたったやや大きめの握り。また、赤酢と米酢の両方を用意するのではなく、米酢二種と赤酢をブレンドした、ほんのりと桃色がさした酢飯で握られ、他の「すし匠」系店とは一線を画す。

 訪れた夏のある日は、まず「お疲れ様でした」の声とともに、ビールと枝豆が登場。

 つまみは、アサリに、昆布の味わいとエビの甘みが協調する、葱醤油を添えたカツオお造り。蒸しアワビ二枚、北海道噴火湾の毛蟹の酢飯なしの海苔手巻きと続き、さらに、脂が乗ったノドグロ酒蒸し、づけ、あん肝、間引きスイカの漬物が出される。

 ここから握り。まずはマコガレイ、脂が上品なキンメダイ、中トロ、赤身。この赤身と酢飯の相性がすこぶるいい。

 続いて、鯛、酢飯の大きさとバランスがいい大トロ、甘みに富むミル貝、カボスとワサビ塩で食べる平貝、車エビ、煮蛤、軍艦のウニ。

 そして、塩スダチで食べるスミイカ。こうした淡味の種の時に、酢飯のふくよかな味を強く感じる。

 同じく酢飯とよく合う、青葱をのせたアジ、コハダ、穴子、玉子と出され、蛤潮汁で締める。

 山形「喜久酔」はじめ、日本酒の揃えもいい。酒をしっかり飲んで二万八千円ほど。

 ご主人は若いながら、「すし匠」中澤圭二氏の薫陶を受けた、客への敬意を感じられる素晴らしい接客が気持ちいい。

東京都中央区銀座8-10-2 ルアンビル地下1階 
電話=03(6264)5855
営業時間=11時半~13時半、17時~22時(LO) 
定休日=水曜日
話題の新店 寿司編
すし 岩澤
食事、酒、接客
すべてが秀逸な心地よい空間

 東急不動前駅から徒歩五分、閑静な住宅街の中に店を構える。赤坂の人気店「すし匠齋藤」などで修業を積んだご主人が、今年三月に開店。白酢と二種の赤酢による三つの酢飯を使い分け、つまみと握りを混ぜて供すスタイルである。カウンター八席。
七月のある日は、白酢による白ギス握りからスタート。酢と塩を抑えた酢飯で、ご飯の美味しさが際立っている。次に、 蓴菜(じゅんさい)出し割酢、マコガレイお造りと、その肝による肝巻き。続いて、富山岩牡蠣。焼いた万願寺唐辛子。珍しい、イワシ海苔巻きが出された後、スダチと塩が振られた、歯切れのいいスミイカ握りが出される。

 シジミの茶碗蒸しで喉と胃袋を温めた後は、毛蟹ご飯を手巻きで。蟹の香りを抱き込んだご飯の美味しいこと。

 続いて、金目のしゃぶしゃぶ。煮切りを引いて振り柚子をしたカスゴの握り。薬味に青葱を添えたカツオお造り。

 燻香が合う、燻製エボ鯛の握りは赤酢の酢飯で。殻ごとのウニが出され、すぐりメロンの漬物で口を休めた後は、脂が上品な、鹿児島出水小アジ青生姜叩きのせの握り。

 赤身づけ握りは鮪用の赤酢飯。シマエビの昆布締めカツオ酒盗で酒がさらに進んだ後は、ノドグロ昆布締めと白イカ山わさび添え。ここでアジの棒寿司生姜紫蘇。穴子白焼きが出され、ザーサイの漬物で口休め。

 中トロ握りの後は、柚子胡椒を添えた蒸しアワビ。少し冷えた温度がほどよいコハダ握りは赤酢飯で。

 余市のウニの握り。あん肝の握りにスイカの奈良漬をのせて出され、ノドグロ皮炙り、出汁に漬込んだエビの握り。鉄火巻き。玉子で締める。

 日本酒の揃えよく、兵庫「龍力(たつりき)」、山口「雁木(がんぎ)」、青森「陸奥八仙」、佐賀「鍋島」など、ペースに合わせて出してくれる。予算は、酒をしっかり飲んで二万二千円ほど。ご主人は快活で、常連や初めての客を隔てることなく、心地よく過ごすことができる。

東京都品川区西五反田5-6-11 NSVビル1階 
電話=03(5436)8338
営業時間=17時半~23時 
定休日=水曜日
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