味の見聞録

月間アーカイブ:2017年10月
ネオビストロ
フランス料理
Petanque ペタンク
ワインが進む
センスあふれる個性的料理

 浅草寺裏に今年開店した、カウンター八席だけのフレンチ居酒屋。銀座「グレープ・ガンボ」(閉店)、「Wineshop&Diner FUJIMARU」の料理長を歴任した、山田武志シェフが一人で切り盛りする。手書きのメニューはどれも個性的で、食欲をそそる。

「桃と冷ローストトマトとモッツァレッラ」八百円は、生トマトと焼いて冷やしたトマト、桃のコンポート、モッツァレッラを、トマトのヴィネグレットで和えた一皿。それぞれの甘みと香りが交差して、軽やかながら深い味わいとなっている。

「本マグロ血合いと薬味のマリネ」九百円は、マグロの血合いの鉄分が、薬味(青パパイヤ・貝割れ大根・茗荷・叩き胡瓜)と柚子胡椒入りヴィネグレットを合わせることで、爽やかに感じられる一皿。

「タコとはじき葡萄」八百円は、ヴィネグレットで和えた大根の鬼おろしと葡萄と、茹でタコを合わせた皿。タコの旨味と葡萄が妙に合い、ワインが進む。

 紫色のじゃがいも「シャドークイーン」に、カカオ、トマト、スペインチョリソ、玉葱、ピクルス、いぶりがっこを合わせた「ポテサラ」六百円は、芋の香りとカカオの香りが調和し、各素材の量も適妙で、センスを感じさせる。

 その他、噛り付く喜びに満ちた鶏肉を、タンドリーチキン風にマリネして揚げた「チューリップ唐揚げ」八百円や、薄切りラムにクミンを利かせて生姜炒めにし、ウイスキーでフランベして、レタスをたっぷりと添えた「ラムの生姜焼き」千五百円。砂肝のコンフィと姫サザエをブルギニオンバターで仕上げた「姫サザエと砂肝のソテー」千百円など、ワインが進んで困る料理が並ぶ。ワインは自然派ワイン中心。

 締めには「チャハーン! サルシッチャとトマト」を。バターとブイヨンで炊いたジャスミンライスに、崩しながら炒めたフェンネルシード入りサルシッチャ、玉葱とトマトのヴィネグレット和え、卵を載せたもので、「旨い!」と叫ばせる素晴らしさ。

東京都台東区浅草3-23-3 上野ビル101 
電話=03(6886)9488
営業時間=17時~24時(土日15時~22時)  
定休日=不定休
ネオビストロ
フランス料理
BOLT ボルト
フランスの食材と和の食材が
混在した魅力的メニュー

 今年七月神楽坂に開店した、カウンター十席だけのフレンチ居酒屋。オーナーシェフは、「レスプリ・ミタニ ア ゲタリ」や「マルディグラ」、フランスでの修業経験を持つ仲田高広氏。フランスの香りがする食材と和の食材が混在したメニューは、実に魅力的で片っ端から頼みたくなる。

 無花果(いちじく)とマカデミアナッツをリコッタチーズと白味噌で和えた「黒無花果、リコッタチーズ白和え」七百五十円は、チーズのコクと白味噌の旨味が溶け合い、無花果と出合って、とてもエレガントである。

 焼きなすを叩いて、レモンや塩、オリーブオイルで合わせたなめろうと、イワシを出合わせた「イワシの酢締め、焼きなすのなめろう」千三百円は、品が漂う相性の良さに驚く。片や、モルタデッラハムによる「ハムカツ」八百円という、オヤジ殺しの料理もある。

「地蛤チャウダー」千六百円は、レモングラスやコブミカンがエキゾチックに香ってしみじみ旨い。柚子胡椒を練り込んだ自家製海苔の佃煮が添えられ、それを少しずつ溶け込ませて変化させるのも楽しい。

 そして、仲田シェフの真骨頂である肉料理「ごぼうとロニョン・ド・ヴォーの温きんぴら」千八百円は、カベルネ・フランで叩いたごぼうに仔牛の腎臓を合わせ、シェリービネガーの風味で仕上げたもの。プリッとしたロニョンの香りと柔らかく炊かれたごぼうの食感との対比が面白い。

 フランス・ロゼール産仔羊の胸肉を焼いた「ロゼールラム・ポワトリーヌ・ビアンキュイ」三千五百円は、しっとりと見事に焼き上げられており、肉焼き名人シェフの元で修業された業と感性が生きている。また内臓類のソーセージ「アンドイエット」二千六百円は、新鮮な内臓を使っているため、全く臭みなく楽しめる。

 締めには「牛肉チャーハン」を。さっと加熱した牛肉を細切りにし、エシャロット、セロリの微塵切りとご飯を炒めた皿で、お腹いっぱいでもスルスルと入ってしまう。

 ワインや日本酒含め、酒も幅広い品揃え。

東京都新宿区箪笥町27 神楽坂佐藤ビル1階 
電話=03(5579)8740
営業時間=17時~24時  
定休日=月曜日・第2週目火曜日・第4週目火曜日
ネオビストロ
フランス料理
336 ebisu サンサンロク エビス
ワイン&フレンチファン待望の
ネオビストロの新星

 恵比寿の住宅街に昨年九月に開店した、十七席のモダンなビストロ。オーナは、パリの名店「パッサージュ53」出身のソムリエ、山﨑智隆氏。シェフは齊藤駿氏。

 料理のラインナップは、ビストロ定番料理が並び、一見するだけでは目新しさはない。しかし「合鴨のコンフィ」三千二百円を食べれば、その料理の伝統的芯は生かしつつ、現代風な要素を加えた、この店ならではの皿として仕上がっている。皮はバリッと香ばしく、噛めば合鴨の滋味がしっとりと舌を包む、堂々たるコンフィの味わいが広がる。付け合わせはオリーブのコンフィ、マディラ酒漬けの葡萄、鶏ブイヨンで煮た発芽大豆に、ポムドフィーヌ。共に食べれば、オリーブの酸味が鴨と協調し、他の様々な食感が食べ進むことを楽しくさせる。フォン・ド・ヴォーとマディラ酒によるソースが、赤ワインを呼ぶ。

 また、濃厚な赤ワインのソースと分厚く切られたベーコン、半熟卵を合わせた、これまたビストロ料理の定番である「半熟卵のムーレット ベーコンとシャンピニオン ド パリの赤ワインソース」千二百円は、ソースは従来より軽く仕上げていながら、この料理本来の魅力を十二分に伝えてくれる。

 こうした料理がアラカルトで選べ、しかも、前菜や主菜だけという使い方もできる。ブルゴーニュワインの揃えも見事で、値段も安い。ワイン好きやフランス料理のファンにとっては、「こういう店が欲しかった」と思わせる素晴らしい店である。

東京都渋谷区恵比寿3-36-1 クーカイテラス1階 
電話=03(6277)2282
営業時間=12時~15時、18時~24時 
※ランチは土日のみ。平日は4名以上の予約で利用可。 
定休日=不定休
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