味の見聞録

月間アーカイブ:2016年10月
話題の新店 中国料理編
中国料理
蓮香(レンシャン)
美味しさに心打たれる
中国西南地方の料理

 麻布十番「ナポレオン・フィッシュ」で料理長を務められていた小山内(おさない)耕也(こうや)氏が独立して開店。前店は、貴州省の料理が中心だったが、今回は西南地方を主軸としたより少数民族の料理を出していく。基本はコースで、七千円から。

 ある日の前菜は、「豆もやし、ミントの西双版納(シーサンパンナ)サラダ」「虎手菌(キノコ)と押し豆腐の香り和え」「チベット式パクチーサラダ」の盛り合わせ。続いて、四川省自貢市名物「鉢鉢鶏」。辛いソースに浸かった鶏肉料理である。山椒の利かせ方がよく、複雑ながらバランスのいい味が実に見事。

「空心菜尼西辛子炒め」では、水分を保ったまま炒められた空心菜と唐辛子が共演する。「黄金幸菜と海老の台湾エシャロットソース」は、黄金幸菜と海老を、八角・ニッキ・陳皮・エシャロットを漬けて味噌にしたもので炒めた料理。

「雲南式回鍋肉塩辛納豆えだ椰子入り」 は、塩辛納豆の練れた塩気が豚肉を生かし、マコモダケのような食感のえだ椰子がアクセントになっている。噛んだ瞬間に香りが爆ぜる「ポルチーニ入り春巻」。臭みはほとんどなく、噛むほどに旨い「ヤクのナシ族スタイル・ヒレとロース」。稚鮎の香りと茄子の甘み、唐辛子の甘い香りが交錯する「稚鮎と茄子の山盛り唐辛子炒め」。

「ふぐの白子生唐辛子醤油」は、白子の甘さと、生青唐辛子を漬け込んだ醤油の辛味と旨味、ピーマンの香りと青々しさが絶妙に抱き合う。「牛肉の新生姜 ピクルス炒め」は、すき焼き風の甘辛い味付けで、新生姜の淡い辛味と香菜の香りが牛肉の旨味を持ち上げる。
締めは、「香格里拉(シャングリラ) 松茸煮込み麺」。茸の香りが満載の麺料理である。

「ニラの花 塩漬け炒飯」は、 辛くシャープな味付けのご飯が美味しいこと。

 いずれも馴染みはないが、美味しさに心打たれる料理である。各種揃った紹興酒とヴァンナチュールは、すべて二千九百円。

東京都港区白金4-1-7 
電話=03(5422)7373
営業時間=18時半~21時(LO) 
定休日=不定休
話題の新店 中国料理編
中国料理
Matsushima
マニアックな
少数民族の郷土料理

「黒猫夜(くろねこよる)」の料理長だった松島由隆(ゆたか)さんが独立して開いた店。黒板に書かれたメニューには、ミャオ族、チワン族、プイ族など、マニアックな少数民族の料理が並ぶ。

 お通しは、鹹蛋(シェンタン)を衣に混ぜて揚げた「トウモロコシの塩卵絡め揚げ」、青海苔の香りがいい「吉野川の青海苔をまぶしたピーナッツ」「豆腐干(とうふかん)と水菜の和えもの」。

 鶏をレモン・ライム・ミントを利かせた漬け汁でマリネし、煎り唐辛子を和えて加熱した「鶏もも肉広西チワン族仕立て」。

「空芯菜とイカのニンニク醤油炒め」は醤油味の塩梅がよく、イカの甘みを生かしている。「羊腰(ひつじまめ)の広東味噌炒め」は、麺?醤・海鮮醤・柱候醤・八角などによる漬け汁に一日漬け込んだ羊の腎臓を、豆板醤で炒めた料理。辛さの奥にある三種の醤醤の複雑な旨味と辛味のバランスが素晴らしい。

「仔羊胸腺肉卵焼き」は、雪菜を入れた胸腺肉の中華風オムレツ。卵と胸腺肉それぞれの甘みと食感が見事に出会った料理である。「ミャオ族血餅の腸詰揚げ」は、鹿の血ともち米で作られた中国風ブーダン・ノワール。癖はなく、ほのかに甘く香ばしい。ジャーキーの塩気に岩塩・唐辛子・胡麻・山椒などの強烈な香りが花開く「プイ族のビーフジャーキーとじゃがいもの炒め」はお酒が進んで困る一品。

 そして、一番のお勧めは「西安すいとん」。乾燥したパンのようなものをちぎって小鍋に入れ、羊肉や、トマト・酸菜などの野菜が入った、羊の香りと酸味の利いたスープを注いで食べる西安名物料理である。みんなでちぎって入れるのが楽しく、また、その乾燥パン状のものがスープを吸ってすいとん状になるのが面白い。

 各皿九百円から千五百円前後。珍しい紹興酒も数多くの揃えがある。

東京都渋谷区上原1-35-6 第十六菊地ビル地下1階 
電話=03(7416)8059
営業時間=18時~23時(LO) 
※日・祝 17時~22時(LO) 
定休日=水曜日
話題の新店 中国料理編
中国料理
Mimosa(ミモザ)
毎日食べたくなるような
優しい味の上海家庭料理

 新宿の名店「CHEF’S(シェフス)」の料理長だった南俊郎さんが独立して開店。新ビルの二階にある店は、外からの陽光が入って心地よい。「CHEF’S」時代の料理は「クラゲの前菜」と「トマト卵炒め」のみで、あとは南さんが惚れ込んだ上海家庭料理が並ぶ。

 前菜では、燻製香がいい「スモーキーピータン豆腐」千四百円、サクサクのパイの中に、大根の甘みと金華ハムの旨味が詰まった「金華ハム包み揚げ」千五百円、車海老がとろんと舌に甘えてくる「活き車海老酔っ払い」八尾二千七百円がお勧め。

 野菜料理では、レタスの甘みを四川漬物芽菜(ヤーツァイ)の練れた塩気が持ち上げる「ロメインレタスと芽菜の炒め」千四百円。海鮮料理で特に勧めたいのが、甘鯛の旨味が滲み出たスープに、細切りの豆腐干を入れた「干甘鯛のスープと豆腐干」二千八百円。カラリと香ばしく、上海風に甘辛く炒めた「大海老の素揚げ炒め」四尾四千二百円もいい。

 肉料理では、梅干しの酸味が絶妙に利いて豚肉をより甘くさせる「中国干し梅入り酢豚」二千六百円と、煮汁に入れられた豚脂・リンゴ・氷砂糖の三種の異なる甘みが交差して、ご飯が猛烈に恋しくなる「上海式紅焼肉 豚の角煮」二千九百円をぜひ。

 締めは、カリカリに焼いた麺を、八角の甘い香りのする醤油ソースに絡めて食べる焼きそば「アニスソースのパリパリ麺」千八百円、真っ黒い醤油色の濃い味わいなのに食味が丸い「葱油拉麺」千六百円をお勧めする。

 南さんの料理は優しく、家庭料理ならではの毎日食べたくなる真髄がある。冬には上海蟹も出す予定で、点心や粽も始めるという。ワインの揃えもよく、ソムリエールに相談して飲み進むのもいいだろう。

東京都港区南青山3-10-40 フィオラ南青山ビル2階 
電話=03(6804)6885
営業時間=18時~23時(LO)  
定休日=日曜日・祝日
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